今だから知っておきたいNTLMの弱点と対策
セキュリティを知りたい
先生、「NTLM」ってなんですか?セキュリティを高めるために知っておいた方がいいんですよね?
セキュリティ研究家
いい質問ですね!「NTLM」は、簡単に言うと、昔のパソコンで使われていた、ネットワークで使う人の確認方法のことです。でも、古い方法なので、今はもっと安全な方法が使われていますよ。
セキュリティを知りたい
そうなんですね。でも、どうして安全じゃないんですか?
セキュリティ研究家
古い方法なので、悪い人が入り込むための穴が見つかってしまっているんです。だから、今は「ケルベロス認証」など、もっと複雑で安全な方法が使われているんだよ。
NTLMとは。
安全性を高めるために、今回は「NTLM」について説明します。「NTLM」とは、WindowsというOSで使われている、ネットワーク上で使う人を確認するための仕組みです。パスワードを特定の計算方法で変換したものを使い、コンピューター同士がやり取りをして本人確認を行います。Windows Server 2000までは使われていましたが、その後は「Kerberos認証」という、より安全な仕組みに変更されました。しかし、「NTLM」には、「NTLMリレー攻撃」など、悪用される可能性がある弱点も知られています。例えば、2023年に見つかったMicrosoft Outlookの脆弱性(CVE-2023-23397)を悪用すると、攻撃者が「NTLM」で使われているパスワードの変換情報を盗み出すことができてしまいます。
ネットワーク認証の仕組み
私たちは、インターネットや会社のネットワークを使って、様々なサービスを日々利用しています。買い物や情報のやり取り、仕事の作業など、その活動は多岐に渡ります。このような便利なサービスを利用する際、「私たちが誰なのか」をシステムが正しく認識する必要があります。この重要な役割を担うのが、ネットワーク認証と呼ばれる仕組みです。
例えば、オンラインバンキングを利用する場面を考えてみましょう。自分の口座にアクセスするためには、IDとパスワードを入力しますよね。これは、銀行のシステムに対して、「自分が正当な利用者であること」を証明していることになります。もし、このような認証の仕組みがなければ、誰でも他人の口座にアクセスできてしまい、大変危険な状態になってしまいます。
ネットワーク認証は、家の鍵とよく似ています。家に入る際に鍵を使って、自分が住人であることを証明するのと同様に、ネットワークにアクセスする際にも、正しい「鍵」である「認証情報」を使って、自分がアクセス権限を持つ者であることを証明する必要があるのです。
このように、ネットワーク認証は、インターネット上の安全を守る上で、最も基本的なセキュリティ対策と言えます。日々利用するサービスの裏側では、こうした仕組みが私たちの情報を守っていることを意識してみましょう。
概念 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ネットワーク認証 | システムが「私たちが誰なのか」を正しく認識する仕組み | オンラインバンキングでのIDとパスワード入力 |
認証の重要性 | 正当な利用者であることを証明し、不正アクセスを防ぐ | 認証がなければ、誰でも他人の口座にアクセス可能になる |
ネットワーク認証の例え | 家の鍵🔑 家の鍵を使って住人であることを証明するように、ネットワーク認証でアクセス権限を証明する |
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ネットワーク認証の役割 | インターネット上の安全を守る最も基本的なセキュリティ対策 | – |
NTLMとは?
– NTLMとは?
NTLMは、「New Technology LAN Manager」の略称で、Windows OSが長らく利用してきたネットワーク認証方式の一つです。Windows Server 2000以前の古い環境では、このNTLMが主要な認証方式として使われていました。しかし、セキュリティをより強固にするため、Windows Server 2000以降は、「Kerberos認証」と呼ばれる、より安全な認証方式への移行が進められています。
NTLMは、パスワードを元にしたデータを使って認証を行う「チャレンジレスポンス方式」を採用しています。この方式では、サーバーとクライアント間で認証情報が暗号化されずにやり取りされます。そのため、ネットワーク上に流出した認証情報を第三者が悪用し、なりすましなどを行う危険性があります。さらに、NTLMは開発から長い年月が経っているため、様々な脆弱性が発見されています。そのため、今日では攻撃の対象となる可能性も少なくありません。
セキュリティ上の観点から、可能な限りNTLMの使用を避け、Kerberos認証のようなより安全な認証方式へ移行することが推奨されています。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | New Technology LAN Manager (NTLM) |
説明 | Windows OSが長らく利用してきたネットワーク認証方式。Windows Server 2000以前の古い環境では主要な認証方式として使われていた。 |
認証方式 | チャレンジレスポンス方式 (パスワードベース、認証情報は暗号化されずにやり取りされる) |
安全性 | 低い。なりすましなどの危険性がある。 |
脆弱性 | 多数発見されている。 |
推奨 | 使用を避け、Kerberos認証のようなより安全な認証方式に移行することが推奨される。 |
NTLMの抱えるセキュリティリスク
