CNAPPで進化するクラウドアプリケーションセキュリティ
セキュリティを知りたい
先生、「シーナップ」って最近よく聞くんですけど、何のことですか?
セキュリティ研究家
良い質問ですね。「シーナップ」は、クラウド上で動くアプリを守るための仕組みのことだよ。具体的には、アプリを動かすための入れ物や、クラウドの環境、アプリそのものを守る機能をまとめて、しっかりと安全に管理しようという考え方なんだ。
セキュリティを知りたい
アプリを動かすための入れ物というと、例えばどんなものがありますか?
セキュリティ研究家
例えば「コンテナ」といった技術がそれに当たるよ。コンテナは、アプリを動かすために必要なものをひとまとめにする技術で、クラウド上でのアプリ運用によく使われているんだ。シーナップでは、このコンテナも保護の対象になるんだよ。
CNAPPとは。
安全性を高めるための知識、『CNAPP』について説明します。『CNAPP』は英語の『Cloud Native Application Protection Platform』を縮めたもので、日本語では『クラウド上のアプリケーションを守るための仕組み』という意味になります。一般的には『シーナップ』と発音されます。『CNAPP』はクラウド上で動くアプリケーションの安全を確保するための枠組みであり、コンテナの検査や、クラウドの安全設定の確認、クラウド上で動くプログラムの監視など、様々な安全対策機能を組み合わせた考え方です。
クラウドネイティブな時代のセキュリティとは
– クラウドネイティブな時代のセキュリティとは
近年、情報技術の進化により、従来の自社運用によるデータセンターから、クラウドと呼ばれる外部のサービスを利用したシステム運用が主流になりつつあります。中でも「クラウドネイティブ」と呼ばれる、クラウドの特性を最大限に活かした、より柔軟で拡張性の高いシステム構築が注目されています。しかし、この新しい技術の進歩は、セキュリティ面においても新たな課題を突きつけています。
従来のデータセンターでは、物理的な境界でシステムを保護し、侵入者を防ぐことがセキュリティ対策の中心でした。しかし、クラウドネイティブ環境では、仮想化技術やコンテナ技術の利用により、システムの境界は複雑化し、常に変化するようになりました。そのため、従来型の境界防御を中心としたセキュリティ対策では、十分な効果を得ることが難しくなっています。クラウドネイティブ環境におけるセキュリティ対策では、システムの構成要素やデータへのアクセス制御、変化を常に監視する仕組み、そして万が一の侵害を想定した迅速な復旧体制の構築など、より多層的で動的なアプローチが求められます。
クラウドネイティブ環境で安全を確保するには、開発者、運用者、セキュリティ担当者が緊密に連携し、セキュリティ対策をシステム開発の初期段階から組み込むことが重要です。また、クラウドサービスプロバイダーが提供するセキュリティ機能を積極的に活用することも有効な手段となります。
項目 | 内容 |
---|---|
従来のセキュリティ対策 | 物理的な境界でのシステム保護、侵入防止が中心 |
クラウドネイティブ環境でのセキュリティ課題 | 仮想化技術やコンテナ技術によるシステム境界の複雑化、変化への対応 |
クラウドネイティブ環境でのセキュリティ対策 | アクセス制御、変化の監視、迅速な復旧体制の構築など、多層的で動的なアプローチが必要 |
セキュリティ対策のポイント | 開発者、運用者、セキュリティ担当者の連携、セキュリティ対策の早期組み込み、クラウドサービスプロバイダーのセキュリティ機能活用 |
CNAPP:包括的なクラウドアプリケーション保護
– CNAPP包括的なクラウドアプリケーション保護近年、企業活動においてクラウドコンピューティングの利用が進むにつれて、重要な情報資産を扱うアプリケーションもクラウド上で運用されるケースが増えています。それに伴い、従来の境界型のセキュリティ対策では対応が困難になりつつあり、クラウド環境に特化した新たなセキュリティ対策が求められています。このような背景から注目されているのが、「シーナップ」と呼ばれるCNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)です。CNAPPは、クラウド上で開発・運用されるアプリケーションのセキュリティを包括的に確保するためのフレームワークと言えます。では、CNAPPは具体的にどのような仕組みでアプリケーションを保護するのでしょうか?従来のセキュリティ対策では、個別のセキュリティ製品を導入し、それぞれを管理する必要がありました。しかし、CNAPPはコンテナセキュリティ、APIセキュリティ、コンプライアンスチェックといった多岐にわたるセキュリティ機能を統合的に提供します。これにより、管理者は複数のセキュリティ製品を個別に管理する必要がなくなり、運用負荷を大幅に削減することが可能になります。さらに、CNAPPはクラウドネイティブな環境に最適化されているため、従来型のセキュリティ対策ではカバーしきれなかった部分まで保護することができます。例えば、コンテナイメージの脆弱性スキャンやAPI通信の保護など、クラウドネイティブアプリケーション特有のリスクにも対応可能です。このように、CNAPPはクラウドアプリケーションのセキュリティ対策を包括的に強化する上で非常に有効な手段となります。企業は、CNAPPの導入を検討することで、より安全なクラウド環境を実現し、重要な情報資産を脅威から守ることができます。
CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム) |
---|
クラウド上で開発・運用されるアプリケーションのセキュリティを包括的に確保するためのフレームワーク |
コンテナセキュリティ、APIセキュリティ、コンプライアンスチェックといった多岐にわたるセキュリティ機能を統合的に提供 |
クラウドネイティブな環境に最適化されており、コンテナイメージの脆弱性スキャンやAPI通信の保護など、クラウドネイティブアプリケーション特有のリスクにも対応可能 |
従来のセキュリティ対策との違い
– 従来のセキュリティ対策との違い従来のセキュリティ対策は、特定の脅威からシステムを守ることに重点を置いており、一つずつ対策を講じていくという方法が一般的でした。しかし、クラウドネイティブな環境は、従来のシステムとは大きく異なる特徴を持っています。絶えず変化し、複雑にサービスが連携するクラウドネイティブな環境では、従来の方法ではすべての脅威に対応しきれない可能性があります。CNAPPは、クラウドネイティブな環境全体を包括的に捉え、セキュリティ対策を行うという点で、従来の対策とは大きく異なります。開発の段階から運用、そしてクラウドの基盤となるインフラストラクチャまで、あらゆる段階においてセキュリティを考慮することで、より効果的にリスクを抑え込むことができます。従来の、個別の脅威への対策を積み重ねる方法は、いわば点の防御です。これに対し、CNAPPは、クラウドネイティブ環境全体を面で守るという、より強固で、変化にも対応しやすいセキュリティ対策を実現します。
項目 | 従来のセキュリティ対策 | CNAPP |
---|---|---|
対策の考え方 | 特定の脅威を対象に、個別に防御策を講じる (点の防御) | クラウドネイティブ環境全体を包括的に捉え、あらゆる段階でセキュリティ対策を実施 (面の防御) |
メリット・デメリット | – メリット: 特定の脅威への対策はしやすい – デメリット: 環境の変化に対応しにくい、新たな脅威への対応が遅れる可能性がある |
– メリット: 環境の変化に強く、包括的なセキュリティ対策が可能 – デメリット: 導入や運用が複雑になる場合がある |
クラウドネイティブ環境への対応 | 変化への対応が難しい | 変化に強く、効果的にリスクを抑え込むことが可能 |
CNAPPの主な機能
– CNAPPの主な機能CNAPPは、従来のセキュリティ対策では対応が難しかったクラウドネイティブアプリケーション特有の脆弱性や脅威に対応するために開発された、包括的なセキュリティプラットフォームです。その主な機能は、大きく分けて「予防」「検知」「対応」の3つのフェーズに分類できます。-予防-まず、アプリケーションの開発段階からセキュリティリスクを排除するために、CNAPPはコンテナイメージやIaCテンプレートの静的解析を行い、既知の脆弱性や設定ミスを検出します。 開発者は、指摘された問題点を修正することで、安全なアプリケーションを構築できます。また、APIの脆弱性スキャンも実行し、悪意のある攻撃からAPIを保護します。-検知-運用段階では、クラウド環境全体をリアルタイムで監視し、不正なアクセスや疑わしい挙動を検知します。 ログ分析や機械学習などの技術を用いることで、巧妙化する脅威にも対応します。さらに、設定ドリフト検知機能により、運用開始後に発生した設定変更を検知し、セキュリティリスクの増加を抑制します。-対応-万が一、セキュリティインシデントが発生した場合でも、CNAPPは自動化された対応策を提供することで、被害の拡大を防ぎます。 例えば、不正なアクセスを遮断したり、影響を受けたシステムを隔離したりすることができます。また、コンプライアンス遵守の自動化機能も備えており、セキュリティ監査やレポート作成を効率化します。このように、CNAPPはクラウドネイティブアプリケーションのセキュリティ対策に必要な機能を包括的に提供することで、企業の安全なクラウド活用を支援します。
フェーズ | 機能 | 説明 |
---|---|---|
予防 | コンテナイメージ/IaCテンプレートの静的解析 | 既知の脆弱性や設定ミスを開発段階で検出 |
予防 | APIの脆弱性スキャン | 悪意のある攻撃からAPIを保護 |
検知 | クラウド環境のリアルタイム監視 | 不正なアクセスや疑わしい挙動を検知 |
検知 | 設定ドリフト検知 | 運用開始後の設定変更を検知し、セキュリティリスクの増加を抑制 |
