セキュリティテストの新潮流:OASTとは
セキュリティを知りたい
先生、「OAST」ってセキュリティを高めるための知識って聞いたんですけど、よくわからないんです。教えてください!
セキュリティ研究家
なるほど。「OAST」はね、特別なサーバーを使って、ホームページの隙間から情報を抜き取ろうとする攻撃を見つけやすくする技術なんだ。ホームページ自身は無事そうに見えても、裏でこっそり情報が盗まれているかもしれない。それをこの技術で見つけるんだ。
セキュリティを知りたい
ホームページ自身は無事そうなのに、裏で情報が盗まれる…?なんだかスパイみたいですね!でも、どうやって見つけるんですか?
セキュリティ研究家
そうだね!まさにスパイを捕まえるようなものだよ。特別なサーバーで、ホームページから怪しい通信が来ていないか常に監視しているんだ。もし、スパイのような攻撃によって情報が送られようとしたら、このサーバーでキャッチして、危険だと教えてくれるんだよ。
OASTとは。
ウェブサイトの安全性を高めるための方法の一つに、「外部サーバーを使ったセキュリティテスト」があります。これは、普段使わないような通信経路をウェブサイトに試させることで、弱点がないかを調べる方法です。従来の方法をさらに進化させたものとして、様々なツールやサービスが登場しています。
このテストでは、ウェブサイトにわざと攻撃を仕掛け、外部との通信が発生するかどうかを観察します。事前に用意した外部サーバーで通信記録を確認することで、攻撃が成功したかどうか、つまりウェブサイトに弱点があるかどうかを判断します。
特に、ウェブサイト上では結果が分かりにくい弱点(例えば、データベースへの不正な命令の埋め込み等)を見つけるのに優れています。有名なツールとしては、「BurpCollaborator」や無料で使える「interactsh」などがあります。
Webアプリケーションのセキュリティ対策
インターネットの普及により、私たちの生活やビジネスにおいてWebアプリケーションは欠かせないものとなりました。顧客情報を扱うシステムやオンラインショップ、社内の情報共有ツールなど、様々な場面で利用されています。しかし、利便性が高まる一方で、Webアプリケーションはサイバー攻撃の対象となりやすく、セキュリティ対策が重要となっています。
Webアプリケーションに対する攻撃は、不正なプログラムコードを送り込むことでシステムを乗っ取ったり、個人情報などの重要な情報を盗み出したりすることを目的としています。このような攻撃からWebアプリケーションを守るためには、多層的なセキュリティ対策が必要です。
まず、ユーザーのアクセスを制限するために、強力なパスワードを設定し、パスワードの使い回しを避けることが重要です。さらに、二段階認証を導入することで、セキュリティレベルを向上させることができます。
また、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃を防ぐためには、システムの最新状態を保つことが重要です。開発元から提供されるセキュリティアップデートを速やかに適用することで、既知の脆弱性を突いた攻撃を防ぐことができます。
さらに、Webアプリケーションでやり取りされるデータを暗号化することも重要です。通信経路を暗号化することで、万が一、第三者に通信内容を盗聴されたとしても、データの内容を解読されることを防ぐことができます。
Webアプリケーションのセキュリティ対策は、企業にとって重要な課題です。これらの対策を講じることで、安全なWebアプリケーションの運用を実現することができます。
セキュリティ対策 | 説明 |
---|---|
強力なパスワードとパスワードの使い回し回避 | ユーザーのアクセスを制限するために、推測されにくい強力なパスワードを設定し、使い回しを避ける。 |
二段階認証の導入 | パスワード以外の要素を用いることで、不正アクセス防止を強化する。 |
システムの最新状態の維持 | 開発元から提供されるセキュリティアップデートを適用し、脆弱性を解消する。 |
データの暗号化 | 通信経路を暗号化することで、盗聴されてもデータの内容を保護する。 |
従来の脆弱性診断の限界
– 従来の脆弱性診断の限界
従来の脆弱性診断では、ウェブサイトやウェブサービスに対して、あたかも悪意のある攻撃者が攻撃しているかのように疑似的な攻撃を仕掛け、その反応を見ることで、システムの弱点を探してきました。これは、家のドアを叩いたり、窓を軽く揺らしたりして、壊れやすい場所が無いかを確認するようなものです。
しかし、この方法では、家の外から見える部分だけの確認となり、家の中の複雑な仕掛けや、水道管やガス管など、外部とつながっている部分のチェックはできません。
ウェブサイトやウェブサービスでも同じことが言えます。従来の方法では、ウェブサイトの表面的な部分に対する攻撃しか想定しておらず、複雑なプログラムの内部や、データベースとの連携部分など、隠れた部分に潜む弱点を見つけることは困難でした。
