サイバー攻撃を体系的に理解する: MITRE ATT&CK入門
セキュリティを知りたい
先生、「MITRE ATT&CK」って最近よく聞くんですけど、どんなものなんですか? セキュリティを高めるのに役立つって聞いたんですけど…
セキュリティ研究家
よくぞ聞いてくれました! 「MITRE ATT&CK」は、攻撃者がどんな手口で攻撃してくるのかをまとめた、いわば“攻撃カタログ”のようなものなんだ。敵の手口を知ることで、効果的な対策を立てられるようになるんだよ。
セキュリティを知りたい
“攻撃カタログ”ですか! なるほど、敵を知ることが大事なんですね。でも、攻撃の手口ってそんなにたくさんあるんですか?
セキュリティ研究家
そうなんだ。攻撃の手口は多岐に渡っていて、「MITRE ATT&CK」では大きく戦術とテクニックに分けて整理しているんだ。例えば、戦術の一つに「侵入」があって、その中に「フィッシング」や「脆弱性攻撃」といった具体的なテクニックが分類されているんだよ。
MITRE ATT&CKとは。
守りを固めるための知恵として、『MITRE ATT&CK』というものがあります。『MITRE ATT&CK』は、『Adversarial Tactics, Techniques and Common Knowledge(敵対的な戦術、技術、共通認識)』の短縮形で、アメリカの公益団体MITREが作った、サイバー攻撃から身を守るための枠組みです。実際に起きたサイバー攻撃の情報を基に、攻撃者のやり方を分類することで、組織が弱点を見つけ出し、より強い守りを作れるようにすることを目指しています。『MITRE ATT&CK』では、攻撃者の作戦をいくつかの種類に分け、さらに細かいやり方に分けています。それぞれのやり方に対して、具体的な例や、防ぎ方、見つけ方がまとめられています。『MITRE ATT&CKマトリックス』には、企業向け、携帯電話向け、重要インフラ向けのものがあり、WindowsやmacOSといった環境に合わせて絞り込むこともできます。
サイバー攻撃の全体像を掴む
– サイバー攻撃の全体像を掴む現代社会において、サイバー攻撃はますます巧妙化し、その脅威は日に日に増大しています。企業や組織、そして個人にとっても、もはや他人事ではなく、誰もが標的となり得る時代と言えるでしょう。攻撃の手口も多岐に渡り、その複雑さから、セキュリティ対策は容易ではありません。このような状況下において、セキュリティ対策を効果的に行うためには、まず敵を知る必要があります。サイバー攻撃の全体像を把握し、攻撃者がどのような手順で、どのような目的を達成しようとしているのかを理解することが重要です。MITRE ATT&CKは、こうしたサイバー攻撃を体系的に理解するためのフレームワークを提供してくれる強力なツールです。攻撃者が用いる戦術や技術を詳細に分類し、可視化することで、セキュリティ担当者は自組織の脆弱性をより的確に把握し、適切な対策を講じることができるようになります。MITRE ATT&CKを活用することで、攻撃者が侵入経路として考えられる箇所、重要な情報資産を狙ってくる可能性、攻撃が成功した場合の影響範囲などを具体的に想定できます。この分析結果に基づき、優先度の高い対策から計画的に実施していくことで、限られた資源を有効活用し、より強固なセキュリティ体制を構築することが可能になります。
サイバー攻撃の危機 | 対策 |
---|---|
サイバー攻撃は躁劲化し、企業、組織、個人を対象とした危険となっている。攻撃の手口も多数であり、セキュリティ対策は容易ではない。 | 攻撃者を知ることが重要である。サイバー攻撃の全体像を把握し、攻撃者の手順や目的を理解することが効果的なセキュリティ対策につながる、MITRE ATT&CKはそれを実現するフレームワークである。 |
セキュリティ対策の困難さ | MITRE ATT&CKを活用することで、脆弱性を的確に把握し、重要な情報資産への攻撃の可能性や攻撃の影響範囲を想定し、優先度の高い対策を実施することで、強固なセキュリティ体制を構築することが可能になる。 |
MITRE ATT&CKとは
– MITRE ATT&CKとは
MITRE ATT&CK (Adversarial Tactics, Techniques, and Common Knowledge)は、アメリカの非営利団体MITRE社が開発した、サイバー攻撃に関する知識を集めたデータベースです。攻撃者がどのような方法で攻撃を仕掛けてくるのか、その手順を体系的に分類し、分かりやすくまとめています。
このデータベースは、実際に起きた様々なサイバー攻撃の事例を分析して作られています。そのため、机上の空論ではなく、現実の攻撃で用いられる手法を具体的に知ることができる点が大きな特徴です。
