ネットワーク

家庭内データを守れ!NASのセキュリティ対策

- ネットワークにつながる便利な収納庫、NAS 「NAS」とは「Network Attached Storage」の略で、ネットワークに接続された収納庫のことです。従来のUSB接続の外付けハードディスクとは異なり、家庭内やオフィス内のネットワークに接続することで、複数の機器から同時にデータの保存や読み出しが可能になります。 例えば、家族で旅行に行った時の写真や動画をNASに保存しておけば、家族それぞれのスマホやパソコンからいつでも見返すことができます。また、音楽や映画を保存しておけば、リビングの大画面テレビで楽しんだり、外出先でもスマートフォンで視聴したりすることが可能になります。 NASは、従来の外付けハードディスクに比べて容量が大きく、複数の機器から同時にアクセスできる点が大きなメリットです。 また、機種によっては自動バックアップ機能やデータの暗号化機能などが搭載されており、重要なデータをより安全に保管することができます。 NASは、パソコンやスマートフォンなど、さまざまな機器からアクセスできるため、家庭やオフィスでのデータ共有に最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
プライバシー

悪質なデザインにご用心!~ダークパターンとその対策~

インターネットは大変便利な反面、使い方によっては危険を伴うということを忘れてはいけません。ウェブサイトやアプリを利用する際、私達は知らず知らずのうちに誰かに操られている可能性すらあります。その代表的なものが「ダークパターン」と呼ばれる仕組みです。 ダークパターンとは、利用者を騙す目的でわざと作られたデザインのことを指します。例えば、有料サービスの無料体験に申し込んだ後、無料期間が終了すると自動的に有料会員に移行してしまうといった経験はありませんか? また、インターネットショッピングの際に、気がつかないうちに不要なオプションがカートに入っていたり、解約手続きが複雑で分かりにくく設定されていたりすることもあります。 ダークパターンは、一見すると利用者に便利な機能のように思える場合もありますが、実際には企業側の利益を最優先に考えて作られたものがほとんどです。 このような巧妙な罠に引っかからないためには、普段からウェブサイトやアプリの利用規約をよく読み、注意深く操作することが重要です。怪しいと感じたら、すぐに利用を中止することも検討しましょう。
脆弱性

セキュリティ対策の基礎: 共通脆弱性タイプCWEとは

- 共通脆弱性タイプCWEの概要 ソフトウェアやハードウェアには、設計上のミスやプログラミングの誤りなど、セキュリティ上の弱点が存在することがあります。このような弱点は「脆弱性」と呼ばれ、悪用されると情報漏えいやシステム停止などの深刻な被害につながる可能性があります。 共通脆弱性タイプCWEは、世界中で発見された様々な脆弱性を共通の形式で分類・整理したリストです。CWEは、特定の製品や技術に依存せず、脆弱性そのものに焦点を当てています。 CWEを利用することで、開発者は自らが開発するソフトウェアに潜む脆弱性の種類を特定し、適切な対策を講じることができます。また、セキュリティ専門家は、CWEを基に脆弱性の傾向を分析し、組織全体のセキュリティ対策を強化することができます。 CWEは、脆弱性を特定するための共通の指標として、CVE(共通脆弱性識別子)やCVSS(共通脆弱性評価システム)と合わせて利用されることが多く、セキュリティ対策の基礎となる重要な知識と言えるでしょう。
脆弱性

WinRARの脆弱性にご用心!安全にファイルを使うための対策

「WinRAR」は、パソコンに保存されているファイルを小さくまとめたり、逆にまとめられたファイルを開いたりすることができる便利な道具です。多くの人が日常的に利用していますが、その普及率の高さは、裏を返せば、悪意を持つ攻撃者にとっても狙いやすい格好の標的となりえます。攻撃者は、偽物のWinRARに見せかけた悪意のあるプログラムをインターネット上にばらまきます。この偽物のプログラムは、一見、本物のWinRARの更新プログラムのように見えるため、だまされてインストールしてしまう人も少なくありません。しかし、インストールした途端、パソコンの中にウイルスが侵入し、個人情報や重要なデータが盗み取られてしまう危険性があります。安全性を確保するためにも、WinRARは必ず公式のウェブサイトからダウンロードするようにしましょう。また、ダウンロードする際には、ウェブサイトのアドレスをよく確認し、偽サイトではないことを確かめることが重要です。さらに、セキュリティソフトを常に最新の状態に保ち、怪しいプログラムの実行を防ぐことも大切です。WinRARは便利な反面、使い方を誤ると危険にさらされる可能性もあります。日頃からセキュリティ対策を意識し、安全に利用しましょう。
データ保護

