気づかぬ脅威:Slow HTTP攻撃からWebサイトを守る

気づかぬ脅威:Slow HTTP攻撃からWebサイトを守る

セキュリティを知りたい

「Slow HTTP攻撃」って、どんな攻撃方法なんですか?

セキュリティ研究家

「Slow HTTP攻撃」は、ウェブサイトを遅くしたり、見れなくしたりする攻撃の方法の一つです。 たくさんのデータを送ってサーバーをパンクさせる攻撃とは違い、ゆっくりと少しずつデータを送信することで攻撃します。

セキュリティを知りたい

ゆっくりデータを送るだけで、攻撃になるんですか?

セキュリティ研究家

はい。ウェブサイトを開くとき、サーバーは接続を維持しようとします。 攻撃者は、この接続を長時間維持させ続けることで、サーバーの処理能力を奪ってしまうのです。結果として、本来の利用者がウェブサイトにアクセスできなくなってしまうのです。

Slow HTTP攻撃とは。

ウェブサイトを安全に保つための知識として、『ゆっくりとしたHTTP攻撃』について説明します。この攻撃は、ウェブサイトをダウンさせる攻撃の一種です。多くの場合、ウェブサイトをダウンさせる攻撃は、大量のデータを一度に送りつけることで、ネットワークやサーバーに負担をかけてしまいます。しかし、ゆっくりとしたHTTP攻撃は、少し変わった方法で攻撃を行います。

具体的には、ウェブサイトとやり取りする際に使う特別な命令(HTTPリクエスト)を、非常にゆっくりとした速度で送り続けます。サーバーはこの命令を処理しようとしますが、攻撃者はわざと処理が終わらない程度の速度で送り続けるため、サーバーはいつまでもその処理を続けなければなりません。

この状態が続くと、本来アクセスできるはずの他の利用者の接続を妨害できるようになります。つまり、サーバーの資源を長時間占領してしまうわけです。

ゆっくりとしたHTTP攻撃は、大量のデータを送信する攻撃と比べて、準備や実行が簡単です。また、この攻撃を見つけるのも防ぐのも難しいため、特別な対策が必要です。

インターネット上には、この攻撃を行うためのツールが公開されており、誰でも簡単に利用できます。有名なツールとしては『Slowloris』などがあります。

2022年には、ロシア政府とつながりのあるハッカー集団『Killnet』が、日本を含む世界のウェブサイトに対して、このゆっくりとしたHTTP攻撃を行いました。

Slow HTTP攻撃とは

Slow HTTP攻撃とは

– Slow HTTP攻撃とは

インターネット上で情報発信やサービス提供を行うための基盤であるWebサーバーは、常に攻撃の脅威にさらされています。その中でも、Slow HTTP攻撃は、あまり知られていませんが、深刻な影響を与える可能性のある攻撃手法です。

Slow HTTP攻撃は、大量のデータを送りつけてネットワークを麻痺させるDoS攻撃の一種ですが、その手法は大きく異なります。一般的なDoS攻撃は、大量のパケットを一気に送りつけることで攻撃しますが、Slow HTTP攻撃は、HTTP通信の仕組みを悪用し、Webサーバーを徐々に疲弊させることを狙います。

攻撃者は、まずWebサーバーに対して通常のアクセスと同様に接続要求を送信します。しかし、データの送信を極端に遅くしたり、断続的に行ったりすることで、接続を長時間維持しようとします。Webサーバーは、接続要求に対して応答を返すまで、その接続を保持し続けるため、攻撃者が多数の接続を同時に確立すると、Webサーバーのリソースは徐々に圧迫されていきます。

その結果、本来処理できるはずのアクセス処理能力が低下し、正規の利用者からのアクセスが遅延したり、接続が拒否されたりするなどの影響が出ます。最悪の場合、Webサーバーが完全に応答不能になり、サービスが停止に追い込まれる可能性もあります。

攻撃手法 概要 目的 影響
Slow HTTP攻撃 HTTP通信において、データ送信を極端に遅くしたり断続的に行ったりすることで、Webサーバーとの接続を長時間維持する攻撃 Webサーバーのリソースを徐々に圧迫し、サービスを妨害する
  • 正規の利用者からのアクセス遅延
  • 接続拒否
  • Webサーバーの応答不能
  • サービス停止