例えば、データベースに不正な命令文を送り込み、情報を盗み出す「SQLインジェクション」と呼ばれる攻撃があります。この攻撃は、ウェブサイトの表面的な反応からは判別が難しく、従来の脆弱性診断では見つけることが難しい場合がありました。
このように、従来の脆弱性診断は、シンプルな攻撃しか想定していないため、巧妙化するサイバー攻撃からシステムを守るには限界がありました。そのため、より高度な攻撃にも対応できる、新たなセキュリティ対策が求められています。
項目 | 内容 |
---|---|
従来の脆弱性診断 | ウェブサイトやウェブサービスに対して、疑似的な攻撃を仕掛け、システムの弱点を探す方法。 |
限界点 | – 表面的な部分のみのチェックとなり、内部の複雑なプログラムやデータベースとの連携部分の脆弱性は見つけにくい。 – シンプルな攻撃しか想定していないため、巧妙化するサイバー攻撃への対応は困難。 |
例 | SQLインジェクション:データベースに不正な命令文を送り込み、情報を盗み出す攻撃。表面的な反応からは判別が難しく、従来の脆弱性診断では見つけることが難しい。 |
OAST:アウトオブバンド通信で脆弱性を検出
– OAST通常の通信経路外で脆弱性を発見OAST(アウトオブバンドアプリケーションセキュリティテスト)は、従来のセキュリティ診断では見つけ出すことが難しかった脆弱性を、全く新しい方法で発見する技術です。これまでの方法では、アプリケーション内部の動作を詳細に調べることで脆弱性を見つけ出そうとしていました。しかし、OASTはアプリケーションと外部サーバー間の通信内容に着目することで、より確実に脆弱性を発見します。OASTの仕組みは、まず、検査対象のウェブアプリケーションに対して、外部のサーバーと通信を行うような特殊な攻撃コードを送り込みます。この攻撃コードは、ウェブアプリケーションに脆弱性が潜んでいる場合のみ実行され、外部サーバーとの通信を試みます。もし、ウェブアプリケーションに脆弱性がなければ、この攻撃コードは実行されず、外部サーバーとの通信も発生しません。OASTは、このような外部サーバーとの通信を監視し、通信が発生した場合にのみ、脆弱性が存在すると判断します。この方法の利点は、従来の方法では検出できなかった、隠れた脆弱性を見つけ出すことができる点にあります。また、攻撃コードの実行結果を直接確認するのではなく、外部サーバーとの通信の有無だけを確認するため、誤検知が少なく、より正確な診断結果を得られるという利点もあります。OASTは、近年増加している、巧妙に隠された脆弱性を発見するための重要な技術として注目されています。
項目 | 内容 |
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定義 | 従来のセキュリティ診断では見つけ出すことが難しかった脆弱性を、アプリケーションと外部サーバー間の通信内容に着目することで発見する技術 |
仕組み | 1. 検査対象のウェブアプリケーションに対して、外部のサーバーと通信を行うような特殊な攻撃コードを送り込みます。 2. ウェブアプリケーションに脆弱性が潜んでいる場合のみ攻撃コードが実行され、外部サーバーとの通信を試みます。 3. OASTは外部サーバーとの通信を監視し、通信が発生した場合にのみ、脆弱性が存在すると判断します。 |
利点 | 1. 従来の方法では検出できなかった、隠れた脆弱性を見つけ出すことができる。 2. 攻撃コードの実行結果を直接確認するのではなく、外部サーバーとの通信の有無だけを確認するため、誤検知が少なく、より正確な診断結果を得られる。 |
まとめ | OASTは、近年増加している、巧妙に隠された脆弱性を発見するための重要な技術 |
OASTのメリット
– OASTのメリット
近年、Webアプリケーションへの攻撃が増加する中で、セキュリティ対策の重要性が高まっています。
従来の脆弱性診断に加えて、OAST(Out-of-band Application Security Testing)という新しい技術が注目されています。
この技術は、従来の方法では見つけるのが難しかった脆弱性を発見するのに役立ちます。
-# より広範囲な脆弱性の検出
OASTは、従来の脆弱性診断では発見が困難であった「ブラインド」型の脆弱性を検出するのに非常に効果的です。
従来の診断では、Webアプリケーションに対して擬似的な攻撃を行い、その応答を分析することで脆弱性の有無を判断していました。
しかし、攻撃が成功したかどうかがアプリケーションの応答に現れない場合、脆弱性を見逃してしまう可能性がありました。
OASTは、攻撃が成功した際に、外部のサーバーへ攻撃者にだけわかる特定の信号を送信するように仕掛けておきます。
これにより、アプリケーションの応答内容に関係なく、脆弱性の有無を確認できます。
-# 誤検知の減少
OASTは、Webアプリケーションの応答内容に依存しないため、誤検知が少なく、より精度の高い脆弱性診断が可能になります。