知っておきたい!暗号アルゴリズムの基本

- 暗号アルゴリズムとは 暗号アルゴリズムは、データを第三者に解読できない形に変換するための手順を定めたもので、情報セキュリティの基礎となる技術です。まるで特別な辞書と規則を用いて、元の文章を他人が理解できない言葉に変換するようなものです。この変換処理を「暗号化」、暗号化されたデータを元の形に戻す処理を「復号」と呼びます。 暗号アルゴリズムは、この変換の仕方を具体的に定めたものであり、複雑な数学的計算に基づいています。その複雑さはアルゴリズムの種類によって異なり、より複雑なアルゴリズムほど解読が困難になります。 例えば、インターネット上で個人情報やクレジットカード情報などの重要なデータを送信する際、暗号アルゴリズムによってデータが暗号化されます。これにより、たとえ第三者にデータが盗聴されたとしても、解読が困難な状態となり、情報の安全性が保たれます。 このように、暗号アルゴリズムは現代社会において、情報の機密性を維持する上で非常に重要な役割を担っています。
データ保護

企業のデータ管理を支えるMySQLとは

- 信頼できるオープンソースデータベース世界中の多くの企業で利用されているデータベースソフトウェアにMySQLがあります。MySQLは誰でも無償で利用・改変できるオープンソースソフトウェアである点が大きな特徴です。そのため、ソフトウェアの利用料を抑えたいと考えている企業や、自社のシステムに合わせてソフトウェアをカスタマイズしたいと考えている企業にとって魅力的な選択肢の一つとなっています。MySQLはオープンソースソフトウェアでありながら、高い信頼性を誇ります。MySQLは世界中の多くの企業で長年にわたり利用され続けており、その過程で機能の改善やバグの修正などが繰り返し行われてきました。その結果、MySQLは非常に安定した信頼性の高いデータベースソフトウェアへと成長しました。MySQLは活発なコミュニティによって支えられています。MySQLには、開発者や利用者など多くの人が参加する活発なコミュニティが存在します。コミュニティでは、MySQLに関する様々な情報交換や技術的な議論などが日々行われています。そのため、MySQLを利用する上で困ったことが発生した場合でも、コミュニティを通じて他の利用者から助言や解決策を得られる可能性があります。このように、MySQLは高い信頼性と活発なコミュニティ、そしてオープンソースならではの自由度の高さを兼ね備えたデータベースソフトウェアです。コストを抑えたい企業や独自のシステムに合わせたカスタマイズが必要な企業にとって、MySQLは検討する価値のある選択肢の一つと言えるでしょう。
ネットワーク

ダークネット:知られざるインターネットの深層

インターネットは、ウェブサイトの閲覧やメールの送受信など、私たちの生活に欠かせないものとなっています。それはまるで世界中に広がる広大な海のようです。しかし、この広大なインターネットの世界には、私たちが普段目にすることのない、まるで深海のような領域が存在します。それは、使用されていないIPアドレス空間、いわゆる「ダークネット」と呼ばれる領域です。 ダークネットは、特殊なソフトウェアや設定を使用しなければアクセスできないため、一般的には知られていません。その匿名性の高さから、違法な活動の温床となっているというイメージを持たれることもあります。確かに、違法薬物の取引や、サイバー犯罪に利用されるケースも存在します。しかし、ダークネットは、本来、プライバシー保護や検閲への抵抗といった目的で利用されてきました。 例えば、言論統制が厳しい国では、ダークネットを通じて外部との情報交換や発信活動を行う人々もいます。また、匿名性を活かして、内部告発や機密情報の漏洩などに利用されることもあります。このように、ダークネットは、光と影の両面を持つ存在と言えるでしょう。 重要なのは、ダークネットの存在を正しく理解し、安易にアクセスしたり、違法な活動に手を染めたりしないことです。インターネットの安全性を確保するためには、一人ひとりが正しい知識と倫理観を持って行動することが求められます。
脆弱性

緊急対策が必要!悪用が確認された脆弱性とは?

