セキュリティ対策におけるシナリオの重要性

セキュリティ対策におけるシナリオの重要性

セキュリティを知りたい

先生、「シナリオ」ってセキュリティを高めるためにどんな知識なんですか?よくわからないんですけど…

セキュリティ研究家

そうだね。「シナリオ」は、簡単に言うと「悪い人がどんな風に攻撃してくるか」を順番に書いたものなんだよ。

セキュリティを知りたい

へぇ~!じゃあ、悪い人の行動を先に予想しておくってことですか?

セキュリティ研究家

その通り!どんな攻撃が来そうか事前に考えておくことで、対策をしたり、怪しい行動を見つけやすくなるんだ。これがセキュリティを高めるために大切なんだよ。

シナリオとは。

安全性を高めるための知恵として、『シナリオ』というものがあります。もともと『シナリオ』は、芝居の流れや役者の役割を書き記したメモを指す言葉でした。しかし、最近では、計画的な犯罪や悪だくみを企む時にも、『シナリオを書く』といった表現がよく使われるようになりました。サイバー攻撃で言えば、『攻撃シナリオ』という言葉が使われます。SIEMというシステムでは、起こりうる攻撃シナリオを予測し、それに基づいて集めるべき記録を選び、危険を察知するためのルールを作っていきます。

シナリオとは

シナリオとは

– シナリオとは「シナリオ」とは、本来、演劇や映画の台本を指す言葉です。しかし、近年では様々な場面で、これから起こりうる事柄を予測し、その流れを記述したものとして用いられています。情報セキュリティの分野においても、この「シナリオ」は重要な役割を担っています。セキュリティ対策を講じる際に、「どんな悪意を持った人が」「どのような方法で」「どんな情報を入手しようとするのか」といった具体的な攻撃の流れを想定することが重要となります。こうした、攻撃者がどのような手順で、どのような目的で攻撃を仕掛けてくるのかを具体的に想定したものを「攻撃シナリオ」と呼びます。攻撃シナリオを想定することで、自社のシステムの弱点や、情報漏洩のリスクを事前に把握することが可能となります。例えば、顧客情報の管理が甘いシステムの場合、攻撃者はその情報を盗み出すために、偽のウェブサイトに誘導するフィッシング詐欺を仕掛けてくるかもしれません。このように、事前に具体的な攻撃シナリオを想定しておくことで、適切な対策を講じ、攻撃による被害を最小限に抑えることが可能となります。セキュリティ対策は、想定される脅威に対して、先回りして対策を準備しておくことが重要です。

項目 内容
シナリオの定義 本来は演劇や映画の台本を指す言葉。情報セキュリティの分野では、これから起こりうる事柄を予測し、その流れを記述したもの。
攻撃シナリオの定義 攻撃者がどのような手順で、どのような目的で攻撃を仕掛けてくるのかを具体的に想定したもの。
攻撃シナリオの例 顧客情報の管理が甘いシステムの場合、攻撃者は情報を盗み出すために、偽のウェブサイトに誘導するフィッシング詐欺を仕掛けてくる。
攻撃シナリオを想定するメリット 自社のシステムの弱点や情報漏洩のリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、攻撃による被害を最小限に抑えることが可能となる。

攻撃シナリオの例

攻撃シナリオの例

– 攻撃シナリオの例企業の機密情報漏洩ある企業を狙い、機密情報を盗み出す攻撃を想定してみましょう。この攻撃は、巧妙な計画と複数の段階を経て実行されます。まず、攻撃者は標的となる企業の従業員に目星をつけます。そして、その従業員が業務で利用しているかのように見せかけた偽のメールを作成します。このメールには、業務上必要な資料を装ったファイルが添付されています。しかし、実際には、このファイルこそが悪意のあるプログラム、つまりウイルスなのです。何も知らない従業員がファイルを開いた瞬間、ウイルスが社内ネットワークに侵入します。 このウイルスは、感染したパソコンを攻撃者が遠隔操作できる状態にしてしまいます。攻撃者は、まるでそのパソコンを自由に使えるかのように、社内ネットワーク内を動き回ることが可能になります。次に、攻撃者は機密情報が保管されているサーバーを探し始めます。 社内ネットワークに侵入したウイルスは、他のパソコンやサーバーにも感染を広げながら、機密情報を探し回ります。そしてついに、目的のサーバーを発見します。最後の段階では、攻撃者は発見したサーバーに保存されている機密情報へアクセスし、盗み出します。 こうして、企業の機密情報は攻撃者の手に渡り、悪用される危険性が出てしまうのです。このように、一見すると何気ないメールから始まる攻撃であっても、企業にとって大きな損害をもたらす可能性があります。

項目 内容
シナリオの定義 本来は演劇や映画の台本を指す言葉。情報セキュリティの分野では、これから起こりうる事柄を予測し、その流れを記述したもの。
攻撃シナリオの定義 攻撃者がどのような手順で、どのような目的で攻撃を仕掛けてくるのかを具体的に想定したもの。
攻撃シナリオの例 顧客情報の管理が甘いシステムの場合、攻撃者は情報を盗み出すために、偽のウェブサイトに誘導するフィッシング詐欺を仕掛けてくる。
攻撃シナリオを想定するメリット 自社のシステムの弱点や情報漏洩のリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、攻撃による被害を最小限に抑えることが可能となる。

