クラウドファースト時代におけるセキュリティ対策
セキュリティを知りたい
「クラウド・バイ・デフォルト」って何か教えてください。
セキュリティ研究家
簡単に言うと、仕事で使うシステムを選ぶとき、最初の選択肢としてクラウドサービスを必ず考えるという原則だよ。例えば、新しい業務システムが必要になったら、まずクラウドでできるか検討するということだね。
セキュリティを知りたい
なるほど。でも、なぜクラウドを最初に考える必要があるんですか?
セキュリティ研究家
クラウドサービスは、従来のシステムに比べて、セキュリティ対策が進んでいることが多い、費用を抑えやすい、システムの規模を柔軟に変えられるなどのメリットがあるからなんだ。もちろんセキュリティ対策はしっかり行う必要はあるけどね。
クラウド・バイ・デフォルトとは。
安全性を高めるための知識として、『最初にクラウド』という考え方があります。これは、国の機関でクラウドサービスを使う際のルールで、デジタル庁の前身である内閣官房IT総合戦略室が作りました。各省庁の情報化の責任者たちが集まる会議で2021年3月に決めた「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」という文書の中で、『最初にクラウド』は、「費用を抑えたり、必要な時に必要なだけ資源を使えるように、クラウドサービスを第一候補にする」という原則だと定められています。この原則では、効率性、安全性のレベル、技術の進歩への対応、柔軟性や使いやすさの向上といった利点を挙げて、まず最初にソフトウエアを提供するクラウドサービス(SaaS)の利用を考え、次に必要な時に必要なだけインフラを使うクラウドサービス(IaaS)の利用を検討することとしています。安全性については、重要な秘密情報などを誰でも使えるクラウドサービス上で扱わないこと、使うクラウドサービスが各省庁の安全ルールを満たしているかを確認すること、通信を暗号化することなどを義務付けています。
クラウドファーストとは
– クラウドファーストとは近年、企業や組織が新しい情報システムを構築する際、「クラウドファースト」という考え方が広まりつつあります。これは、特別な事情がない限り、従来のような自社でサーバーやソフトウェアなどを管理する「オンプレミス」ではなく、クラウドサービスの利用を第一に検討する原則です。では、なぜクラウドファーストが注目されているのでしょうか?それは、クラウドサービスが従来の方法と比べて多くのメリットを持つからです。まず、初期費用や運用コストを大幅に削減できる可能性があります。従来の方法では、高価なサーバーやソフトウェアを購入する必要がありましたが、クラウドサービスでは必要な時に必要な分だけ利用することができます。また、システムの運用や管理をクラウドサービス事業者に任せることができるため、人材不足や運用負荷の軽減にもつながります。さらに、クラウドサービスは柔軟性と拡張性に優れているという特徴もあります。事業の拡大や縮小、あるいは突発的なアクセス増加にも柔軟に対応することができます。従来の方法では、このような変化に対応するために時間とコストがかかっていましたが、クラウドサービスであれば迅速かつ容易に対応することが可能です。このように、クラウドファーストは企業や組織にとって多くのメリットをもたらします。政府も「クラウド・バイ・デフォルト」を推進しており、今後ますますクラウドサービスの利用が拡大していくと考えられます。
項目 | クラウドファースト | 従来の方法(オンプレミス) |
---|---|---|
初期費用 | 低減可能 | 高額 |
運用コスト | 低減可能 | 高額 |
運用管理 | クラウドサービス事業者に委託可能 | 自社で実施 |
柔軟性・拡張性 | 高い | 低い |
その他 | 政府も推進 | – |
クラウドファーストのメリット
昨今、企業活動において欠かせないものになりつつある情報システムですが、その構築場所として「クラウドファースト」という考え方が注目されています。これは、特別な事情がない限り、システム構築の際にクラウドサービスの利用を第一に検討する考え方です。では、クラウドファーストにはどのような利点があるのでしょうか?
