進化するサイバー脅威に対抗するNIS2指令

進化するサイバー脅威に対抗するNIS2指令

セキュリティを知りたい

先生、「セキュリティを高めるための知識、『NIS2指令』って、何ですか?難しそうな名前で、よく分かりません。

セキュリティ研究家

そうだね。『NIS2指令』は、簡単に言うと、ヨーロッパで作られた、インターネットやコンピューターの安全を守るための新しいルールなんだ。企業や組織が、もっとしっかりセキュリティ対策をするように促すのが目的だよ。

セキュリティを知りたい

ふーん。なんで、ヨーロッパのルールなのに、僕たちが知らなきゃいけないんですか?

セキュリティ研究家

それは、インターネットの世界は国境がないからだよ。ヨーロッパの企業がサイバー攻撃を受けると、その影響は、日本にも及ぶ可能性があるんだ。だから、僕たちも『NIS2指令』がどんなものか、知っておくことは大切なんだよ。

NIS2指令とは。

「NIS2指令」は、ヨーロッパ連合(EU)の加盟国全体のサイバーセキュリティのレベルを底上げするための新しい法律です。2022年12月に欧州委員会で承認され、2024年10月から施行されます。この法律は、サイバーセキュリティ対策のレベルが国によって異なる現状を改善し、急速に進むデジタル化に伴い巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対抗することを目指しています。

この指令は、2016年に導入された「ネットワークと情報セキュリティに係る指示(NIS指令)」を最新のものにしたものです。今回の改訂では、経済や社会における重要性を考慮し、サイバーセキュリティの義務を守る必要がある対象となる分野が、以下の分野(および行政機関)にまで広げられました。

この指令では、対象となる組織に対して、次のような対策や義務が求められます。

NIS2指令とは

NIS2指令とは

– NIS2指令とは

-# NIS2指令とは
NIS2指令は、ヨーロッパ連合(EU)が2022年12月に採択した、サイバーセキュリティに関する新しい指令です。正式には「ネットワークと情報システムのセキュリティ確保に関する指令」といい、2016年に制定されたNIS指令をより強化し、発展させたものとなります。

この指令は、EU域内の様々な組織や企業に対して、サイバー攻撃からシステムやデータを保護するためのより厳しい要件を課すことを目的としています。具体的には、リスク管理、セキュリティ対策の実施、インシデントへの対応、情報共有などが求められます。

対象となるのは、エネルギー、交通、金融、医療、水道などの重要インフラストラクチャに関わる事業者や、デジタルサービスを提供するオンラインプラットフォーム、検索エンジン、ソーシャルメディアなどの大手デジタルサービス事業者です。

NIS2指令は、2024年10月からの施行を予定しており、EU加盟国は自国の法律をNIS2指令に合わせて整備する必要があります。

NIS2指令は、EU域内におけるサイバーセキュリティレベルの底上げを図り、市民や企業をサイバー攻撃から守ることを目指しています。

項目 内容
指令名 ネットワークと情報システムのセキュリティ確保に関する指令 (NIS2指令)
制定年 2022年12月
目的 EU域内の組織や企業に対し、サイバーセキュリティ対策の強化を義務付け、サイバー攻撃からシステムやデータを守る
主な内容 – リスク管理
– セキュリティ対策の実施
– インシデントへの対応
– 情報共有
対象 – エネルギー、交通、金融、医療、水道などの重要インフラストラクチャに関わる事業者
– デジタルサービスを提供するオンラインプラットフォーム、検索エンジン、ソーシャルメディアなどの大手デジタルサービス事業者
施行開始 2024年10月

NIS2指令の目的

NIS2指令の目的

– NIS2指令の目的

NIS2指令は、ヨーロッパ連合(EU)全体のサイバーセキュリティのレベルを向上させることを大きな目的としています。近年、社会全体のあらゆる活動がインターネットに接続されるようになり、それに伴いサイバー攻撃も増加し続けています。攻撃の手法は巧妙化し、電力やガス、水道などの重要な社会インフラや、製品やサービスを提供するためのサプライチェーンなど、その対象範囲も広がっています。このような状況を改善するために、NIS2指令はより強力で統一されたサイバーセキュリティ対策をEU全体の加盟国に義務付けています。

具体的には、エネルギーや交通、金融、医療など、社会にとって重要な16の分野の企業や組織に対して、リスク管理やセキュリティ対策の実施、インシデント発生時の報告などを求めています。これにより、サイバー攻撃を受けた際の被害を最小限に抑え、社会全体としてのサイバー攻撃に対する回復力を高めることを目指しています。NIS2指令は、EU全体のサイバーセキュリティレベルを引き上げるための重要な取り組みであり、加盟国は積極的にその内容を国内法に反映し、実施していく必要があります。

目的 対象 内容
EU全体のサイバーセキュリティレベル向上 エネルギー、交通、金融、医療など、社会にとって重要な16の分野の企業や組織 リスク管理、セキュリティ対策の実施、インシデント発生時の報告など

対象範囲の拡大

対象範囲の拡大

– 対象範囲の拡大

これまで日本では、電力やガスなどの重要インフラを担う事業者を対象に、サイバーセキュリティ対策の強化を目的とした「電気事業におけるサイバーセキュリティ対策に関するガイドライン」や「ガス事業におけるサプライチェーン・リスクマネジメントに関するガイドライン」などが定められてきました。

