リモート管理ツールのリスクと対策

リモート管理ツールのリスクと対策

セキュリティを知りたい

「セキュリティを高めるための知識」で、『RMM』について説明されていましたが、難しくてよく分かりませんでした。具体的に、RMMが悪用されると、どうなるのでしょうか?

セキュリティ研究家

よくぞ聞いてくれました!RMMは、例えるなら、離れた場所にあるコンピューターを自由に操作できる魔法のリモコンのようなものです。便利な反面、悪者の手に渡ると大変危険です。

セキュリティを知りたい

魔法のリモコン…、なるほど。でも、具体的にどう危険なのですか?

セキュリティ研究家

例えば、悪者があなたのコンピューターをこっそり遠隔操作して、銀行口座の情報やパスワードを盗み見たり、勝手にファイルを消したりできてしまうんです。怖いですね。

RMMとは。

会社の情報システムを守るための知識として、「RMM」について説明します。「RMM」は「リモートモニタリングアンドマネジメント」の略で、離れた場所から情報システムを見守ったり、操作したりするためのソフトウェアのことです。具体的には、遠くにあるパソコンやネットワーク機器を管理するためのソフトウェアで、主に企業向けの情報システム管理サービスを提供する会社や、社内の情報システム担当者が使っています。

RMMの主な機能は、情報システムの状態を監視して適切に保つこと、パソコンの設定や構成を管理すること、離れた場所からパソコンに接続すること、機器やソフトウェアを最新の状態に保つこと、問題が発生した際に記録を残して管理すること、決まった作業を自動化することなどがあります。

RMMは、セキュリティ対策ソフトを提供している会社が販売しているほか、誰でも無料で使えるものもあります。本来は情報システム管理を目的として広く使われている便利なツールですが、最近では、悪意のある攻撃者がセキュリティ対策をすり抜けるために悪用するケースが増えています。

例えば、企業の情報を盗み出すためのウイルスや、身代金を要求するためにパソコンを勝手に操作するプログラムなどが、RMMを使って会社のシステムやネットワークに侵入することがあります。実際に、「AnyDesk」「TeamViewer」「SimpleHelp」「ItarianEndpointManager」「ScreenConnect」など、多くのRMMが悪用された事例が報告されています。

アメリカでは2023年1月、情報システムのサポート担当者を装ってRMMツールをパソコンにダウンロードさせ、ネットバンキングの口座情報などにアクセスして現金を盗み取る詐欺が増加しているとして、注意喚起が出されました。この時、攻撃者が悪用したツールとして、「AnyDesk」と「ScreenConnect」が挙げられています。

日本でも、SNSやダイレクトメッセージを使った詐欺をきっかけに、スマートフォンを遠隔操作されて現金を盗まれる事件が相次いでいます。このため、IPA(情報処理推進機構)は、遠隔操作ソフト(アプリ)を使う際の注意点について注意喚起を行いました。

リモート管理ツールの概要

リモート管理ツールの概要

– リモート管理ツールの概要

リモート管理ツール(RMM)は、地理的に離れた場所から情報技術環境を監視し、管理するためのソフトウェアです。企業の情報システム担当者や、情報技術のサポートサービスを提供する事業者などが、顧客のコンピュータやネットワーク機器を遠隔から操作する際に活用されています。

RMMの主な機能としては、

* システムの状態監視
* 設定変更
* ソフトウェアのアップデート
* トラブル対応

などが挙げられます。

システムの状態監視では、CPUやメモリの使用率、ハードディスクの空き容量、ネットワークの接続状態などをリアルタイムで把握することができます。また、設定変更では、ユーザーアカウントの管理、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの設定などを遠隔から行うことができます。

ソフトウェアのアップデートでは、OSやアプリケーションの修正プログラムを自動的に適用することができます。さらに、トラブル対応では、遠隔から顧客のコンピュータに接続し、問題解決のためのサポートを提供することができます。

