STRIDEモデルでセキュリティ対策

STRIDEモデルでセキュリティ対策

セキュリティを知りたい

先生、「STRIDE」って何か教えてください。セキュリティを高めるための知識らしいんですけど、よくわからないんです。

セキュリティ研究家

「STRIDE」は、悪い人がシステムの weaknesses を探す時に使うかもしれない、いくつかの種類の攻撃をまとめたものなんだ。6つの種類があって、それぞれ、なりすまし、改ざん、否認、情報漏洩、サービス拒否、特権昇格っていう風に呼ばれているよ。

セキュリティを知りたい

6種類もあるんですね!ちょっと難しそうです…。例えば、『なりすまし』ってどんな攻撃なんですか?

セキュリティ研究家

「なりすまし」は、簡単に言うと、他の人のふりをしてシステムに侵入する攻撃のことだよ。例えば、君がいつも使っているウェブサイトに、見た目は全く同じだけど偽物のページを作って、そこでパスワードを入力させて盗む、なんていう攻撃が考えられるね。

STRIDEとは。

安全性を高めるための知恵、『STRIDE』について説明します。『STRIDE』は、攻撃と防御の両方の視点から危険を評価する、脅威モデリングという手法の一つです。STRIDEでは、脅威を以下の6つに分類します。なりすまし、改ざん、否認、情報漏洩、サービス拒否、特権昇格です。そして、それぞれの危険性や影響について詳しく調べます。この手法は、マイクロソフト社によって提唱され、現在でも製品開発などに使われています。

脅威モデリングとは

脅威モデリングとは

– 脅威モデリングとは

情報システムやソフトウェアを開発する際、どうしても機能や使い勝手、開発のスピードなどが優先され、セキュリティ対策は後回しになりがちです。しかし、開発の早い段階から潜んでいるかもしれない脅威を洗い出し、対策をしておくことで、より安全なシステムを構築することができます。

脅威モデリングとは、システムの設計段階で、どのような脅威が存在するかを特定し、分析するための構造化されたアプローチです。これは、システム開発におけるセキュリティ対策の重要なプロセスの一つと言えるでしょう。

脅威モデリングを行うことで、開発者は潜在的な脆弱性を早期に発見し、効果的な対策を講じることができます。具体的には、システムの設計図やデータの流れ図などを用いながら、攻撃者がどのような方法でシステムに侵入を試みるかを想定します。そして、それぞれの攻撃に対して、どのような対策を講じることができるかを検討します。

脅威モデリングは、一度行えば終わりではありません。システムの設計変更や新たな脅威の出現に応じて、定期的に見直しと更新を行うことが重要です。

項目 説明
脅威モデリングの定義 システム設計段階で潜在的な脅威を特定・分析する構造化アプローチ
目的 開発の早い段階から脅威を洗い出し、安全なシステムを構築する
メリット 潜在的な脆弱性の早期発見と効果的な対策
具体的な方法 システムの設計図等を用い、攻撃者の侵入経路を想定し、対策を検討
実施頻度 一度だけでなく、設計変更や新たな脅威出現時に見直しと更新が必要