まず、初期費用が抑えられるという点が挙げられます。従来型のオンプレミスと呼ばれる、自社でサーバーなどの設備を持つ方法と比べ、クラウドサービスは必要な時に必要なだけ利用料金を支払う仕組みなので、高額な設備投資が不要になります。また、運用コストに関しても、利用した分だけを支払う従量課金制であることが多く、予算計画が立てやすいというメリットがあります。
さらに、ビジネスの状況に合わせて柔軟に対応できる点も大きな魅力です。需要の増加に応じて、必要な時に必要なだけサーバーやネットワークなどのリソースを増減できるため、機会損失を防ぐとともに、無駄なコストを抑えることができます。加えて、セキュリティ対策やシステムの更新作業などは、クラウドサービスを提供する事業者が行うため、企業側の運用負荷が軽減され、本来の業務に集中できる環境が整います。
このように、クラウドファーストには多くのメリットが存在します。システム構築を検討する際は、ぜひクラウドファーストを念頭に置いてみてください。
メリット | 説明 |
---|---|
初期費用を抑えられる | 従来のオンプレミスと比べ、高額な設備投資が不要 |
予算計画が立てやすい | 利用した分だけを支払う従量課金制が多い |
ビジネスの状況に合わせて柔軟に対応できる | 需要増加に応じて、サーバーやネットワークなどのリソースを増減可能 |
企業側の運用負荷が軽減される | セキュリティ対策やシステムの更新作業は事業者が行うため、本来の業務に集中できる |
クラウドファーストにおけるセキュリティの重要性
– クラウドファーストにおけるセキュリティの重要性今日では、多くの企業が業務効率化やコスト削減を目的に、情報システムのクラウド化を進めています。いわゆる「クラウドファースト」の流れの中で、その利便性を享受できる一方で、セキュリティ対策の重要性を改めて認識する必要があります。従来のように、自社のサーバーやネットワーク内に情報を保管していた時代とは異なり、クラウドサービスはインターネットを通じて利用します。これは、世界中に開かれたネットワークを介して重要な情報資産にアクセスできることを意味し、同時に、悪意のある第三者からの攻撃対象となるリスクも高くなることを意味します。クラウドファーストを推進する上で、セキュリティ対策は決して軽視できるものではありません。では、具体的にどのような対策が必要となるのでしょうか。まず、最も基本的な対策として、利用する全てのアカウントで推測されにくい複雑なパスワードを設定し、さらに、パスワードに加えてスマートフォンによる認証などを組み合わせた多要素認証を導入することが重要です。これにより、不正アクセスに対する防御を強化できます。また、アクセス権限の管理も重要な要素です。従業員一人ひとりの業務内容や責任範囲に応じて、アクセスできる情報やシステムを制限する必要があります。必要以上の権限を与えないことで、万が一、不正アクセスが発生した場合でも、被害を最小限に抑えられます。さらに、ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどのセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことも忘れてはなりません。クラウドサービス提供事業者側もセキュリティ対策を講じていますが、利用者側も自発的にセキュリティ対策を行うことで、より強固な防御体制を築くことができます。クラウドファーストの恩恵を最大限に享受するためには、利便性とセキュリティのバランスを考慮することが重要です。
対策項目 | 具体的な対策内容 | 効果 |
---|---|---|
アカウント保護 | – 推測されにくい複雑なパスワードを設定する – パスワード + スマートフォン認証等の多要素認証を導入する |
不正アクセスに対する防御を強化 |
アクセス権限管理 | – 従業員の業務内容・責任範囲に応じたアクセス制限 | 不正アクセス時の被害を最小限に抑制 |
セキュリティソフト | – ウイルス対策ソフト、ファイアウォール等の導入、及び最新の状態維持 | – |
政府の取り組み
– 政府の取り組み
近年、行政機関における業務の効率化や国民へのサービス向上のため、情報システムのクラウド化が急速に進んでいます。しかし、その一方で、重要な情報漏洩のリスク増加も懸念されています。そこで、日本政府は、2021年3月に「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」を策定し、セキュリティ対策を施した上でのクラウドサービス活用を推進する「クラウド・バイ・デフォルト原則」を明確化しました。
この方針では、原則としてクラウドサービスの利用を推奨する一方、国民の重要な情報など、機密性の高い情報は、外部からのアクセスが制限されていないパブリッククラウド上では取り扱わないことをはっきりと定めています。
さらに、政府機関が利用するクラウドサービスは、政府が定めたセキュリティ基準を満たしていることを厳しく確認すること、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるため、データの送受信を行う際には常に通信の暗号化を徹底することなども求められています。
政府は、これらの対策を確実に実施することで、国民の安全と信頼を守りながら、クラウドサービスのメリットを最大限に活かした、より質の高い行政サービスの実現を目指しています。
政府の取り組み | 内容 |
---|---|
クラウド・バイ・デフォルト原則 | セキュリティ対策を施した上でのクラウドサービス活用を推進 |
機密情報保護 | 国民の重要な情報など、機密性の高い情報はパブリッククラウド上では取り扱わない |
セキュリティ基準の厳格化 | 政府機関が利用するクラウドサービスは、政府が定めたセキュリティ基準を満たしていることを厳しく確認 |
通信の暗号化の徹底 | 情報漏洩のリスクを最小限に抑えるため、データの送受信を行う際には常に通信の暗号化を徹底 |
まとめ
昨今では、多くの企業が情報システムを自社で構築・運用するのではなく、クラウドサービスを利用する「クラウドファースト」の考え方が主流になりつつあります。クラウドサービスは、低コストで導入できるだけでなく、場所を選ばずに利用できるなど、多くのメリットがあります。
しかし、その一方で、セキュリティ対策の重要性についてもしっかりと認識しておく必要があります。
クラウドサービスは、インターネット上に構築されているため、不正アクセスやサイバー攻撃の脅威に常にさらされています。そのため、政府は、安全なクラウドサービス利用のための指針となる資料を公開したり、セキュリティ対策に関するガイドラインを策定したりするなど、様々な取り組みを行っています。
企業は、これらの情報を参考に、自社のシステムやデータの重要度、利用するクラウドサービスのリスクなどを考慮した上で、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。具体的には、アクセス制御や暗号化などの技術的な対策はもちろんのこと、社員に対するセキュリティ教育の実施や、セキュリティポリシーの策定など、組織全体でセキュリティ意識を高めていくことが重要です。
セキュリティ対策を適切に行うことで、安全で安心してクラウドサービスを利用できるようになり、企業は、デジタルトランスフォーメーションをスムーズに推進していくことができるでしょう。
クラウドサービスのメリット | クラウドサービスのセキュリティリスク | 対策 |
---|---|---|
低コスト、場所を選ばない利用など | 不正アクセス、サイバー攻撃の脅威 | アクセス制御、暗号化、セキュリティ教育、セキュリティポリシーの策定など |