油断大敵! アプリケーション層を狙う DDoS攻撃

油断大敵! アプリケーション層を狙う DDoS攻撃

セキュリティを知りたい

先生、「レイヤー7DDoS攻撃」ってよく聞くんですけど、普通のDDoS攻撃と何が違うんですか?

セキュリティ研究家

良い質問だね!普通のDDoS攻撃は、大量のデータを送りつけて攻撃対象をパンクさせるイメージかな。でも「レイヤー7DDoS攻撃」は、もっと賢くて、人間がホームページを見る時と同じように、アプリにたくさんの要求を送って攻撃するんだ。

セキュリティを知りたい

えーっと、アプリにたくさん要求を送るって、どういうことですか?

セキュリティ研究家

例えば、みんなが使っているこのサイトもアプリで動いているんだけど、このサイトに同時に何万人もアクセスしてきたらどうなるかな? パンクして見られなくなるよね。レイヤー7DDoS攻撃は、それを意図的に起こしているんだ。だから厄介なんだよ。

レイヤー7DDoS攻撃とは。

ネットワークの安全性を高める上で知っておくべき攻撃の一つに、「レイヤー7DDoS攻撃」があります。これは、ネットワークの仕組みを階層化したOSI参照モデルの最上位層であるアプリケーション層を狙った攻撃です。具体的には、アプリが提供する機能やサービスに対して、大量の要求を送りつけることで、それらの機能やサービスを停止に追い込みます。

例として、ウェブサイトへのアクセスに用いられるHTTPやHTTPSリクエストを大量に送りつける方法や、処理に時間のかかるHTTPリクエストを送りつけて負荷をかける「SlowHTTP攻撃」、特定のアプリ層プロトコルを悪用する方法などが挙げられます。

この攻撃は、従来の大量データ送信による攻撃や、通信の決まり事であるプロトコルを悪用した攻撃と比べて、現在も防御が難しく、攻撃者が頻繁に用いる手段となっています。2023年には「AnonymousSudan」と呼ばれる集団が、大手企業Microsoftのクラウドサービス基盤に対して、この攻撃を実行した事例も報告されています。

アプリケーション層を狙う DDoS攻撃とは

アプリケーション層を狙う DDoS攻撃とは

– アプリケーション層を狙う DDoS攻撃とは

インターネット上のサービスを妨害するサイバー攻撃の一つに、DDoS攻撃があります。DDoS攻撃は、大量のアクセスを送りつけることで、サーバーに過剰な負荷をかけてサービスを停止させてしまう攻撃です。

DDoS攻撃の中でも、特に巧妙なのがアプリケーション層を狙うDDoS攻撃です。これは、ユーザーがウェブサイトやアプリを閲覧する際に直接やり取りをする部分を攻撃対象とするものです。

ウェブサイトやアプリは、普段私たちが目にしている画面の裏側で、様々なプログラムが連携して動作しています。アプリケーション層を狙うDDoS攻撃は、これらのプログラムに対して、正規のユーザーになりすまして大量のアクセスや複雑な処理要求を送りつけます。

サーバーは、それが攻撃だと気づかずに対応しようとするため、過剰な負荷がかかってしまい、本来のサービスを提供できなくなってしまいます。その結果、ウェブサイトの閲覧ができなくなったり、アプリが使えなくなったりするなど、ユーザーに大きな影響が生じます。

近年、攻撃の手法はますます巧妙化しており、従来の対策では防ぎきれないケースも増えています。そのため、アプリケーション層を狙うDDoS攻撃からシステムを守るためには、多層的なセキュリティ対策を講じることが重要です。

攻撃の種類 説明 特徴 対策
DDoS攻撃 大量のアクセスを送りつけることで、サーバーに過剰な負荷をかけてサービスを停止させる攻撃
アプリケーション層を狙うDDoS攻撃 正規のユーザーになりすまして、ウェブサイトやアプリのプログラムに対して大量のアクセスや複雑な処理要求を送りつける攻撃 従来の対策では防ぎきれないケースも増えている 多層的なセキュリティ対策が必要

攻撃の手口: リクエストでサービスをパンク状態に

攻撃の手口: リクエストでサービスをパンク状態に

– 攻撃の手口大量の要求でサービスをパンク状態に

インターネット上で公開されているサービスを狙う攻撃の中には、正規の利用者を装って大量のアクセスを送りつけ、サービスを妨害する攻撃があります。

これは、お店に一度に大量のお客が押し寄せる状況を想像すると分かりやすいでしょう。お店には一度に対応できる人数には限界があります。もし限界を超えた人数のお客が押し寄せたらどうなるでしょうか?