- 実際に悪用されている脆弱性のリスト 情報通信技術の進歩に伴い、私達の生活は便利になる一方、 cyber空間における脅威 も増加の一途をたどっています。日々、様々な攻撃の手口が開発され、私達の大切な情報が危険に晒されています。 実際に悪用されている脆弱性(KEV)は、アメリカのサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が公表しているリストです。このリストは、 実際に悪意のある攻撃者に利用されたことが確認された脆弱性 を集めたもので、既知の脆弱性データベースであるCVEの中から特に危険性の高いものが厳選されています。 KEVに掲載されている脆弱性は、 標的型攻撃からランサムウェア攻撃、そしてウェブサイトの改ざんなど、多岐にわたる攻撃 に悪用されています。攻撃者はこれらの脆弱性を悪用し、企業や組織のネットワークに侵入し、機密情報を盗み出したり、システムを破壊したりします。 CISAは、 KEVに掲載された脆弱性に対する対策を迅速に実施することを強く推奨 しています。具体的には、ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用、セキュリティ設定の見直しなどが挙げられます。 情報セキュリティは、 一人ひとりが意識し、適切な対策を講じること が重要です。KEVは、私達にサイバー攻撃の現状と対策の重要性を再認識させてくれます。日頃から情報収集を行い、最新の情報に基づいた対策を心がけましょう。
脆弱性

セキュリティ対策の基礎知識:CVSSで脆弱性のリスクを理解する

- はじめにと題して 昨今、情報漏洩やサイバー攻撃といった事件が後を絶ちません。企業が顧客の信頼を失墜させないため、また、社会全体が安全な情報環境を維持していくためにも、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。 情報セキュリティを脅かす要因は数多く存在しますが、中でも特に注意が必要なのが、システムやソフトウェアの脆弱性です。悪意のある攻撃者は、これらの脆弱性を突いて、機密情報への不正アクセスやシステムの破壊活動を行います。 膨大な数のシステムやアプリケーションが利用されている現代において、全ての脆弱性に対応することは現実的ではありません。そこで重要となるのが、それぞれの脆弱性の危険度を正しく把握し、優先順位をつけて対策を行うことです。 脆弱性の深刻度を評価するための指標として、広く利用されているのがCVSS(Common Vulnerability Scoring System)です。CVSSは、攻撃のしやすさや影響の大きさといった要素を数値化することで、客観的な指標に基づいた脆弱性の評価を可能にします。 次の章からは、このCVSSについて、具体的な内容を詳しく解説していきます。CVSSを正しく理解し、自社のシステムにとって本当に危険な脆弱性を見極める力を養いましょう。
セキュリティ強化

Web分離でセキュリティ強化:脅威から身を守る

- Web分離とはインターネットは情報収集やコミュニケーションの場として欠かせないものですが、一方で危険も潜んでいます。悪意のあるプログラムが仕込まれたサイトにアクセスしてしまうと、個人情報が盗まれたり、デバイスがウイルスに感染したりする可能性があります。このような危険から身を守るための技術の一つに「Web分離」があります。Web分離は、インターネット閲覧時に、実際にアクセスする端末と外部ネットワークの間に隔離された環境を設ける技術です。この隔離環境は、例えるならば、私たちの端末と危険な外部サイトとの間に設置された透明な壁のようなものです。私たちがWebサイトを閲覧する際、この透明な壁越しに情報を取得します。もし、アクセスしたサイトが悪意のあるプログラムを含んでいても、その影響は隔離環境内に限定され、私たちの端末や内部ネットワークに直接影響を与えることはありません。まるで、隔離された空間内で安全にWebサイトを閲覧しているようなイメージです。Web分離は、企業や組織のセキュリティ対策として注目されていますが、個人でも利用できるサービスも登場しています。インターネットを安全に利用するために、Web分離の仕組みを理解しておくことは重要です。
サイバー犯罪

Emotetを操る影:MummySpiderの脅威

- EmotetとはEmotetは、世界中で猛威を振るっている、悪意のあるソフトウェアです。 主な感染経路はメールで、添付ファイルを開いたり、本文中のURLをクリックしたりすることで、コンピュータに侵入します。 感染すると、そのコンピュータを不正に操作し、保存されている重要な情報(パスワードやクレジットカード情報など)を盗み取ったり、他の危険なソフトウェアをダウンロードしたりします。Emotetの恐ろしい点は、セキュリティ対策をかいくぐる高度な技術を持っていることです。 見た目を本物そっくりなメールに偽装したり、感染したコンピュータ内で巧妙に身を隠したりするため、発見が非常に困難です。 また、常に進化し続けているため、一度対策をしても、すぐに効果がなくなってしまうこともあります。Emotetによる被害は、企業や個人にとって非常に深刻です。 情報の漏洩は、金銭的な損失だけでなく、信頼の失墜にもつながります。 また、他の危険なソフトウェアのダウンロードは、さらなる被害の拡大を招く可能性があります。 Emotetから身を守るためには、不審なメールを開封しない、安易にURLをクリックしないなど、基本的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。
サイバー犯罪

