企業のクラウド利用を安全にするCASBとは?

企業のクラウド利用を安全にするCASBとは?

セキュリティを知りたい

「CASB」って最近よく聞くけど、具体的に何をするものなの?

セキュリティ研究家

そうですね。「CASB」は、会社の人が使う色々なクラウドサービスを安全に利用できるように管理する仕組みです。例えば、皆さんが普段使っているオンラインストレージや、資料を作るサービスもクラウドサービスの一種です。

セキュリティを知りたい

なるほど。でも、クラウドサービスを使うのに、なぜ管理が必要なの?

セキュリティ研究家

実は、会社が把握していないクラウドサービスを従業員が勝手に使うと、情報漏えいのリスクが高まります。「CASB」を使うことで、誰がどんなクラウドサービスを使っているか把握できるようになり、情報漏えいを防ぐための対策ができるのです。

CASBとは。

会社の情報を守るための技術に「CASB」というものがあります。これは、2012年にアメリカのガートナー社という会社が考えたもので、増え続けるクラウドサービスの利用に伴う問題を解決するための方法と技術のことです。「CASB」は「Cloud Access Security Broker」の略で、「キャズビー」または「キャスビー」と読みます。最近では、多くの会社でクラウドサービスが使われるようになってきました。国の情報通信に関する資料によると、会社でクラウドサービスを使っている割合は7割以上にもなります。しかし、その一方で、クラウドサービスの利用にともなう問題も出てきています。特に多いのが、会社の許可なく、こっそりとクラウドサービスを使う「シャドーIT」と呼ばれる問題です。社員個人や部署が、会社の情報システムの担当者に知らせずに、勝手にクラウドサービスを使うケースが増えているのです。その結果、社員がサービスにアクセスする経路は複雑になり、会社の情報が社内ではなく外部のクラウドサービス上に散らばってしまいます。そのため、情報管理を徹底したり、状況を把握することが難しくなり、管理責任に関する問題や情報漏えいの危険性が高まっています。CASBは、社員とクラウドサービスの間に、チェックポイントのようなものを設置して、クラウドサービスの利用を一括管理します。これにより、誰がどのようにクラウドサービスを使っているかを把握したり、あらかじめ決めたルールに従ってアクセスを制限したり、情報を暗号化して守ったりすることができます。また、怪しい通信などを発見した場合は、クラウドサービスへのアクセスを遮断して、安全な利用を確保します。便利なサービスを使いたいという社員の要望をすべて拒否するのは難しく、それが「シャドーIT」の増加につながってしまうこともあります。しかし、CASBを使えば、さまざまなクラウドサービスを安全に利用することができます。働き方改革を進めるために導入する会社も増えており、今後もさらに利用が広がっていくと予想されています。

急増するクラウドサービスと新たなセキュリティリスク

急増するクラウドサービスと新たなセキュリティリスク

近年、多くの企業が業務の効率化や費用の削減を目指して、データをインターネット上のサーバーに保存し、どこからでも利用できるクラウドサービスを積極的に導入しています。大変便利なクラウドサービスですが、従来の社内システムとは異なるセキュリティ対策が必要となるため、新たな課題も出てきています。特に、従業員が会社の許可を得ずに、個人的に仕事でクラウドサービスを利用する「シャドーIT」と呼ばれる行為は深刻な問題を引き起こす可能性があります。
シャドーITは、会社のセキュリティ対策の穴となり、情報漏えいや不正アクセスなどの危険性を高めます。さらに、管理部門が把握していないサービスが利用されることで、適切な管理や法令遵守が難しくなるという問題も発生します。
クラウドサービスを安全に利用するためには、まず会社全体でセキュリティに関する意識を高めることが重要です。具体的には、従業員に対して、シャドーITの危険性やセキュリティの重要性についての研修を定期的に行う必要があります。また、会社が承認したクラウドサービスを明確に示し、従業員が安全なサービスを選択できるようにするガイドラインを策定することも有効です。
さらに、利用状況を監視するツールの導入やアクセス権限の適切な設定など、技術的な対策も重要となります。
クラウドサービスは、正しく利用すれば、企業の成長に大きく貢献する強力なツールとなります。セキュリティリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、安心してクラウドの恩恵を受けることができるでしょう。

クラウドサービス利用におけるリスク 対策
シャドーIT:従業員が会社の許可なく個人的にクラウドサービスを利用すること
  • 従業員への定期的な研修(シャドーITの危険性、セキュリティの重要性)
  • 会社が承認したクラウドサービスの明示とガイドライン策定
  • 利用状況の監視ツールの導入
  • アクセス権限の適切な設定