MITRE ATT&CKは、セキュリティ対策を考える上で非常に役立つツールです。攻撃者が取る可能性のある行動を把握することで、どの部分を重点的に守るべきかを判断することができます。また、自社のシステム環境に合わせた、より効果的な対策を検討することにも役立ちます。
セキュリティ対策は、やみくもに全てのリスクに対応するのではなく、重要な情報資産を守り抜くために、どこに力を入れるかを適切に見極めることが重要です。MITRE ATT&CKは、そのための判断材料を提供してくれる強力な武器となるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | アメリカの非営利団体MITRE社が開発した、サイバー攻撃に関する知識を集めたデータベース |
特徴 | 攻撃者の攻撃手順を体系的に分類・整理 実際の攻撃事例を分析した、現実的な手法を網羅 |
メリット | 攻撃者の行動を予測し、重点的に守るべき箇所を特定可能 自社システムに最適なセキュリティ対策を検討可能 |
攻撃者の行動を分類する
– 攻撃者の行動を分類するサイバー攻撃から身を守るためには、攻撃者がどのような行動を取るのかを理解することが重要です。攻撃には様々な種類があり、それぞれ目的や手法が異なります。そこで、攻撃者の行動を体系的に分類し、分析するためのフレームワークが開発されました。それがMITRE ATT&CKです。MITRE ATT&CKでは、攻撃者の行動を大きく「戦術」と「テクニック」の二つに分類します。「戦術」とは、攻撃者が最終的に達成しようとする目的や目標を指します。例えば、組織のネットワークに侵入することや、重要な情報を盗み出すことなどが挙げられます。一方、「テクニック」は、戦術を実現するために実際に用いられる具体的な技術や手法を指します。例えば、標的型攻撃メールを送信して利用者を騙し、コンピュータウイルスに感染させる「スピアフィッシング」や、ソフトウェアの脆弱性を突いて不正なプログラムを実行させる「脆弱性の悪用」といったものが挙げられます。例えば、「初期アクセス」という戦術の下には、「スピアフィッシング」や「脆弱性の悪用」といったテクニックが分類されます。このように、MITRE ATT&CKは攻撃における「目的」と「手段」を明確に分類することで、セキュリティ対策を検討する上での共通認識を築き、より効果的な対策を講じることが可能になります。
分類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
戦術 | 攻撃者が最終的に達成しようとする目的や目標 | 組織のネットワークへの侵入、重要情報の窃取など |
テクニック | 戦術を実現するために実際に用いられる具体的な技術や手法 | スピアフィッシング、脆弱性の悪用など |
マトリックスによる可視化
攻撃の戦術や手法を体系的にまとめた情報を活用して、自組織の安全性を高めることはとても大切です。MITRE ATT&CKは、世界中で幅広く利用されている攻撃者の行動モデルです。このMITRE ATT&CKの情報は、縦軸と横軸にそれぞれ項目を設け、交差するマス目に情報が記載された表形式で分かりやすく整理されています。この表は一般的にマトリックスと呼ばれており、セキュリティ対策を検討する上で役立ちます。
マトリックスは、攻撃の進展過程を表す段階を横軸に、攻撃者が用いる具体的な戦術を縦軸に配置して構成されています。そして、それぞれの戦術に紐づく具体的な攻撃手法が、交差するマス目の中に詳細に記載されています。このマトリックスを詳しく確認することで、自組織のシステムが、どの段階の、どの戦術に対して脆弱であるかを把握することができます。そして、その分析結果に基づいて、適切な対策を講じることが重要になります。例えば、ある特定の戦術に対して脆弱であると分析された場合には、その戦術に関連する攻撃手法を検知・防御するための対策を重点的に実施します。このように、MITRE ATT&CKのマトリックスを可視化ツールとして活用することで、自組織のセキュリティ対策をより効果的に推進していくことが可能になります。
軸 | 内容 |
---|---|
横軸 | 攻撃の進展過程を表す段階 |
縦軸 | 攻撃者が用いる具体的な戦術 |
交差するマス目 | 具体的な攻撃手法の詳細 |
実践的な活用