見過ごせないタンパリングの脅威

- タンパリングとはタンパリングとは、簡単に言うと「不正な改ざん」のことです。許可なく、他人のデータやシステムを覗いたり、書き換えたり、本来とは異なる動作をするように仕向けたりする行為を指します。身近な例としては、ATMのカード挿入口に偽の装置を取り付けて、利用者のカード情報や暗証番号を盗み出す「スキミング」が挙げられます。また、インターネットショッピングなどで利用するウェブサイトを改ざんし、利用者の入力情報を盗み取ったり、偽のページに誘導したりするのもタンパリングの一種です。企業においては、ウェブサイトの改ざんの他に、重要な情報が保管されているデータベースに不正にアクセスし、情報を盗み見たり、書き換えたりする行為もタンパリングに当たります。このような行為は、企業の信頼を失墜させたり、金銭的な損失をもたらしたりする可能性があります。タンパリングは、決して許される行為ではありません。自分自身が加害者にならないよう、また被害者にならないよう、セキュリティ対策をしっかりと行うことが重要です。
サイバー犯罪

Webスパイダリング:ウェブサイトの情報を収集する技術とその脅威

- Webスパイダリングとは Webスパイダリングとは、まるで蜘蛛が巣を張るように、インターネット上のウェブサイトを自動的に巡回し、情報を収集する技術のことです。 検索エンジンは、この技術を使ってウェブサイトの情報を収集し、私たちがキーワードを入力すると関連性の高いページを検索結果に表示してくれます。Webスパイダリングは、このような便利なサービスを提供するために欠かせない技術となっています。 しかし、その一方で、Webスパイダリングは悪意のある攻撃者によって悪用される可能性も秘めています。 攻撃者は、Webスパイダリングを悪用し、ウェブサイトの脆弱性を発見しようと試みます。そして、発見した脆弱性を利用して、ウェブサイトを改ざんしたり、機密情報を盗み出したりするなどの攻撃を仕掛けてくることがあります。 Webスパイダリング自体は、情報を収集するだけの技術であり、必ずしも悪質なものではありません。しかし、その技術が悪用される可能性があることを理解し、セキュリティ対策を怠らないようにすることが重要です。
ネットワーク

無料Wi-Fiの罠!悪魔の双子攻撃にご用心

- 悪魔の双子攻撃とは? 悪魔の双子攻撃とは、まるで本物そっくりの偽の無線通信の拠点を作り、そこに接続してきた利用者の情報を盗み見する攻撃のことです。 喫茶店や宿泊施設、空港などでよく見かける無料の無線通信サービスを装って、利用者を騙そうとします。まるで双子の片割れのように、本物と見分けがつかないほど巧妙に偽装されているため、この名前が付けられました。近年、この攻撃による被害が急増しており、注意が必要です。 例えば、喫茶店で無料の無線通信サービスに接続しようとしたとします。その際、表示されるサービス名の中に、店の名前とよく似たものや、全く同じものが複数ある場合、それは悪魔の双子攻撃の可能性があります。偽の拠点に接続してしまうと、利用者がその拠点を通じて送受信するあらゆる情報、例えば個人情報やクレジットカード番号、パスワードなどが盗まれてしまう危険性があります。 この攻撃から身を守るためには、不審な無線通信サービスには接続しない、接続する際はサービスの提供元に確認する、接続中は重要な情報のやり取りを避ける、などの対策が有効です。 また、通信内容を暗号化する技術を使うことも有効な対策の一つです。 悪魔の双子攻撃は、巧妙化が進んでおり、見分けることが難しくなっています。しかし、正しい知識を身につけ、適切な対策を講じることで、被害を未然に防ぐことができます。
脆弱性