しかし、近年、社会のデジタル化が急速に進むにつれて、サイバー攻撃は、特定の業界のみならず、社会全体に影響を及ぼす可能性が高まっています。そこで、より広範な事業者に対して、サイバーセキュリティ対策を強化するために制定されたのがNIS2指令です。

NIS2指令では、従来の重要インフラに加え、製造業やデジタルサービス、食品供給網など、幅広い業種が対象となります。これは、現代社会においては、あらゆる企業がサイバー攻撃の標的となりうるという認識に基づいています。

例えば、製造業では、生産ラインの制御システムがサイバー攻撃を受けると、製品の品質不良や納期の遅延など、大きな損害が生じる可能性があります。また、デジタルサービスでは、個人情報や企業秘密などの重要データが盗み取られると、深刻な被害につながる可能性があります。さらに、食品供給網では、物流システムがサイバー攻撃を受けると、食品の供給が滞り、国民生活に大きな影響が生じる可能性があります。

このように、NIS2指令は、現代社会におけるサイバーセキュリティの重要性を踏まえ、より多くの事業者に対して、適切な対策を講じることを求めるものとなっています。

従来の対象 NIS2指令による拡大 対象拡大の背景
電力、ガスなど重要インフラを担う事業者 – 製造業
– デジタルサービス
– 食品供給網
– その他幅広い業種
– 社会のデジタル化
– サプライチェーン全体への影響拡大
– あらゆる企業がサイバー攻撃の標的となる可能性

強化されたセキュリティ対策

強化されたセキュリティ対策

– 強化されたセキュリティ対策

近年、企業や組織を狙ったサイバー攻撃は増加の一途を辿っており、その手口は巧妙化しています。このような状況下、欧州連合(EU)では、ネットワークと情報システムのセキュリティを強化するための新たな指令であるNIS2指令が制定されました。

このNIS2指令によって、これまで以上に多くの組織がその対象となり、より強固なセキュリティ対策を講じることが求められるようになります。具体的には、リスクの洗い出しと評価に基づいた適切な管理体制の構築、万が一、情報セキュリティに関する事故が発生した場合の迅速な対応手順の整備、取引先を含むサプライチェーン全体におけるセキュリティ確保といった、多岐にわたる対策が義務付けられます。

さらに、情報を不正なアクセスから守るための暗号化技術の導入や、システムの弱点を見つけ出すための定期的な脆弱性診断の実施なども、重要な要素となります。そして、重大なセキュリティ侵害が発生した場合には、監督機関への報告を速やかに行う必要もあります。

これらの要件を満たすためには、最新の技術を活用したセキュリティ対策だけでなく、組織全体のセキュリティ意識を高めるための教育や訓練なども欠かせません。NIS2指令への対応は、単なる法令遵守ではなく、企業が安全な事業活動を継続していくための重要な取り組みと言えるでしょう。

NIS2指令の背景 具体的な対策
サイバー攻撃の増加と巧妙化に伴い、EUでネットワークと情報システムのセキュリティ強化のためのNIS2指令が制定された。
  • リスクの洗い出しと評価に基づいた適切な管理体制の構築
  • 情報セキュリティに関する事故発生時の迅速な対応手順の整備
  • 取引先を含むサプライチェーン全体におけるセキュリティ確保
  • 情報を不正なアクセスから守るための暗号化技術の導入
  • システムの弱点を見つけ出すための定期的な脆弱性診断の実施
  • 重大なセキュリティ侵害発生時の監督機関への迅速な報告
多くの組織がNIS2指令の対象となり、より強固なセキュリティ対策が求められる。
  • 最新の技術を活用したセキュリティ対策
  • 組織全体のセキュリティ意識を高めるための教育や訓練

NIS2指令がもたらす影響

NIS2指令がもたらす影響

– NIS2指令がもたらす影響NIS2指令は、EU域内にとどまらず、世界中の企業や組織に大きな影響を与えることが予想されます。特に、これまで安全対策に十分な投資を行ってこなかった企業は、早急に体制を築く必要に迫られます。NIS2指令は、電力や交通、金融、医療など、私たちの生活や社会を支える重要な11の分野を対象に、安全対策の強化を求めるものです。対象となる企業や組織は、規模の大小にかかわらず、事故や攻撃からシステムを守るための技術的対策と組織的対策を講じなければなりません。具体的には、リスク管理や従業員への教育、インシデントへの対応、サプライチェーンにおける安全性の確保などが求められます。また、重大な事故が発生した場合には、監督機関への報告が義務付けられます。NIS2指令への対応は、単なる法律を守るためだけのものではありません。企業は、事業を安全に継続し、顧客からの信頼を維持し、競争力を保つためにも、安全対策への投資を積極的に行う必要があります。NIS2指令への対応は、決して容易ではありませんが、専門家の助言を得ながら段階的に進めていくことが重要です。早急に取り組みを開始することで、企業は変化を成長の機会へと変え、より強固で安全な事業基盤を築くことができるでしょう。

NIS2指令の対象 NIS2指令で求められる対策 NIS2指令対応のメリット
電力、交通、金融、医療など、
私たちの生活や社会を支える重要な11の分野の企業・組織
(規模の大小は問わない)
・リスク管理
・従業員への教育
・インシデントへの対応
・サプライチェーンにおける安全性の確保
・重大な事故発生時の監督機関への報告
・事業を安全に継続
・顧客からの信頼維持
・競争力の維持
・より強固で安全な事業基盤の構築
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