このように、RMMは、企業の情報システム管理の効率化や、顧客への迅速なサポート提供を実現する上で、非常に重要な役割を担っています。

機能 説明
システムの状態監視 CPU使用率、メモリ使用率、ハードディスクの空き容量、ネットワーク接続状態などのリアルタイム監視
設定変更 ユーザーアカウント管理、ファイアウォール設定、ウイルス対策ソフト設定などを遠隔操作
ソフトウェアのアップデート OSやアプリケーションの修正プログラムの自動適用
トラブル対応 遠隔操作による問題解決サポートの提供

サイバー攻撃への悪用

サイバー攻撃への悪用

– サイバー攻撃への悪用

-# サイバー攻撃への悪用

リモートメンテナンスソフト(RMS)は、離れた場所からでもパソコンやサーバーを管理・操作できる便利なツールです。しかし、この利便性の高さは、裏を返せばサイバー攻撃者にとっても魅力的な侵入経路になり得ることを意味します。

攻撃者は、RMSの脆弱性を突いたり、認証情報を盗み取ったりすることで、正規の管理者になりすましてシステムにアクセスします。そして、RMSの機能を悪用し、機密情報の窃取やマルウェアのインストール、システムの破壊など、様々なサイバー攻撃を行います。近年では、AnyDeskやTeamViewerなど、世界中で利用されている有名なRMSが悪用された事例が多数報告されており、大きな脅威となっています。

攻撃者は、標的となる組織や個人を狙って、フィッシングメールや不正なウェブサイトなどを用いてRMSの認証情報を盗み出そうとします。また、ソフトウェアの脆弱性を悪用して、システムに侵入を試みるケースもあります。

RMSは、適切に管理・運用されていれば非常に便利なツールですが、セキュリティ対策を怠るとサイバー攻撃の格好の標的になりかねません。そのため、RMSを利用する際は、パスワードの厳格化や多要素認証の導入、ソフトウェアの最新状態の維持など、セキュリティ対策を徹底することが重要です。

攻撃者の目的 攻撃者の手段 対策
機密情報の窃取
マルウェアのインストール
システムの破壊
RMSの脆弱性の悪用
認証情報の盗取(フィッシング、不正サイト)
パスワードの厳格化
多要素認証の導入
ソフトウェアの最新状態の維持

攻撃の手口

攻撃の手口

– 攻撃の手口

攻撃者は、あの手この手で人を騙し、悪意のあるソフトウェアを仕込もうと企んでいます。その中でも、近年特に巧妙化しているのが、正規のソフトウェアに見せかけた「遠隔操作ツール」のインストールです。

例えば、実在する企業を装い、「システムに問題が発生しました。至急対応が必要です」といった緊急性を煽るメールを送りつけてくることがあります。そして、そのメールに記載された偽のウェブサイトに誘導し、「問題解決のためのソフトウェア」と称して、遠隔操作ツールのインストールを促してくるのです。

また、もっと巧妙なケースでは、音楽や動画再生ソフト、ゲームソフトなど、一見すると無害に見えるソフトウェアに、こっそりと遠隔操作ツールを組み込んでいることがあります。そして、ダウンロードサイトなどで配布し、何も知らないユーザーにインストールさせてしまうのです。

このような手口に騙されないためには、ソフトウェアをダウンロードする際は、提供元が信頼できる場所かどうか、提供元のウェブサイトをよく確認することが重要です。また、身に覚えのないメールに記載されたURLは絶対にクリックせず、不審な添付ファイルは開かないようにしましょう。セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことも有効な対策です。