STRIDEモデルの概要

STRIDEモデルの概要

– STRIDEモデルの概要STRIDEは、巨大なソフトウェア企業であるマイクロソフト社が提唱した脅威分析の手法であり、現在も世界中で広く活用されています。 STRIDEを用いることで、システムやアプリケーションが潜在的に抱えるセキュリティ上の脅威を、多角的な視点から洗い出すことができます。このモデルの特徴は、脅威を6つの種類に分類することです。それぞれの脅威は、「なりすまし」「改ざん」「否認」「情報漏洩」「サービス拒否」「特権昇格」の6つの言葉の頭文字を取って名付けられています。-1. なりすまし- 正当なユーザーやシステムになりすまして、不正にアクセスすることを指します。例えば、偽のログイン画面を表示させてユーザー名やパスワードを盗み取ったり、信頼できる送信元を装って偽のメールを送信したりする行為が挙げられます。-2. 改ざん- データやメッセージの内容を不正に改変することを指します。例えば、Webサイトのコンテンツを書き換えたり、取引データの金額を改ざんしたりする行為が挙げられます。-3. 否認- 後に証拠が残らないように、自分が行った行為を否認することを指します。例えば、不正アクセスを行った後、ログを消去したり、不正な取引を行った事実を隠蔽したりする行為が挙げられます。-4. 情報漏洩- 許可されていない方法で、情報にアクセスしたり、公開したりすることを指します。例えば、顧客情報を含むデータベースを不正に閲覧したり、機密情報を記載したファイルを外部に持ち出したりする行為が挙げられます。-5. サービス拒否- システムやネットワークを過負荷状態にすることで、正規ユーザーがサービスを利用できないようにすることを指します。例えば、大量のアクセスを集中させてWebサイトをダウンさせたり、システムリソースを枯渇させてサービスを停止させたりする行為が挙げられます。-6. 特権昇格- 本来持つ権限を超えて、システムやデータへのアクセス権を取得することを指します。例えば、一般ユーザー権限でシステムに侵入した後、管理者権限を不正に取得する行為が挙げられます。STRIDEを用いることで、開発者は潜在的な脅威を網羅的に分析し、適切な対策を講じることができます。

脅威の種類 説明
なりすまし(Spoofing) 正当なユーザーやシステムになりすまして、不正にアクセスする。 – 偽のログイン画面でユーザー名とパスワードを盗み取る。
– 信頼できる送信元を装って偽のメールを送信する。
改ざん(Tampering) データやメッセージの内容を不正に改変する。 – Webサイトのコンテンツを書き換える。
– 取引データの金額を改ざんする。
否認(Repudiation) 自分が行った行為を、後に証拠が残らないように否認する。 – 不正アクセスを行った後、ログを消去する。
– 不正な取引を行った事実を隠蔽する。
情報漏洩(Information Disclosure) 許可されていない方法で、情報にアクセスしたり、公開したりする。 – 顧客情報を含むデータベースを不正に閲覧する。
– 機密情報を記載したファイルを外部に持ち出す。
サービス拒否(Denial of Service) システムやネットワークを過負荷状態にすることで、正規ユーザーがサービスを利用できないようにする。 – 大量のアクセスを集中させてWebサイトをダウンさせる。
– システムリソースを枯渇させてサービスを停止させる。
特権昇格(Elevation of Privilege) 本来持つ権限を超えて、システムやデータへのアクセス権を取得する。 – 一般ユーザー権限でシステムに侵入した後、管理者権限を不正に取得する。

なりすましへの対策

なりすましへの対策

– なりすましへの対策なりすましとは、悪意のある第三者が、あたかも正規の利用者やシステムになりすますことで、不正にアクセスを試みる行為です。私たちの大切な情報やシステムを守るためには、なりすましに対する適切な対策を講じる必要があります。なりすまし対策として、まず重要なのが強固なパスワード認証です。推測されやすい単純なパスワードではなく、数字や記号などを組み合わせた複雑なパスワードを設定しましょう。また、同じパスワードを使い回すのも危険です。サービスごとに異なるパスワードを設定することで、万が一、一つのパスワードが漏洩した場合でも、他のサービスへの被害を最小限に抑えることができます。パスワード認証に加えて、二段階認証の導入も有効な対策です。二段階認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに届く認証コードなど、別の要素を用いることで、より安全性を高める認証方式です。たとえパスワードが漏洩してしまった場合でも、二段階認証を設定していれば、不正アクセスを阻止できる可能性が高まります。企業においては、従業員へのセキュリティ意識向上のための研修も重要です。巧妙化するフィッシング詐欺などの手口から身を守るためには、不審なメールの見分け方や、安易に個人情報を入力しないなどの知識を身につけることが重要です。なりすましは、情報セキュリティにおける大きな脅威の一つですが、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。私たち一人ひとりがセキュリティ意識を高め、安全なデジタル社会を実現するために、積極的に対策に取り組みましょう。