対応 | 自動化された対応策 | 不正なアクセス遮断、影響を受けたシステムの隔離などにより被害拡大を防止 |
対応 | コンプライアンス遵守の自動化 | セキュリティ監査やレポート作成を効率化 |
CNAPP導入のメリット
– CNAPP導入のメリット昨今、多くの企業がビジネスの効率化や迅速なサービス展開を実現するために、クラウドネイティブアプリケーションを積極的に活用しています。しかし、その一方で、セキュリティ対策の複雑化や攻撃対象領域の拡大といった新たな課題も浮上しています。このような課題に対処するために注目されているのが、CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)です。CNAPPは、その名の通りクラウドネイティブアプリケーションのセキュリティ対策に特化した統合プラットフォームです。従来のセキュリティ対策では、個別のセキュリティ製品を組み合わせる必要があり、管理や運用の負担が大きくなりがちでした。しかし、CNAPPを導入することで、開発から運用までのライフサイクル全体にわたって、包括的なセキュリティ対策を効率的に実施できるようになります。CNAPP導入によるメリットは多岐に渡ります。まず、クラウドネイティブ環境における様々な脅威を検知し、迅速な対応を可能にすることで、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクを大幅に低減できます。また、セキュリティ運用を自動化することで、従来は人手に頼っていた作業を効率化し、運用コストの削減やセキュリティ担当者の負担軽減を実現します。さらに、開発段階からセキュリティ対策を組み込むことで、潜在的な脆弱性を早期に発見し、修正することが可能となり、より安全なアプリケーション開発を促進します。このように、CNAPPは企業が抱えるクラウドネイティブセキュリティの課題を解決するための有効な手段となります。CNAPP導入を検討することで、より安全で信頼性の高いクラウドネイティブアプリケーションの運用を実現できるでしょう。
メリット | 説明 |
---|---|
リスク低減 | クラウドネイティブ環境の脅威を検知し、迅速な対応を可能にすることで、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクを大幅に低減 |
コスト削減 | セキュリティ運用を自動化することで、従来は人手に頼っていた作業を効率化し、運用コストの削減やセキュリティ担当者の負担軽減を実現 |
開発の安全性向上 | 開発段階からセキュリティ対策を組み込むことで、潜在的な脆弱性を早期に発見し、修正することが可能となり、より安全なアプリケーション開発を促進 |
まとめ:安全なクラウドネイティブ環境に向けて
– まとめ安全なクラウドネイティブ環境に向けて昨今、多くの企業がシステムの近代化を進める中で、クラウドネイティブな環境への移行が加速しています。この流れは、従来のシステム運用に比べて柔軟性や拡張性に優れているクラウドの利点を最大限に活かすために非常に有効です。しかし、その一方で、新たなセキュリティリスクへの対応も求められるようになっています。従来型のシステム環境と比較して、クラウドネイティブ環境は、コンテナやマイクロサービスといった新しい技術要素が複雑に組み合わさっている点が特徴です。この複雑さゆえに、セキュリティ対策の難しさも増しており、従来型のセキュリティ対策をそのまま適用できないケースも少なくありません。セキュリティ対策の不足は、企業にとって情報漏洩やサービス停止といった深刻な事態を招きかねず、ビジネスの継続性を脅かす大きなリスクとなります。クラウドネイティブ環境におけるセキュリティ対策の要となるのが、「CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)」という包括的なセキュリティプラットフォームです。CNAPPは、クラウドネイティブ環境特有の複雑さを考慮した上で、開発から運用までの各段階において多層的なセキュリティ対策を提供します。これにより、企業はクラウドネイティブ環境全体におけるセキュリティ体制を強化し、安心してクラウドの利活用を進めることができるようになります。クラウドネイティブ環境のセキュリティ対策は、企業が安心してデジタル変革を推進するために不可欠な要素です。包括的なセキュリティ対策を積極的に講じることで、企業はクラウドのメリットを享受しながら、より安全な環境でビジネスを成長させることができるでしょう。
クラウドネイティブ環境のメリット | クラウドネイティブ環境の課題 | 解決策 |
---|---|---|
柔軟性や拡張性に優れている | 従来型のセキュリティ対策が適用できない場合がある セキュリティ対策の不足は、情報漏洩やサービス停止などのリスクに繋がる |
CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)の導入 開発から運用までの各段階における多層的なセキュリティ対策 |