CASBとは何か

CASBとは何か

– CASBとは何か近年、業務効率化やコスト削減を目的として、多くの企業が重要なデータを含む業務システムをクラウドサービス上で運用するケースが増えてきました。一方で、クラウドサービスの利用範囲が広がるにつれて、企業の重要な情報資産が脅威にさらされるリスクも高まっています。例えば、従来型のセキュリティ対策では、社内ネットワーク外部のクラウドサービスまで監視が行き届かず、不正アクセスや情報漏洩のリスクを十分に制御できない可能性があります。このようなクラウドサービス利用に伴うリスクを軽減するために登場したのがCASB(Cloud Access Security Broker)です。 CASBは、ユーザーとクラウドサービスの間に配置され、いわばクラウドサービス利用の門番のような役割を果たします。CASBは、すべての通信を監視することで、不正アクセスやコンピューターウイルスなどの脅威を検知し、遮断します。具体的には、ユーザーのアクセス権限に応じてクラウドサービスへのアクセスを制限したり、送信されるデータを暗号化したりすることで、機密情報の漏洩を防ぎます。CASBを導入することで、企業はより安全にクラウドサービスを活用できるようになり、業務効率の向上やコスト削減といったメリットを享受することができます。CASBは、変化の激しい現代のビジネス環境において、企業の情報セキュリティ対策の要となる技術と言えるでしょう。

CASBとは 機能 メリット
クラウドサービス利用に伴うリスクを軽減するセキュリティ対策 – ユーザーとクラウドサービス間の通信監視
– 不正アクセスやウイルスの検知・遮断
– アクセス権限に応じたアクセス制限
– データの暗号化
– クラウドサービスの安全な活用
– 業務効率の向上
– コスト削減

CASBの主な機能

CASBの主な機能

– CASBの主な機能CASBは、クラウドサービスの利用状況を把握し、セキュリティ対策を強化するための機能を豊富に備えています。ここでは、特に重要な機能をいくつか紹介します。-1. 可視化- 近年、多くの企業で様々なクラウドサービスが利用されていますが、その全体像を把握することは容易ではありません。CASBを導入することで、社内で利用されているクラウドサービスの種類や、それぞれの利用状況を可視化することができます。これは、シャドーITの発見や、利用状況に応じた適切なセキュリティ対策の実施に役立ちます。-2. アクセス制御- クラウドサービス上の重要なデータへのアクセスを適切に管理することは、情報漏えいリスクを低減する上で不可欠です。CASBでは、ユーザーや所属部署、アクセス時間帯などに基づいて、クラウドサービスへのアクセス権限を細かく設定することができます。例えば、特定の部署のみにアクセスを許可したり、業務時間外はアクセスを制限したりすることが可能です。-3. 脅威からの保護- クラウドサービスはインターネットを通じてアクセスされるため、常にサイバー攻撃の脅威にさらされています。CASBは、従来のセキュリティ対策では防ぎきれない、クラウドサービス特有の脅威に対しても効果を発揮します。具体的には、不正なアクセスをリアルタイムで検知・遮断する機能や、クラウド上のデータに対する悪意のあるソフトウェアの侵入を防ぐ機能などが挙げられます。-4. コンプライアンス- 企業は、個人情報保護法やGDPRなどの法令、業界標準を遵守する必要があります。CASBは、クラウドサービス上で扱われるデータの取り扱いを監視し、法令違反となる可能性のある行動を検知、防止することができます。これにより、企業はコンプライアンスリスクを低減し、社会的信頼を維持することができます。

機能 説明
可視化 利用中のクラウドサービスの種類と利用状況を可視化し、シャドーITの発見や適切なセキュリティ対策の実施を支援
アクセス制御 ユーザー、所属部署、アクセス時間帯などに基づいてクラウドサービスへのアクセス権限を設定し、情報漏えいリスクを低減
脅威からの保護 不正アクセスをリアルタイムで検知・遮断、悪意のあるソフトウェアの侵入を防ぐなど、クラウドサービス特有の脅威から保護
コンプライアンス データの取り扱いを監視し、法令違反となる可能性のある行動を検知・防止することで、コンプライアンスリスクを低減し、社会的信頼を維持

