サイバー攻撃から組織を守る!サイバーレジリエンスのススメ

サイバー攻撃から組織を守る!サイバーレジリエンスのススメ

セキュリティを知りたい

「サイバーレジリエンス」って、最近よく聞くけど、具体的にどんなことをすればいいの?

セキュリティ研究家

いい質問ですね。「サイバーレジリエンス」は、サイバー攻撃から身を守るための、いわば組織の「回復力」です。攻撃を完全に防ぐのは難しいという前提で、被害を受けても、そこから素早く回復するための備えをすることが重要です。

セキュリティを知りたい

なるほど。じゃあ、例えばどんな備えをすればいいのかな?

セキュリティ研究家

具体的には、まずは常に最新の攻撃情報を入手して、それに対応した対策をしておくこと。そして、万が一攻撃を受けてしまった場合でも、重要なデータのバックアップをこまめにとっておくなどして、すぐに復旧できるようにしておくことが大切です。

サイバーレジリエンスとは。

最近、インターネット上の攻撃による情報流出や業務停止が増えています。このような攻撃を完全に防ぐことは難しいという前提のもと、攻撃に耐え、回復する力を「サイバーレジリエンス」と呼び、注目されています。「レジリエンス」は、もともとは「回復力」や「弾力性」を意味する言葉です。日本の工業規格「JISQ22300:2013社会セキュリティ-用語」では、「複雑で変化の多い状況下でも、組織がうまく対応できる能力」と定義されています。さらに、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が2021年12月に発表した文書では、「サイバー資源を持つシステムが、困難な状況、ストレス、攻撃、あるいは被害を受けても、それを予測し、耐え、回復し、適応できる能力」と定義しています。これらの定義が示すように、サイバーレジリエンスとは、組織や企業がインターネット上の脅威や被害に遭っても、適切な対応を取れるようにすることを指します。具体的には、脅威を予測し、変化に対応できる対策を実施すること、被害が発生した場合に迅速かつ確実に復旧できる体制を組織として整えることなどが挙げられます。

増加するサイバー攻撃と新たな防衛の考え方

増加するサイバー攻撃と新たな防衛の考え方

近年、私達の生活や仕事において、インターネットなどのネットワーク環境は欠かせないものとなっています。企業活動においても、その重要性は増すばかりです。しかし、それと同時に、悪意を持った第三者によるネットワークを悪用した攻撃、いわゆるサイバー攻撃による被害も増加しています。情報漏えいや業務停止など、その影響は企業にとって非常に深刻です。

従来のセキュリティ対策は、外部からの攻撃を完全に遮断することを目標としていました。防火壁やウイルス対策ソフトなどがその代表例です。しかし、攻撃の手法は日々高度化しており、完全に防ぐことは非常に困難になっています。

そこで、近年注目されているのが「サイバーレジリエンス」という考え方です。これは、攻撃を完全に防ぐのではなく、攻撃を受けても被害を最小限に抑え、重要な事業を継続し、早期に回復できるようにするというものです。

具体的には、攻撃をいち早く検知し、影響範囲を特定し、迅速に復旧する体制を構築することが重要になります。また、日頃から従業員へのセキュリティ教育を徹底し、いざというときに適切な行動が取れるようにしておくことも大切です。

サイバー攻撃はもはや他人事ではありません。企業は、「攻撃は必ず来る」という前提に立ち、被害を最小限に抑えるための備えをしておくことが重要です。

従来のセキュリティ対策 新しいセキュリティ対策
外部からの攻撃を完全に遮断することを目標

  • 例:防火壁、ウイルス対策ソフト
攻撃を受けても被害を最小限に抑え、重要な事業を継続し、早期に回復できるようにする(サイバーレジリエンス)

  • 攻撃の検知、影響範囲の特定、迅速な復旧体制の構築
  • 従業員へのセキュリティ教育の徹底
攻撃を完全に防ぐことは困難 攻撃は必ず来るとの前提で被害を最小限にする