お店はパンク状態になり、本来のお客に商品を販売したり、サービスを提供したりすることができなくなってしまうでしょう。

インターネット上のサービスにおいても、全く同じことが起こります。

悪意のある攻撃者は、大量のアクセスをサービスに送りつけることで、サーバーに過剰な負荷をかけます。サーバーは処理能力を超えたアクセスを処理しきれなくなり、パンク状態に陥ってしまうのです。

その結果、本来サービスを利用するはずだった人たちは、サービスを利用できなくなってしまいます。

このような攻撃は、「サービス拒否攻撃」と呼ばれ、特にアプリケーション層を狙った攻撃は、Webサイトやアプリの表示速度を遅くしたり、完全に停止させたりするなど、甚大な被害をもたらす可能性があります。

攻撃手法 概要 目的 被害
サービス拒否攻撃
(DoS攻撃)
正規の利用者を装って大量のアクセスを送りつけ、サーバーに過剰な負荷をかける。 サービスを妨害する。Webサイトやアプリを遅くしたり、停止させたりする。 サービスの利用ができなくなる。
ビジネスの機会損失。
評判の低下。

具体的な攻撃方法: HTTP リクエストからプロトコル悪用まで

具体的な攻撃方法: HTTP リクエストからプロトコル悪用まで

– 具体的な攻撃方法 HTTP リクエストからプロトコル悪用までインターネット上のサービスを狙う攻撃者は、多種多様な方法でシステムのダウンを狙ってきます。特に、Webサーバーなど多くの利用者を相手にするシステムに対しては、膨大な量のデータを送りつけて過負荷状態に陥れる「DDoS攻撃」が頻繁に使われます。DDoS攻撃の中でも、アプリケーション層を標的とする攻撃は、一見すると普通のアクセスに見せかけて攻撃を加えるため、検出がより困難です。例えば、攻撃者はWebサーバーに対して大量のHTTPリクエストを送りつけ、処理能力を超えるアクセスを発生させることでサーバーを麻痺させます。また、Webページに埋め込まれた画像の読み込みを意図的に遅延させることでサーバーに負荷をかける「SlowHTTP攻撃」も、アプリケーション層を狙ったDDoS攻撃の一例です。一見するとアクセス数は多く見えないため、通常のアクセス増加と区別がつきにくい点が特徴です。さらに、攻撃者はネットワーク管理で利用されるSNMPv2や時刻同期に用いられるNTPといったUDPベースのプロトコルを悪用する場合もあります。これらのプロトコルはセキュリティ対策が十分でない場合があり、攻撃者が悪意のあるデータを送信することでシステムに障害を引き起こす可能性があります。このように、アプリケーション層DDoS攻撃は多岐にわたる方法で実行されるため、サービスを守るためには、攻撃手法を理解し、適切な対策を講じることが重要となります。

攻撃の種類 説明
DDoS攻撃 大量のデータを送りつけ、システムを過負荷状態に陥れる攻撃。
アプリケーション層DDoS攻撃 一見すると普通のアクセスに見せかけて攻撃を加えるため、検出がより困難なDDoS攻撃。
HTTP リクエスト悪用 Webサーバーに対して大量のHTTPリクエストを送りつけ、処理能力を超えるアクセスを発生させることでサーバーを麻痺させる。
SlowHTTP攻撃 Webページに埋め込まれた画像の読み込みを意図的に遅延させることでサーバーに負荷をかける。アクセス数は多く見えないため、通常のアクセス増加と区別がつきにくい。
UDPベースのプロトコル悪用 SNMPv2やNTPといったUDPベースのプロトコルはセキュリティ対策が十分でない場合があり、攻撃者が悪意のあるデータを送信することでシステムに障害を引き起こす可能性がある。

防御の難しさ: 見分けにくく、防ぎにくい

防御の難しさ: 見分けにくく、防ぎにくい

アプリケーション層 DDoS攻撃は、正規の利用者からのアクセスと見分けがつかないほど巧妙化しているため、従来のDDoS攻撃と比べて、攻撃の発生を検知し、防御することが非常に困難です。

従来のセキュリティ対策は、攻撃元を特定し、その攻撃元からのトラフィックを遮断することで、システムを保護していました。しかし、アプリケーション層 DDoS攻撃では、攻撃トラフィックが正規の利用者からのアクセスに酷似しているため、攻撃元を特定し、攻撃トラフィックだけを遮断することが容易ではありません。