対策 詳細
強固なパスワード認証 – 推測されにくい、数字や記号を含む複雑なパスワードを設定する
– サービスごとに異なるパスワードを設定する
二段階認証 – パスワードに加えて、スマートフォンに届く認証コードなど、別の要素を用いることで、より安全性を高める。
従業員へのセキュリティ意識向上のための研修 – フィッシング詐欺などの手口から身を守るための知識を身につける。

改ざんへの対策

改ざんへの対策

– 改ざんへの対策データの完全性を脅かす攻撃として、「改ざん」が挙げられます。これは、許可なくデータの内容を書き換えたり、削除したり、あるいは全く新しい情報を付け加えたりすることを指します。このような不正な操作が行われると、システムが正常に動作しなくなるだけでなく、重要な情報が漏えいする恐れも出てきます。そこで重要となるのが、改ざんを未然に防ぐ、あるいは万が一改ざんが発生した場合でも、その影響を最小限に抑えるための対策です。有効な手段の一つとして、データの暗号化があります。これは、データを第三者が解読できない形式に変換することで、内容を保護する技術です。たとえデータが盗み見られたとしても、暗号化されていれば、すぐに内容が読み取られることはありません。また、デジタル署名も有効な手段です。デジタル署名は、送信者が誰であるかを証明し、かつデータが送信後に改ざんされていないことを保証する技術です。デジタル署名を用いることで、データの送信元と完全性を確認することができます。さらに、変更監視システムの導入も有効です。これは、ファイルやデータベースへのアクセスや変更を常時監視し、不正なアクセスや改ざんを検知するシステムです。もしもの場合でも、迅速に検知し対応することで、被害を最小限に抑えることができます。これらの対策に加えて、日頃からデータのバックアップをこまめに取ることも大切です。万が一データが改ざんされてしまった場合でも、バックアップがあれば、元の状態に復元することができます。このように、改ざんからデータを保護するためには、様々な対策を組み合わせることが重要です。

対策 説明
データの暗号化 データを第三者が解読できない形式に変換することで、内容を保護する技術。たとえデータが盗み見られたとしても、暗号化されていれば、すぐに内容が読み取られることはありません。
デジタル署名 送信者が誰であるかを証明し、かつデータが送信後に改ざんされていないことを保証する技術。デジタル署名を用いることで、データの送信元と完全性を確認することができます。
変更監視システム ファイルやデータベースへのアクセスや変更を常時監視し、不正なアクセスや改ざんを検知するシステム。もしもの場合でも、迅速に検知し対応することで、被害を最小限に抑えることができます。
データのバックアップ 日頃からデータのバックアップをこまめに取ることで、万が一データが改ざんされてしまった場合でも、バックアップがあれば、元の状態に復元することができます。

否認への対策

否認への対策

– 否認への対策

情報システムにおいて、セキュリティ事故が発生した場合、原因究明や再発防止のために、誰がどのような操作を行ったのかを把握することが非常に重要です。しかし、悪意のある人物が自分の行動を隠蔽しようと、「自分はやっていない」と主張するケースがあります。これを「否認」と呼びます。

否認への対策として、操作ログの取得と保管が有効です。これは、ユーザーの行動を記録し、後から確認できるようにするものです。具体的には、いつ、誰が、どの端末から、どのファイルにアクセスしたのか、といった情報を記録します。

さらに、デジタル署名の利用も有効な対策です。デジタル署名は、電子文書の送信者が本人であること、また、文書が改ざんされていないことを証明する技術です。重要なデータへのアクセスや変更にデジタル署名を利用することで、なりすましや改ざんによる否認を防ぐことができます。

これらの対策を講じることで、仮に不正アクセスなどのセキュリティ事故が発生した場合でも、誰がどのような行動をとったのかを明確化し、迅速な対応と再発防止につなげることが可能になります。

対策 説明 効果
操作ログの取得と保管 ユーザーの行動(アクセス日時、ユーザー、端末、ファイルなど)を記録する 行動履歴を追跡可能にすることで、否認を困難にする
デジタル署名の利用 電子文書の送信者と改ざんの有無を証明する なりすましや改ざんによる否認を防ぐ