従来の診断方法では、アプリケーションの応答内容によって誤って脆弱性と判断してしまうケースがありました。
OASTは、攻撃が成功した際に送信される特定の信号の有無のみで判断するため、このような誤検知を大幅に減らすことができます。
-# まとめ
OASTは、従来の脆弱性診断と比較して、より広範囲な脆弱性を検出できるだけでなく、誤検知も少ないという利点があります。
Webアプリケーションのセキュリティ対策を強化するために、OASTの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
項目 | 内容 |
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より広範囲な脆弱性の検出 | – 従来型の診断では発見困難な「ブラインド」型の脆弱性の検出に効果的 – 攻撃成功時に外部サーバーへ特定の信号を送信することで、アプリケーションの応答内容に依存しない診断が可能 |
誤検知の減少 | – アプリケーションの応答内容に依存しないため、誤検知が少なく、精度の高い診断が可能 |
代表的なOASTツール
– 代表的なOASTツールWebアプリケーションへの攻撃を検知する技術として注目されているOASTですが、専門知識が求められる複雑なシステムというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、近年ではOASTを簡単に実施できるツールが登場しており、導入しやすくなってきています。代表的なOASTツールとして、まず挙げられるのが「Burp Collaborator」です。これは、Webアプリケーションのセキュリティテストで広く利用されている「Burp Suite」というツールの拡張機能の一つです。Burp Suiteを普段から使用している方であれば、追加のインストール作業なしに、簡単にOASTの機能を利用できます。もう一つ、広く利用されているのが「Interactsh」というオープンソースのツールです。Interactshは、無料で利用できるという点に加え、Dockerなどの仮想環境で簡単に構築できるという点も大きなメリットです。そのため、コストをかけずにOASTを試してみたいという方にも最適なツールと言えるでしょう。これらのツールは、いずれも専門的な知識がなくても比較的簡単に利用できるよう、ユーザーインターフェースが工夫されています。そのため、これまでOASTを導入したことがないという方でも、安心して利用することができます。OASTは、Webアプリケーションのセキュリティ対策を強化する上で、非常に有効な手段です。ぜひこれらのツールを活用して、Webアプリケーションの安全性を高めましょう。
ツール名 | 特徴 | メリット |
---|---|---|
Burp Collaborator | Burp Suiteの拡張機能 | – Burp Suiteユーザーは追加インストールなしで利用可能 – 使いやすいUI |
Interactsh | オープンソースツール | – 無料 – Dockerで簡単構築 – 使いやすいUI |
OAST活用の重要性
今日のビジネス環境において、インターネット上で情報をやり取りするウェブアプリケーションは欠かせないものとなっています。しかし、その利便性と反比例するように、悪意を持った攻撃者から狙われやすい存在であることも事実です。堅牢なウェブアプリケーションを構築し、安全な情報を守るためには、多角的なセキュリティ対策が必須です。
従来型のセキュリティ対策では、ウェブアプリケーションのプログラムコードを解析し、脆弱性を見つけ出す方法が一般的でした。しかし、攻撃手法は日々巧妙化しており、従来の方法では見つけることができない、隠れた脆弱性が増えています。そこで注目されているのが、「OAST」という新たなセキュリティテスト手法です。
OASTは、ウェブアプリケーションを実際に動作させながら、擬似的な攻撃を加えることで、従来の方法では発見できなかった脆弱性を洗い出すことができます。OASTを導入することで、より高い精度で潜在的な脆弱性を発見し、攻撃者が悪用する前に対策を講じることが可能になります。 企業は、OASTを積極的にセキュリティ対策に組み込むことで、より安全なウェブアプリケーションの開発、運用を実現し、サイバー攻撃による情報漏えいなどのリスクを低減できるでしょう。
従来のセキュリティ対策 | OAST |
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ウェブアプリケーションのプログラムコードを解析し、脆弱性を見つけ出す。 | ウェブアプリケーションを実際に動作させながら、擬似的な攻撃を加えることで脆弱性を洗い出す。 |
攻撃手法の巧妙化により、発見できない脆弱性が増加。 | 従来の方法では発見できない、隠れた脆弱性を発見可能。 |