CASB導入のメリット

CASB導入のメリット

– CASB導入のメリット近年、業務効率化やコスト削減を目的として、多くの企業でクラウドサービスの利用が進んでいます。それと同時に、企業が把握していないクラウドサービスの利用や、クラウド上のデータ漏洩などのセキュリティリスクも増加しています。このような状況下において、CASB(クラウドアクセスセキュリティブローカー)は、企業のクラウドセキュリティ対策の要として注目されています。CASBを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか。まず、従業員が個人的に利用している、会社が許可していないクラウドサービス(シャドーIT)の利用を抑制できます。CASBは、クラウドサービスへのアクセスを監視し、不正な利用を検知してブロックすることで、シャドーITに起因する情報漏洩のリスクを低減します。次に、クラウドサービス利用におけるセキュリティ対策を強化できます。従来のセキュリティ対策は、オンプレミス環境を前提としているため、クラウドサービス利用時のセキュリティ対策としては不十分な場合があります。CASBは、クラウドサービスへのアクセスを仲介し、一元的にセキュリティ対策を適用することで、より強固なセキュリティを実現します。さらに、複数のセキュリティ製品を個別に導入するよりもコストを抑え、包括的なセキュリティ対策を実現できます。従来型のセキュリティ対策では、ファイアウォールやアンチウイルスソフトなど、複数の製品を個別に導入する必要がありました。CASBは、これらの機能を統合的に提供することで、コスト削減と運用管理の負荷軽減を実現します。最後に、GDPR(一般データ保護規則)などの法令や業界標準に準拠したデータ保護を支援することで、企業のコンプライアンスリスクを低減します。CASBは、クラウド上のデータへのアクセス制御や暗号化などの機能を提供することで、企業の重要な情報を保護し、法令遵守を徹底します。このように、CASBは企業のクラウドセキュリティ対策に多くのメリットをもたらします。企業は、自社のセキュリティリスクやクラウドサービスの利用状況に応じて、CASBの導入を検討することが重要です。

メリット 説明
シャドーITの抑制 従業員による無許可のクラウドサービス利用を監視・ブロックし、情報漏洩リスクを低減
クラウドサービス利用におけるセキュリティ対策強化 クラウドサービスへのアクセスを仲介し、一元的なセキュリティ対策を適用することで、強固なセキュリティを実現
コスト削減と運用管理の負荷軽減 複数のセキュリティ製品の機能を統合的に提供することで、コスト削減と運用管理の負荷軽減を実現
法令遵守の徹底 GDPRなどの法令や業界標準に準拠したデータ保護機能を提供し、コンプライアンスリスクを低減

CASB導入を検討する際のポイント

CASB導入を検討する際のポイント

– CASB導入を検討する際のポイント

昨今、多くの企業が業務効率化やコスト削減のためにクラウドサービスの利用を進めています。それに伴い、クラウドサービスにおけるセキュリティ対策の重要性も増しています。クラウドサービスへのアクセスを制御し、安全性を確保するためのソリューションとして注目されているのがCASB(クラウドアクセスセキュリティブローカー)です。CASB導入を検討する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

まず、自社のニーズに合致したCASBの選定が重要です。一口にCASBと言っても、提供される機能や対応するクラウドサービスなどが製品によって異なります。例えば、あるCASBはアクセス制御に強みを持つ一方、別のCASBはマルウェア対策に特化しているといった具合です。そのため、闇雲に導入するのではなく、自社のセキュリティ要件を明確にした上で、最適な製品を選択する必要があります。具体的には、利用するクラウドサービスの種類、アクセス制御の要件、必要なセキュリティ機能などを洗い出すことが重要です。

次に、既存のセキュリティシステムとの連携も重要となります。多くの企業では、既にファイアウォールやアンチウイルスソフトなどのセキュリティ対策を講じているかと思います。CASBを導入する際には、これらの既存システムとの連携を考慮する必要があります。CASBを既存のセキュリティシステムと連携させることで、それぞれのシステムの情報を共有し、より効果的なセキュリティ対策を実現できます。例えば、ファイアウォールで検知した不審なアクセスをCASBに通知することで、クラウドサービスへの不正アクセスを防止するといった連携が考えられます。

そして、導入後の運用体制の整備も欠かせません。CASBは導入すれば終わりではありません。効果的に運用するためには、適切な設定や定期的な監視、そして、インシデント発生時の対応などを明確にした運用体制を構築する必要があります。具体的には、誰がCASBの管理を行うのか、どのようなログを取得・分析するのか、インシデント発生時にはどのように対応するのかなどをあらかじめ決めておくことが重要です。

CASBは、適切に導入・運用することで、クラウドサービスのセキュリティリスクを大幅に低減することができます。導入を検討する際は、これらのポイントを踏まえ、自社にとって最適なCASBを選定し、安全なクラウド環境を実現しましょう。

検討ポイント 詳細
自社のニーズに合致したCASBの選定 – 製品ごとに機能や対応サービスが異なるため、自社のセキュリティ要件に最適な製品を選ぶ。
– 利用するクラウドサービスの種類、アクセス制御の要件、必要なセキュリティ機能などを明確にする。
既存のセキュリティシステムとの連携 – ファイアウォールやアンチウイルスソフトなど、既存のセキュリティシステムとの連携を考慮する。
– システム間で情報を共有することで、より効果的なセキュリティ対策を実現する。
導入後の運用体制の整備 – 適切な設定、定期的な監視、インシデント発生時の対応などを明確にした運用体制を構築する。
– CASBの管理者、ログ取得・分析方法、インシデント対応手順などを事前に決定する。
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