サイバーレジリエンスとは

サイバーレジリエンスとは

– サイバーレジリエンスとは日々巧妙化するサイバー攻撃の脅威から、組織の重要な情報やシステムを守るためには、従来のセキュリティ対策だけでは十分ではありません。万が一、攻撃が成功してしまった場合でも、その影響を最小限に抑え、事業を継続できる能力が求められます。この、サイバー攻撃を受けても重要な事業を継続し、早期に回復できる能力のことを「サイバーレジリエンス」と言います。日本工業規格 JIS Q 223002013 では、サイバーレジリエンスは「複雑かつ変化する環境下での組織の適応できる能力」と定義されており、変化への対応力や回復力といった要素を含んでいます。また、米国国立標準技術研究所 (NIST) の NIST SP 800-160 Vol.2 Rev.1 では、「サイバー資源を有するシステムが、困難な状況下、ストレス下、攻撃下にある、もしくは侵害されている状態に陥ったとしても、それを予測し、それに耐えて、そこから回復し、それに適応できる能力」と定義されており、予測、耐性、回復、適応の4つの要素から構成されています。つまり、サイバーレジリエンスとは、事前に攻撃を予測し、攻撃に耐えられる強いシステムを構築し、万が一被害が発生した場合でも速やかに復旧し、その経験を活かしてさらにシステムを強化していく、という一連の流れを指します。

機関 サイバーレジリエンスの定義
日本工業規格 JIS Q 22300:2013 複雑かつ変化する環境下での組織の適応できる能力
米国国立標準技術研究所 (NIST) NIST SP 800-160 Vol.2 Rev.1 サイバー資源を有するシステムが、困難な状況下、ストレス下、攻撃下にある、もしくは侵害されている状態に陥ったとしても、それを予測し、それに耐えて、そこから回復し、それに適応できる能力

具体的な取り組み

具体的な取り組み

– 具体的な取り組み

組織全体のサイバーセキュリティに対する対応力を高め、万が一攻撃を受けた場合でも、速やかに被害を最小限に抑え、通常の状態に回復できる能力、いわゆるサイバーレジリエンスの向上が重要です。

そのためには、組織全体で継続的にセキュリティ対策を強化していく必要があります。具体的な取り組みとして、以下の様なものが挙げられます。

-# リスクの把握と評価

まずは、どのような種類のサイバー攻撃によるリスクが想定されるのかを把握することから始めましょう。標的となりやすい情報資産やシステム、重要なデータは何かを特定し、それぞれの重要度に応じて適切な対策を講じることが重要です。

-# 予防対策の強化

外部からの攻撃を遮断するための仕組みを構築することは、サイバー攻撃の被害を防ぐための第一歩です。不正アクセスを防ぐための仕組みや、コンピュータウイルスを検知・駆除する仕組みを導入しましょう。また、従業員一人ひとりがセキュリティの重要性を認識し、適切な行動をとれるよう、定期的な研修や訓練を実施することが重要です。

-# 検知体制の構築

早期発見は、被害を最小限に抑えるために非常に重要です。そのため、怪しいアクセスや不正な活動をいち早く検知できるよう、システムやネットワークの監視体制を強化する必要があります。収集したデータは分析し、攻撃の兆候をいち早く捉えることが重要です。

-# 対応・復旧計画の策定

万が一、サイバー攻撃を受けてしまった場合でも、冷静かつ迅速に対応できるよう、事前に対応手順を定めておくことが重要です。被害状況の把握、関係機関への報告、システムの復旧手順などをまとめた計画を策定し、定期的に見直す必要があります。

-# 訓練の実施

策定した計画は、机上の空論ではなく、実際に機能するものでなければなりません。定期的に訓練を実施することで、計画の有効性を確認し、問題点があれば改善していくことが重要です。また、訓練を通じて、従業員一人ひとりが緊急時に適切な対応をとれるよう、実践的なスキルを習得することが重要です。