Slow HTTP攻撃の仕組み

Slow HTTP攻撃の仕組み

– Slow HTTP攻撃の仕組み-Slow HTTP攻撃-は、その名の通り、HTTP通信を悪用した攻撃手法です。一見すると普通のアクセスと見分けがつかず、その巧妙さにあります。攻撃者は、Webサイトへのアクセスに欠かせないHTTPリクエストの一部を、意図的に非常にゆっくりとした速度で送信します。 例えば、Webサイトの閲覧に必要なデータであるHTTPヘッダーや、問い合わせフォームなどで用いられるPOSTリクエスト本文などが攻撃の対象となります。サーバーは、リクエストが完全に送信されるまで接続を維持し、処理を待ち続けるという性質があります。 Slow HTTP攻撃では、攻撃者が複数の接続を同時に確立し、それぞれのリクエストをゆっくりと送信することで、サーバーは多くの接続を処理しきれなくなり、過負荷状態に陥ります。多くのWebサーバーには、一定時間内にリクエストが完了しない場合、接続を自動的に切断するタイムアウトという仕組みが備わっています。 しかし、Slow HTTP攻撃では、このタイムアウト時間ギリギリで少しずつデータを送信するため、サーバーは攻撃と判断できず、接続を維持し続けてしまいます。結果として、正規のユーザーからのアクセスが処理できなくなり、Webサイトにアクセスできなくなったり、表示速度が極端に遅くなったりといった深刻な影響が生じます。 さらに、サーバーの処理能力が著しく低下することで、他のサービスにも影響が及ぶ可能性もあります。

攻撃手法 概要 目的 影響
Slow HTTP攻撃 HTTPリクエストを非常にゆっくりとした速度で送信し、サーバーに過負荷をかける Webサイトをダウンさせること
サーバーのリソースを枯渇させること
サービス妨害(DoS)を引き起こすこと
Webサイトへのアクセス不能
表示速度の低下
サーバーのパフォーマンス低下
他のサービスへの影響

Slow HTTP攻撃の危険性

Slow HTTP攻撃の危険性

– Slow HTTP攻撃の危険性近年、インターネットを介したサイバー攻撃は増加の一途をたどり、手口も巧妙化しています。その中でも、Slow HTTP攻撃は、検知の難しさから対策が遅れがちで、大きな被害に繋がる可能性があります。Slow HTTP攻撃とは、Webサイトのサーバーに対して、意図的に低速な通信を継続的に行うことで、サーバーに負荷をかけ、機能を麻痺させる攻撃です。 通常の通信であれば、一定時間で接続が切断されますが、Slow HTTP攻撃では、攻撃者はサーバーからの応答を待ち続け、接続を維持し続けます。これにより、サーバーのリソースは徐々に圧迫され、最終的には、新規のアクセスを処理できなくなり、Webサイトがダウンしてしまうのです。この攻撃の恐ろしい点は、外部からのアクセス状況だけを見ても、攻撃と判断することが難しい点にあります。一見すると、普通のユーザーがアクセスしているように見えるため、セキュリティ対策ソフトやファイアウォールでも見過ごされてしまうケースも少なくありません。もし、Slow HTTP攻撃によってWebサイトがダウンしてしまうと、企業は大きな損失を被ることになります。特に、ECサイトや金融機関など、Webサイトの可用性が収益に直結するビジネスモデルにおいては、その影響は計り知れません。Webサイトが停止することで、機会損失が発生するだけでなく、顧客からの信頼を失墜させ、ブランドイメージを損なう可能性もあります。近年では、Slow HTTP攻撃を悪用したランサムウェア攻撃も確認されており、その脅威はますます深刻化しています。Slow HTTP攻撃は決して他人事ではありません。企業は、その危険性を認識し、適切な対策を講じる必要があります。

攻撃手法 概要 特徴 危険性
Slow HTTP攻撃 Webサイトのサーバーに対して、意図的に低速な通信を継続的に行うことで、サーバーに負荷をかけ、機能を麻痺させる攻撃 外部からのアクセス状況だけでは、攻撃と判断することが難しい
  • Webサイトのダウン
  • 機会損失
  • 顧客からの信頼失墜
  • ブランドイメージの損失
  • ランサムウェア攻撃への悪用