攻撃の手口 具体例 対策
偽の警告やメッセージで緊急性を煽り、偽のウェブサイトに誘導する 「システムに問題が発生しました。至急対応が必要です」といった緊急性を煽るメールを送りつけ、偽のウェブサイトで遠隔操作ツールのインストールを促す。
  • 身に覚えのないメールに記載されたURLはクリックしない
  • 不審な添付ファイルは開かない
  • 提供元が信頼できる場所かどうかを確認する
無害に見えるソフトウェアに、こっそりと遠隔操作ツールを組み込む 音楽や動画再生ソフト、ゲームソフトなどに、こっそりと遠隔操作ツールを組み込み、ダウンロードサイトなどで配布する。
  • ソフトウェアをダウンロードする際は、提供元が信頼できる場所かどうか、提供元のウェブサイトをよく確認する
  • セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つ

対策

対策

– 対策

-# 対策

リモートメンテナンスツール(以下、リモート操作ソフト)は、離れた場所からパソコンやサーバーを管理する上で便利な反面、悪用されると情報漏洩やシステムの不正利用といった深刻な被害につながる可能性があります。 このようなリスクを減らし、安全にリモート操作ソフトを利用するために、以下のような対策を心がげることが重要です。

まず、リモート操作ソフトは信頼できる提供元から入手し、公式のウェブサイトからダウンロードするようにしましょう。 見慣れないサイトからのダウンロードや、メールに添付されたファイルの実行は大変危険です。このような行為は、悪意のあるソフトウェアをインストールしてしまう可能性を高めます。

また、お使いのOSやソフトウェアは常に最新の状態に保つことが重要です。 ソフトウェアの更新には、セキュリティ上の脆弱性を修正するものが含まれていることが多く、最新の状態に保つことで、悪意のある攻撃からシステムを保護することができます。

さらに、セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。 セキュリティソフトは、ウイルスやマルウェアの検出、侵入の防止など、システムをさまざまな脅威から守るためのものです。併せて、ファイアウォールを有効化し、外部からの不正アクセスを遮断することも効果的です。

リモート操作ソフトを使用する際は、アクセス権限を必要最小限に設定することが大切です。 全ての機能へのアクセスを許可するのではなく、必要な機能のみに制限することで、万が一不正アクセスが発生した場合でも、被害を最小限に抑えることができます。

加えて、不正アクセスを防ぐための対策として、多要素認証を導入することも有効です。 多要素認証は、パスワードに加えて、スマートフォンなどに送信される認証コードなど、複数の認証要素を用いることで、セキュリティ強度を高めることができます。

これらの対策を講じることで、リモート操作ソフトのリスクを低減し、より安全に利用することができます。

対策 詳細
信頼できる提供元からの入手 リモート操作ソフトは信頼できる提供元から入手し、公式のウェブサイトからダウンロードしましょう。見慣れないサイトからのダウンロードや、メールに添付されたファイルの実行は危険です。
OSやソフトウェアの更新 お使いのOSやソフトウェアは常に最新の状態に保ちましょう。ソフトウェアの更新には、セキュリティ上の脆弱性を修正するものが含まれていることが多く、最新の状態に保つことで、悪意のある攻撃からシステムを保護することができます。
セキュリティソフトの導入 セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。セキュリティソフトは、ウイルスやマルウェアの検出、侵入の防止など、システムをさまざまな脅威から守るためのものです。併せて、ファイアウォールを有効化し、外部からの不正アクセスを遮断することも効果的です。
アクセス権限の設定 リモート操作ソフトを使用する際は、アクセス権限を必要最小限に設定することが大切です。全ての機能へのアクセスを許可するのではなく、必要な機能のみに制限することで、万が一不正アクセスが発生した場合でも、被害を最小限に抑えることができます。
多要素認証の導入 不正アクセスを防ぐための対策として、多要素認証を導入することも有効です。多要素認証は、パスワードに加えて、スマートフォンなどに送信される認証コードなど、複数の認証要素を用いることで、セキュリティ強度を高めることができます。