そのため、従来のセキュリティ対策だけでは、攻撃トラフィックを完全に遮断することが難しい場合があり、攻撃の影響を最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。具体的には、アクセス集中が発生した場合でも、システムが正常に動作し続けるように、システムの処理能力を高める対策や、攻撃トラフィックを分散させて、システムへの負荷を軽減する対策などが有効です。

アプリケーション層 DDoS攻撃は、検知と防御が非常に困難であることを認識し、従来のセキュリティ対策に加えて、攻撃の影響を最小限に抑える対策を組み合わせることで、より強固なセキュリティ体制を構築することが重要です。

項目 内容
攻撃の特徴 正規の利用者からのアクセスと見分けがつかないほど巧妙化しており、攻撃の発生を検知し、防御することが非常に困難
従来の対策の課題 攻撃元特定と攻撃トラフィックの遮断が困難
有効な対策 – システムの処理能力を高める対策
– 攻撃トラフィックを分散させて、システムへの負荷を軽減する対策

最近の事例: Microsoft も標的に

最近の事例: Microsoft も標的に

近年、特定のシステムを狙って大量のデータを送りつけ、その処理能力を飽和させてサービスを停止させる攻撃が増加しています。この攻撃は、インターネット上の様々なサービスの土台となっているアプリケーション層を狙うことから、アプリケーション層DDoS攻撃と呼ばれています。

2023年には、世界的なテクノロジー企業であるMicrosoftが、ハッカー集団「AnonymousSudan」による大規模なアプリケーション層DDoS攻撃を受けました。この攻撃はMicrosoftが提供するクラウドサービス基盤であるAzureを標的にしたもので、その影響はAzureを利用する多くのサービスに及びました。

Microsoftのサービスは世界中で利用されており、今回の攻撃により、一部のサービスが断続的に利用できなくなるなど、ユーザーに大きな影響が出ました。この事例は、世界的な大企業であっても、アプリケーション層DDoS攻撃の標的となり、大きな被害を受ける可能性があることを示しています。もはや、規模の大小に関わらず、あらゆる組織が他人事ではないと言えるでしょう。

攻撃の種類 標的 影響 事例
アプリケーション層DDoS攻撃 アプリケーション層
(インターネット上の様々なサービスの土台)
サービスの停止、断続的な利用不能など 2023年 Microsoft Azureへの攻撃
ハッカー集団「AnonymousSudan」による攻撃により、Azureを利用する多くのサービスが影響を受けた。

対策: 多層防御と専門家の力

対策: 多層防御と専門家の力

– 対策 多層防御と専門家の力昨今、インターネット上のサービスは私たちの生活に欠かせないものとなっています。それと同時に、悪意を持った攻撃者からの脅威も増大しており、その手口も巧妙化しています。特に、Webアプリケーションを狙った DDoS攻撃は、サービスの停止を狙う代表的な攻撃手法として知られています。DDoS攻撃から大切なサービスを守るためには、「多層防御」という考え方が重要です。これは、例えるなら家の玄関に鍵をかけるだけでなく、窓にも柵を取り付けたり、センサーライトを設置したりするようなものです。複数のセキュリティ対策を重ねることで、攻撃を防ぐ力を高めることができるのです。Webアプリケーションを守るための具体的な対策としては、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入が挙げられます。WAFは、Webアプリケーションへの不正なアクセスを遮断するシステムです。また、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の活用も有効です。CDNは、世界中に分散されたサーバーにコンテンツを配信することで、Webサイトへのアクセスを分散し、攻撃の影響を軽減することができます。さらに、セキュリティ対策は常に最新の状態を保つ必要があります。そのためにも、専門のセキュリティ企業と連携し、最新の脅威情報や対策を共有することが重要です。専門家の知見を借りることで、より強固なセキュリティ体制を築くことができるでしょう。

DDoS攻撃対策 説明
多層防御 複数のセキュリティ対策を重ねることで、攻撃を防ぐ力を高める。
Webアプリケーションファイアウォール(WAF) Webアプリケーションへの不正なアクセスを遮断するシステム。
コンテンツデリバリーネットワーク(CDN) 世界中に分散されたサーバーにコンテンツを配信することで、Webサイトへのアクセスを分散し、攻撃の影響を軽減。
専門のセキュリティ企業と連携 最新の脅威情報や対策を共有し、より強固なセキュリティ体制を構築。
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