具体的な攻撃例

具体的な攻撃例

– 具体的な攻撃例

近年、世界中でサイバー攻撃の脅威が増大していますが、その中でも「Slow HTTP攻撃」は決して他人事ではありません。これは実際に発生している深刻な脅威であり、2022年にはロシア政府の支援を受けたサイバー攻撃集団「Killnet」が、日本を含む世界各国に対して大規模なSlow HTTP攻撃を仕掛けています
この攻撃の標的となったのは、政府機関や金融機関、社会の重要なインフラを担う企業などのWebサイトです。これらのWebサイトの一部では、一般ユーザーがアクセスしにくくなる、あるいはサービス自体が停止してしまうなどの被害が確認されました。
「Killnet」は、標的とする組織や国家に対して、政治的なメッセージを発信することを目的として、様々なサイバー攻撃を繰り返しており、Slow HTTP攻撃もその手段の一つとして利用されています。
この事例からも明らかなように、Slow HTTP攻撃は単なる嫌がらせを目的とした攻撃ではなく、国家レベルのサイバー戦争にも発展する可能性を秘めた、深刻な脅威であると言えるでしょう。

攻撃手法 概要 攻撃者 標的 目的 結果
Slow HTTP攻撃 Webサーバーに対して、非常に遅い速度でHTTPリクエストを送信し続けることで、サーバーの処理能力を低下させ、サービス停止などを引き起こす攻撃 Killnet(ロシア政府の支援を受けたサイバー攻撃集団) 日本を含む世界各国の政府機関、金融機関、重要インフラ企業などのWebサイト 政治的なメッセージの発信 一部Webサイトへのアクセス障害、サービス停止

Slow HTTP攻撃への対策

Slow HTTP攻撃への対策

– Slow HTTP攻撃への対策

インターネット上で情報を公開するウェブサイトは、常に悪意のある攻撃にさらされています。その中でも、Slow HTTP攻撃は、ウェブサイトの動作を遅くしたり、停止させたりする恐れのある、危険な攻撃手法の一つです。

Slow HTTP攻撃からウェブサイトを守るためには、多層的な対策を講じることが重要です。

まず、ウェブサイトを運営するサーバーには、接続時間に関する設定があります。この設定を見直し、リクエストの処理に時間がかかりすぎる場合は、接続を強制的に切断するように変更します。これは、攻撃者が意図的に遅い通信速度でサーバーに接続し続けようとするのを防ぐ効果があります。

さらに、外部からの攻撃を遮断する仕組みであるWAF(Webアプリケーションファイアウォール)を導入することも有効な手段です。WAFは、悪意のあるトラフィックを検知し、ウェブサイトへのアクセスを遮断することで、Slow HTTP攻撃からウェブサイトを保護します。

また、ネットワークを常時監視することで、怪しい動きをいち早く察知することも重要です。IPS(侵入防御システム)やIDS(侵入検知システム)を導入することで、ネットワーク上の通信を監視し、Slow HTTP攻撃の兆候を早期に検知することができます。

これらのセキュリティ対策と並行して、常に最新のソフトウェアを使用することも忘れてはいけません。ウェブサイトを運営するソフトウェアには、定期的にセキュリティに関する更新プログラムが公開されます。この更新プログラムを適用することで、システムの脆弱性を解消し、Slow HTTP攻撃を含む様々な攻撃からウェブサイトを守ることができます。

Slow HTTP攻撃は、比較的簡単な方法で実行できる攻撃手法ですが、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。

対策 説明
サーバーの接続時間設定の見直し リクエストの処理に時間がかかりすぎる場合は接続を強制的に切断する設定にすることで、攻撃者が意図的に遅い通信速度でサーバーに接続し続けようとするのを防ぎます。
WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入 悪意のあるトラフィックを検知し、ウェブサイトへのアクセスを遮断することで、Slow HTTP攻撃からウェブサイトを保護します。
ネットワークの常時監視 IPS(侵入防御システム)やIDS(侵入検知システム)を導入することで、ネットワーク上の通信を監視し、Slow HTTP攻撃の兆候を早期に検知することができます。
最新ソフトウェアの利用 ウェブサイトを運営するソフトウェアには、定期的にセキュリティに関する更新プログラムが公開されます。この更新プログラムを適用することで、システムの脆弱性を解消し、Slow HTTP攻撃を含む様々な攻撃からウェブサイトを守ることができます。
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