組織における対策

組織における対策

– 組織における対策

組織においては、リモート管理ツール(RMM)が悪用されてしまうリスクを最小限に抑えるために、以下のような対策を講じることが重要です。

-# 利用状況の把握と適切な管理

組織内で誰が、どのような目的でRMMを利用しているのかを常に把握しておくことが重要です。そのためには、RMMの利用状況を記録・監視できる仕組みを導入する必要があります。アクセス権限の付与は必要最小限にとどめ、定期的な見直しを行いましょう。

-# 利用に関するポリシーの策定と周知徹底

RMMの利用に関する明確なルールを定め、文書化しておくことが重要です。これは、許可されていないアクセスや操作を防止するために必要不可欠です。作成したポリシーは、組織全体に周知徹底し、従業員が遵守できるようにしなければなりません。

-# セキュリティに関する従業員教育

RMMの適切な利用方法だけでなく、セキュリティに関する基本的な知識や重要性について、従業員に対して定期的な教育を実施する必要があります。フィッシング詐欺や不正アクセスなどの脅威から組織を守るための知識を習得させ、セキュリティ意識を高めることが重要です。

-# インシデント発生時の対応手順の整備

万が一、RMMが悪用されるなどのインシデントが発生した場合に備え、迅速かつ適切に対応できる体制を構築しておくことが重要です。具体的には、インシデント対応の手順書を作成し、関係者への連絡網を整備しておく必要があります。また、定期的に訓練を実施し、対応能力の向上に努めましょう。

これらの対策を総合的に実施することで、組織におけるRMMのセキュリティを向上させ、悪用リスクを大幅に低減することができます。

対策 内容
利用状況の把握と適切な管理 – 誰が、どのような目的でRMMを利用しているかを記録・監視
– アクセス権限の付与は必要最小限、定期的な見直し
利用に関するポリシーの策定と周知徹底 – RMMの利用に関する明確なルールを定め、文書化
– 組織全体への周知徹底
セキュリティに関する従業員教育 – RMMの適切な利用方法、セキュリティの基礎知識、重要性に関する教育
– フィッシング詐欺や不正アクセスなどの脅威に関する知識の習得
インシデント発生時の対応手順の整備 – インシデント発生時の迅速かつ適切な対応体制の構築
– 対応手順書の作成、関係者への連絡網の整備
– 定期的な訓練による対応能力の向上

まとめ

まとめ

– まとめ

-# まとめ

企業において、情報システムの運用管理を効率化することは、人的資源の有効活用やコスト削減の観点から非常に重要です。そのため、多数の端末を遠隔から一括で管理できるRMM(リモート監視・管理)ツールは、多くの企業にとって非常に魅力的な選択肢となっています。

しかし、その利便性の裏側には、セキュリティ上のリスクも潜んでいることを忘れてはなりません。RMMツールは、その性質上、管理対象の端末に対して非常に強力な権限を持っているため、万が一、悪意のある第三者に利用されてしまった場合、企業全体に甚大な被害が及ぶ可能性があります。

具体的には、機密情報の窃取、システムの改ざん、サービスの妨害といった、企業活動の根幹を揺るがすような被害が発生するリスクがあります。

このようなリスクを最小限に抑え、安全にRMMツールを活用するためには、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

具体的には、RMMツールのアクセス制御を厳格化し、信頼できるベンダーの製品を選定し、常に最新の状態に保つといった対策が重要となります。また、従業員に対しては、セキュリティ意識の向上を図るための教育を継続的に実施していく必要があります。

RMMツールの導入は、あくまで目的ではなく手段です。セキュリティリスクに対する正しい理解と適切な対策を講じることで、はじめてその利便性を最大限に活かすことができるのです。

メリット リスク 対策
– 人的資源の有効活用
– コスト削減
– 多数の端末の一括管理
– 第三者による悪用
– 機密情報の窃取
– システムの改ざん
– サービスの妨害
– アクセス制御の厳格化
– 信頼できるベンダーの製品選定
– 製品の最新状態の維持
– 従業員へのセキュリティ意識向上教育
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