– 実践的な活用MITRE ATT&CKは、机上の空論ではなく、セキュリティ対策の様々な場面で実際に役立てることができるフレームワークです。具体的な活用例としては、セキュリティ対策製品の評価、脅威情報の分析、レッドチーム演習、そしてインシデント対応などが挙げられます。これらの多岐にわたる分野において、MITRE ATT&CKは共通の枠組みとして機能することで、セキュリティ対策をより体系的かつ効果的に実行することを可能にします。例えば、新たなセキュリティ対策製品を導入する際には、その製品がMITRE ATT&CKのどの攻撃段階(Tactics)や攻撃手法(Techniques)に対応しているのかを把握することで、自組織の弱点補強に本当に役立つのかどうかを客観的に判断することができます。また、最新の脅威情報とMITRE ATT&CKを照らし合わせることで、攻撃者がどのような手順で攻撃を仕掛けてくるのかを具体的に理解し、より的確な対策を立てることが可能になります。さらに、MITRE ATT&CKをレッドチーム演習に取り入れることで、実際の攻撃を想定した実践的な訓練を実施することができます。これにより、自組織のセキュリティ対策の現状を把握し、弱点の発見や改善につなげることが可能となります。このように、MITRE ATT&CKはセキュリティ対策のあらゆる場面で活用できる強力なツールです。自組織のセキュリティレベル向上のため、MITRE ATT&CKを積極的に活用していくことをお勧めします。
活用例 | 説明 |
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セキュリティ対策製品の評価 | 製品がMITRE ATT&CKのどの攻撃段階や攻撃手法に対応しているかを把握し、自組織にとって本当に役立つのかどうかを客観的に判断する。 |
脅威情報の分析 | 最新の脅威情報とMITRE ATT&CKを照らし合わせ、攻撃者の手順を具体的に理解し、的確な対策を立てる。 |
レッドチーム演習 | MITRE ATT&CKを元に実際の攻撃を想定した実践的な訓練を実施し、自組織のセキュリティ対策の現状把握、弱点の発見や改善につなげる。 |
インシデント対応 | 過去の攻撃手法を分析し、対策を強化することで、同様のインシデントの発生を防ぐ。 |
常に進化するフレームワーク
– 常に進化するフレームワーク
サイバー攻撃の方法は、日々巧妙化し、攻撃者は常に新しい技術や戦術を開発しています。そのため、セキュリティ対策も現状維持では全く不十分であり、常に最新の脅威に対応していく必要があります。
この進化し続けるサイバー攻撃の手法を体系的に理解し、効果的な対策を講じるために開発されたのがMITRE ATT&CKフレームワークです。MITRE ATT&CKは、実際のサイバー攻撃に基づいた戦術、技術、手順を網羅しており、攻撃者の行動を詳細に把握することを可能にします。
しかし、MITRE ATT&CK自体も、新たな攻撃手法の発見や分析結果の追加などにより、常に更新され続けています。そのため、セキュリティ担当者は、常に最新版のMITRE ATT&CKを参照し、自組織のセキュリティ対策に反映していくことが重要です。
最新の情報を常に追いかけることで、攻撃者がどのような方法でシステムに侵入しようとしているのか、どのような脆弱性を狙ってくるのかを予測することができます。そして、その予測に基づいて、より的確な対策を講じることが可能となるのです。MITRE ATT&CKは、セキュリティ対策を強化し、組織の安全性を確保するための強力な武器となるでしょう。
項目 | 内容 |
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サイバー攻撃の現状 | 日々巧妙化しており、攻撃者は常に新しい技術や戦術を開発している。 |
効果的な対策 | セキュリティ対策は現状維持では不十分で、常に最新の脅威に対応していく必要がある。 |
MITRE ATT&CKフレームワークとは | 進化し続けるサイバー攻撃の手法を体系的に理解し、効果的な対策を講じるために開発されたフレームワーク。 実際のサイバー攻撃に基づいた戦術、技術、手順を網羅しており、攻撃者の行動を詳細に把握することを可能にする。 |
MITRE ATT&CKの更新性 | 新たな攻撃手法の発見や分析結果の追加などにより、常に更新されている。 |
セキュリティ担当者がすべきこと | 常に最新版のMITRE ATT&CKを参照し、自組織のセキュリティ対策に反映していくことが重要。 |
最新の情報を得ることの重要性 | 攻撃者がどのような方法でシステムに侵入しようとしているのか、どのような脆弱性を狙ってくるのかを予測することができる。 予測に基づいて、より的確な対策を講じることが可能となる。 |
MITRE ATT&CKの活用 | セキュリティ対策を強化し、組織の安全性を確保するための強力な武器となる。 |