情報漏洩への対策

情報漏洩への対策

– 情報漏洩への対策情報漏洩とは、企業や個人が持つ重要な情報が、許可なく外部に流出してしまうことです。これは、企業の信頼を失墜させたり、経済的な損失をもたらしたりするなど、深刻な事態を引き起こす可能性があります。情報漏洩の主な原因としては、外部からの不正アクセス、内部関係者による漏洩、紛失や置き忘れによる情報持ち出しなどが挙げられます。このような脅威から大切な情報資産を守るためには、多層的な対策を講じることが重要です。まず、アクセス制御を強化することが重要です。これは、情報へのアクセス権を持つ人を必要最小限に限定し、権限レベルを設定することで、不正なアクセスを防止するものです。社員一人ひとりに適切なアクセス権を設定し、定期的に見直すことで、内部からの情報漏洩リスクを抑制することができます。次に、データを暗号化することも有効な手段です。暗号化とは、データを第三者に理解できない形式に変換することで、たとえ情報が流出したとしても、内容を解読できないようにする技術です。特に、顧客情報や機密性の高い情報は、保管時や送受信時に必ず暗号化を行うべきです。さらに、セキュリティ対策の状況を定期的にチェックすることも欠かせません。これは、システムの脆弱性を発見し、修正することで、情報漏洩のリスクを継続的に低減するために重要な取り組みです。具体的には、セキュリティソフトの更新、ファイアウォールの設定確認、従業員に対するセキュリティ教育などを実施する必要があります。情報漏洩は、いつ、どこで起こるかわかりません。企業は、これらの対策を積極的に実施することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑え、安全な情報環境を構築していく必要があります。

情報漏洩の原因 対策 具体的な方法
外部からの不正アクセス
内部関係者による漏洩
紛失や置き忘れによる情報持ち出し
アクセス制御の強化 情報へのアクセス権を持つ人を必要最小限に限定
権限レベルを設定
社員一人ひとりに適切なアクセス権を設定
アクセス権を定期的に見直し
外部からの不正アクセス データの暗号化 データを第三者に理解できない形式に変換
保管時や送受信時に暗号化
外部からの不正アクセス セキュリティ対策の状況の確認 システムの脆弱性を発見し、修正
セキュリティソフトの更新
ファイアウォールの設定確認
従業員に対するセキュリティ教育

サービス拒否への対策

サービス拒否への対策

– サービス拒否への対策サービス拒否攻撃は、標的とするシステムに大量のアクセスやデータを送りつけることで、システムに過剰な負荷をかけ、本来の利用者であるはずのユーザーがサービスを利用できないようにする攻撃です。

この攻撃は、Webサイトやオンラインサービスの運営に大きな支障をきたし、場合によっては業務停止に追い込まれる可能性もあるため、その対策は企業にとって非常に重要です。

サービス拒否攻撃への対策として、不正なトラフィックをネットワークレベルで遮断するファイアウォールの導入が有効です。ファイアウォールは、外部からのアクセスを監視し、設定したルールに基づいて不正なアクセスを遮断します。また、負荷分散システムを導入することで、複数のサーバーにアクセスを分散し、単一のサーバーへの負荷集中を防ぐことも有効です。

さらに、侵入検知システム(IDS)侵入防御システム(IPS)を導入することで、攻撃の検知と遮断を自動化することも可能です。これらのシステムは、ネットワーク上のトラフィックを監視し、攻撃の兆候を検知すると、自動的に攻撃トラフィックを遮断します。

サービス拒否攻撃は年々巧妙化しており、完全に防ぐことは難しいと言えます。そのため、日頃からセキュリティ対策を強化し、攻撃を受けた場合でも速やかに対応できる体制を整えておくことが重要です。

対策 説明
ファイアウォール 不正なトラフィックをネットワークレベルで遮断
負荷分散システム 複数のサーバーにアクセスを分散し、単一のサーバーへの負荷集中を防ぐ
侵入検知システム(IDS)/侵入防御システム(IPS) 攻撃の検知と遮断を自動化
タイトルとURLをコピーしました