シナリオに基づく対策の必要性

シナリオに基づく対策の必要性

情報セキュリティ対策は、あらゆる攻撃に備えることが理想ですが、現実的には限りある人員や時間、費用の中で行う必要があります。そこで重要となるのが、起こりうる事柄を想定した対策です。具体的な方法としては、まず自社のシステムの脆い部分や、狙われやすい重要な情報を見つけ出すことから始めます。そして、攻撃者がどのような手段で攻撃を仕掛けてくるのか、具体的な手順を想定します。例えば、外部からの不正アクセス、内部関係者による情報漏えい、コンピューターウイルスによるシステムの破壊など、さまざまなパターンを想定する必要があります。

起こりうる事柄を想定した対策では、全ての脅威に対して一度に対策するのではなく、優先順位を決めることが重要です。具体的には、まず影響の大きさ、つまりその脅威が現実になった場合にどれだけの損害が発生するかを分析します。次に、発生の可能性、つまりその脅威が発生する確率の高さを検討します。これらの要素を総合的に判断し、影響が大きく、発生の可能性が高い脅威から優先的に対策を実施していくことが、効率的かつ効果的なセキュリティ対策につながります。

脅威の分析 内容 対策の優先度
影響の大きさ 脅威が現実になった場合の損害の大きさ
発生の可能性 脅威が発生する確率の高さ

SIEMにおけるシナリオの活用

SIEMにおけるシナリオの活用

– SIEMにおけるシナリオの活用

セキュリティ情報イベント管理(SIEM)は、組織の様々な機器が出力する膨大なセキュリティログを集約し、分析することで、リアルタイムにセキュリティ状況を監視するシステムです。組織を守る上で非常に重要な役割を担いますが、SIEMを最大限に活用するには、攻撃シナリオに基づいた運用が不可欠です。

SIEMは、ファイアウォールや侵入検知システムなど、多岐にわたるセキュリティ機器から生成されるログを一元的に管理します。しかし、これらのログは膨大になるため、SIEMで全てのログを詳細に分析することは現実的ではありません。そこで、事前に想定される攻撃シナリオに基づいて、収集するログの範囲を絞り込み、分析対象を明確にする必要があります。

例えば、「外部からの不正アクセス」というシナリオを想定する場合、ファイアウォールやWebサーバのログを中心に収集・分析する必要があります。逆に、内部不正を想定する場合は、認証サーバやファイルサーバのログが重要になります。このように、攻撃シナリオに基づいて収集・分析対象を絞り込むことで、SIEMはより効率的かつ効果的にセキュリティ脅威を検知することができます。

さらに、攻撃シナリオは、SIEMの検知ルール設定においても重要な役割を果たします。シナリオに基づいて具体的な攻撃パターンを想定し、それに合致するログを検知するようにルールを設定することで、より精度の高い脅威検知が可能になります。例えば、「外部からの不正アクセス」シナリオにおいて、「特定の国からのアクセス」や「深夜の時間帯におけるアクセス」など、具体的な攻撃パターンを想定し、ルールに反映させることで、より効果的に不正アクセスを検知できるようになります。

このように、SIEMにおいて攻撃シナリオは非常に重要な役割を果たします。事前に想定される攻撃シナリオに基づいて、収集するログの対象を絞り込み、検知ルールを設定することで、より効率的かつ効果的に組織のセキュリティを向上させることが可能になります。

攻撃シナリオ 収集ログの例 具体的な攻撃パターン例
外部からの不正アクセス ファイアウォールログ、Webサーバログ 特定の国からのアクセス、深夜の時間帯におけるアクセス
内部不正 認証サーバログ、ファイルサーバログ 権限外のファイルアクセス、大量のデータダウンロード

まとめ

まとめ

あらゆる情報を取り扱う現代において、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。堅牢なセキュリティ対策を構築するには、攻撃者の目線に立って、どのような方法でシステムの脆弱性を突いてくるのかを想定することが不可欠です。

自社のシステムや情報資産を分析し、潜在的なリスクを洗い出すことから始めましょう。具体的には、個人情報や機密情報といった重要なデータがどこにあるのか、システムの設計上の弱点、従業員のセキュリティ意識などを評価します。

次に、これらのリスクを踏まえ、攻撃者がどのような手順で攻撃を仕掛けてくるのか、具体的なシナリオを描き出すことが重要です。例えば、パスワードが脆弱なアカウントを狙った不正アクセス、システムの脆弱性を突いたマルウェア感染、フィッシングメールによる情報詐取など、様々な攻撃パターンを想定する必要があります。

これらの攻撃シナリオを基に、効果的な対策を講じることが可能となります。例えば、強力なパスワードを設定する、システムの脆弱性を修正する、従業員へのセキュリティ教育を実施するといった対策が考えられます。

さらに、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)などのセキュリティシステムを導入する場合には、想定される攻撃シナリオに基づいて、システムを適切に設定することが重要です。これにより、脅威を迅速に検知し、適切な対応策を講じることが可能となり、被害を最小限に抑えることができます。

段階 内容
1. リスクの洗い出し 自社のシステムや情報資産を分析し、潜在的なリスクを明確にする。 ・重要なデータの保管場所
・システムの設計上の弱点
・従業員のセキュリティ意識
2. 攻撃シナリオの作成 リスクを踏まえ、攻撃者がどのような手順で攻撃を仕掛けてくるのか具体的なシナリオを描き出す。 ・脆弱なパスワードを狙った不正アクセス
・システムの脆弱性を突いたマルウェア感染
・フィッシングメールによる情報詐取
3. 対策の実施 攻撃シナリオに基づき、効果的な対策を講じる。 ・強力なパスワード設定
・システムの脆弱性修正
・従業員へのセキュリティ教育
・セキュリティシステムの導入
4. セキュリティシステムの設定 SIEMなどのセキュリティシステムを導入する場合、想定される攻撃シナリオに基づいてシステムを適切に設定する。 ・脅威の迅速な検知
・適切な対応策の実施
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