取り組み 内容
リスクの把握と評価 想定されるサイバー攻撃によるリスクを把握し、重要な情報資産やシステムを特定し、適切な対策を講じる。
予防対策の強化 不正アクセスやウイルスを防止する仕組みを導入し、従業員へのセキュリティ研修を実施する。
検知体制の構築 システムやネットワークの監視体制を強化し、攻撃の兆候をいち早く捉える。
対応・復旧計画の策定 被害状況の把握、関係機関への報告、システムの復旧手順などをまとめた計画を策定し、定期的に見直す。
訓練の実施 定期的に訓練を実施し、計画の有効性を確認し、問題点があれば改善していく。

組織文化への浸透

組織文化への浸透

– 組織文化への浸透

サイバー攻撃の脅威は日々高度化しており、もはや単発的な対策では太刀打ちできません。企業や組織が真にサイバー攻撃から身を守る強靭さを手に入れるためには、サイバーセキュリティ対策を組織文化として根付かせることが重要です。

そのためには、まず経営層がリーダーシップを発揮し、サイバーセキュリティ対策の重要性を全社員に周知徹底する必要があります。社員一人ひとりが、サイバー攻撃は他人事ではなく、自組織の事業継続性を脅かす重大なリスクであることを認識する必要があります。

その上で、継続的な教育や訓練を通じて、社員のセキュリティ意識とスキル向上を図ることが重要です。座学だけでなく、標的型攻撃メール訓練やインシデント対応シミュレーションなど、実践的な訓練を取り入れることで、より効果的に学習することができます。

また、セキュリティに関する情報を共有し、気軽に相談できる体制を構築することも重要です。部門や役職を超えて、セキュリティに関する課題や対策について意見交換することで、組織全体のセキュリティレベル向上に繋がります。サイバーセキュリティ対策は、特定の担当者だけが取り組むべきものではなく、組織全体で取り組むべき課題であるという意識を共有することが大切です。

まとめ

まとめ

現代社会において、情報システムは企業活動の心臓部と言えるほど重要な役割を担っています。しかし、それと同時にサイバー攻撃の脅威もますます高度化・巧妙化しており、完全に防ぐことは至難の業となっています。もはや、「攻撃を防ぐ」という従来の考え方だけでは不十分であり、攻撃を受けても速やかに復旧し、事業を継続できる体制、すなわち「サイバーレジリエンス」の強化が不可欠となっています。

サイバーレジリエンスを高めるためには、多層的な防御体制の構築、従業員へのセキュリティ意識向上、インシデント発生時の対応計画策定など、総合的な対策が求められます。具体的には、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどのセキュリティ対策ソフトの導入だけでなく、社員一人ひとりがセキュリティの重要性を認識し、不審なメールを見分ける、パスワードを定期的に変更するなど、日々の業務の中でセキュリティ対策を実践していくことが重要です。

さらに、万が一サイバー攻撃によってシステム障害が発生した場合でも、可能な限り短時間で復旧できるよう、データのバックアップや代替システムの準備など、事業継続計画(BCP)を策定しておくことも重要です。サイバー攻撃はもはや他人事ではありません。企業は、「攻撃はいつか来るもの」という前提に立ち、被害を最小限に抑え、事業を継続できる強靭な組織作りを目指していく必要があります。

テーマ ポイント
情報システムの重要性 現代社会において、企業活動において非常に重要
サイバー攻撃の現状 高度化・巧妙化しており、完全に防ぐことは困難
必要な対策 従来の「攻撃を防ぐ」という考え方だけでなく、「攻撃を受けても速やかに復旧し、事業を継続できる体制(サイバーレジリエンス)」の強化が必要
サイバーレジリエンスを高めるための具体的な対策例
  • 多層的な防御体制の構築
  • 従業員へのセキュリティ意識向上
  • インシデント発生時の対応計画策定
  • セキュリティ対策ソフトの導入
  • 社員一人ひとりがセキュリティの重要性を認識し、日々の業務の中でセキュリティ対策を実践
  • データのバックアップ
  • 代替システムの準備
  • 事業継続計画(BCP)の策定
企業の心構え
  • サイバー攻撃は他人事ではないという認識を持つ
  • 「攻撃はいつか来るもの」という前提に立つ
  • 被害を最小限に抑え、事業を継続できる強靭な組織作りを目指す
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