– NTLMの抱えるセキュリティリスクNTLMは、Windowsの旧バージョンで使用されていた認証方式ですが、今日ではセキュリティ上の問題から、使用は推奨されていません。NTLMには、攻撃者にとって魅力的な脆弱性がいくつか存在します。最も悪名高い攻撃の一つに、-NTLMリレー攻撃-があります。この攻撃では、攻撃者はクライアントとサーバー間の通信経路に割り込み、本来サーバーに送信されるべき認証情報を盗聴します。攻撃者はこの盗聴した情報を利用して、サーバーになりすまし、本来アクセスできないはずのリソースにアクセスすることが可能になります。さらに、2023年には、Microsoft Outlookの脆弱性(CVE-2023-23397)が発見されました。この脆弱性は「ゼロデイ脆弱性」と呼ばれ、公表と同時に悪用が確認されたものです。攻撃者はこの脆弱性を悪用することで、NTLMハッシュを不正に入手することが可能となります。NTLMハッシュとは、パスワードを元に生成される固定長の文字列で、これを解読することでパスワードを盗み出すことが可能です。このように、NTLMはセキュリティ上のリスクを抱えているため、可能な限り利用を避けるべきです。代わりに、Kerberos認証や多要素認証など、より安全な認証方式に移行することが推奨されます。これらの認証方式は、NTLMよりも強固なセキュリティ対策が施されており、攻撃者による不正アクセスのリスクを大幅に低減することができます。セキュリティ対策は、常に最新の情報を収集し、適切な対策を講じることが重要です。
脆弱性 | 説明 | 対策 |
---|---|---|
NTLMリレー攻撃 | 攻撃者がクライアントとサーバー間の通信に割り込み、認証情報を盗聴する攻撃 | ・Kerberos認証や多要素認証など、より安全な認証方式に移行する ・常に最新のセキュリティ情報を収集し、適切な対策を講じる |
Microsoft Outlookの脆弱性(CVE-2023-23397) | 攻撃者が脆弱性を悪用し、NTLMハッシュを不正に入手する攻撃 |
具体的な対策方法
– 具体的な対策方法組織の安全性を高めるためには、いくつかの具体的な対策を組み合わせることが重要です。-# 古い認証方式からの脱却まずは、NTLM認証という古い認証方式を使っている場合は、できるだけ早く使用を停止しましょう。NTLM認証は、現在のセキュリティ基準からすると脆弱性が指摘されており、攻撃者にとって格好の標的になりえます。代わりに、Kerberos認証など、より安全性が高いとされている認証方式を採用することで、リスクを大幅に減らすことができます。-# システムの更新もし組織内でWindows Server 2000以前の古いOSを使っている場合は、最新バージョンへの更新を強く推奨します。古いOSには、セキュリティ上の欠陥を解消するための更新プログラムが提供されていないケースが多く、攻撃のリスクに晒されやすくなります。最新のOS環境へ移行することで、既知の脆弱性を解消し、より安全なシステムを構築できます。-# ネットワークの監視体制強化組織全体のネットワークを常に監視し、不正なアクセスを検知する仕組みを導入することも重要です。具体的には、ファイアウォールや侵入検知システムを導入し、外部からの不正アクセスや不審な通信をリアルタイムで監視します。もしもの場合にも、迅速に検知し対応することで、被害を最小限に抑えることができます。これらの対策を講じることで、組織のシステムをNTLMの脆弱性を利用した攻撃から保護し、より強固なセキュリティ体制を構築することが可能になります。
対策 | 内容 |
---|---|
古い認証方式からの脱却 | NTLM認証の利用を停止し、Kerberos認証など、より安全な認証方式を採用する。 |
システムの更新 | Windows Server 2000以前の古いOSを使っている場合は、最新バージョンへの更新を行う。 |
ネットワークの監視体制強化 | ファイアウォールや侵入検知システムを導入し、外部からの不正アクセスや不審な通信をリアルタイムで監視する。 |
セキュリティ意識の向上
昨今、インターネット利用の急速な普及に伴い、企業や個人が保有する重要な情報が、ネットワークを介して盗み見られたり、改ざんされたりするリスクが高まっています。このような脅威から大切な情報資産を守るためには、強固なセキュリティ対策が欠かせません。
技術的な側面では、ネットワークにアクセスする際に、利用者が正当な人物かどうかを確認する「認証」の仕組みが重要です。しかし、従来広く使われてきた「NTLM」と呼ばれる認証方式には、攻撃者によって悪用される可能性のある脆弱性が存在します。そのため、より安全性の高い認証方式への移行を進める必要があります。
セキュリティ対策を効果的に機能させるためには、技術的な対策だけでなく、私たち一人ひとりのセキュリティ意識の向上が不可欠です。例えば、発信元が不明なメールや、身に覚えのないメールに添付されたファイルは、ウイルス感染の危険性があるため、安易に開かないようにする必要があります。また、不正アクセスを防ぐためには、定期的にパスワードを変更するなど、基本的な対策を徹底することが重要です。
このように、セキュリティ対策には、技術的な側面と、一人ひとりの意識の両面からの取り組みが重要です。常に最新の情報を入手し、セキュリティに対する意識を高めていくように心がけましょう。
セキュリティ対策の要点 | 具体的な対策 |
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技術的な対策 | – より安全性の高い認証方式への移行 – ネットワークへのアクセス制御 |
一人ひとりの意識向上 | – 不審なメールの開封防止 – 定期的なパスワード変更 – セキュリティに関する最新情報の入手 |