セキュリティ対策の基礎知識:CVEとは

情報技術が急速に発展する現代において、情報セキュリティは個人や組織にとって非常に重要な課題となっています。コンピューターシステムやソフトウェアは、私たちの生活に欠かせないものとなりましたが、同時に、悪意のある攻撃者にとっても格好の標的となっています。これらのシステムやソフトウェアの設計や実装における欠陥や弱点は、「脆弱性」と呼ばれ、サイバー攻撃の起点となる可能性があります。 脆弱性を放置すると、システムの停止、機密情報の漏えい、金銭的な損失など、深刻な被害が発生する可能性があります。そこで、世界中で共通に利用できる脆弱性情報のデータベース化が進められています。その代表的な取り組みの一つが、「共通脆弱性識別子(CVE)」です。CVEは、発見された脆弱性一つ一つに固有の識別番号を割り当て、世界中のセキュリティ専門家や開発者が共通して参照できるようにする仕組みです。 CVEを用いることで、脆弱性に関する情報の共有や対策がよりスムーズに行えるようになります。例えば、セキュリティ専門家はCVEを使って最新の脆弱性情報を迅速に把握し、組織のシステムに対する潜在的な脅威を評価することができます。また、ソフトウェア開発者は、CVEを参照することで、開発中のソフトウェアに同様の脆弱性が存在しないかを確認し、修正を施すことができます。このように、CVEは情報セキュリティの向上に大きく貢献する重要な取り組みと言えるでしょう。
セキュリティ強化

Moving Target Defenseでサイバー攻撃から防御しよう

- Moving Target Defenseとは Moving Target Defense(MTD)は、サイバー攻撃に対する新しい防御戦略です。従来のセキュリティ対策は、城壁を高くして敵の侵入を防ぐことに例えられますが、MTDは、守るべきシステムの姿を常に変化させることで、攻撃を困難にするという、より積極的なアプローチです。 サイバー攻撃が成功するには、攻撃者はまずシステムの弱点を探し出す必要があります。この弱点となる部分を「攻撃対象領域」と呼びますが、MTDはこの攻撃対象領域を常に移動させることで、攻撃者の狙いを定めにくくします。 例えるならば、MTDは遊園地の射的のようなものです。静止した標的を狙うのは簡単ですが、動き続ける標的を捉えるのは至難の業です。MTDは、システムやデータを絶えず移動させることで、攻撃者にとって捉えどころのない状態を作り出し、攻撃を未然に防ぐことを目指します。
その他

サイバー戦争のルールブック?タリン・マニュアル入門

- タリン・マニュアルとは -# タリン・マニュアルとは 「タリン・マニュアル」は、正式には「サイバー戦争に適用できる国際法についてのタリン・マニュアル」と呼ばれ、増加の一途をたどるサイバー空間での攻撃や紛争に対して、国際法をどのように適用していくべきかを研究し、その結果をまとめたものです。国際的な軍事同盟であるNATOの協力機関であるNATO CCDCOE(サイバー防衛協力センター)が中心となって作成し、2013年に初版が発行されました。その後、サイバー攻撃の高度化や国際情勢の変化を受けて、2017年には改訂版(2.0)が出版されています。 このマニュアルは、国家が関与するサイバー攻撃が発生した場合に適用される可能性のある国際法の原則について、具体的な事例を交えながら解説しています。特に、武力紛争法や国際人道法といった既存の国際法の枠組みをサイバー空間にどのように適用するか、という点に焦点を当てています。 しかし、タリン・マニュアルは国際条約のような法的拘束力を持つものではありません。あくまでも、専門家による解釈や分析をまとめたものであり、各国政府や国際機関がサイバーセキュリティ政策を策定する際の参考資料としての役割を担っています。とはいえ、サイバー空間における国際法の解釈に関する重要な論点を網羅しており、国際社会におけるサイバーセキュリティの法的枠組みの構築に向けて重要な一歩と言えるでしょう。
データ保護

意外と知らないCUI: あなたの情報資産を守るために

- CUIとはCUIとは、「管理された非機密情報」という意味で、アメリカ合衆国政府によって定められた情報区分のことを指します。機密情報のように厳重な管理は求められていませんが、漏洩した場合には国の安全や企業の利益、個人のプライバシー等に悪影響を及ぼす可能性がある情報です。私たちの身の回りにもCUIは存在しています。例えば、企業が保有する顧客情報や技術情報、金融機関が扱う口座情報、医療機関が管理する患者情報などが挙げられます。これらの情報は、機密情報と比べると公開されている範囲も広く、一見すると重要ではないように思えるかもしれません。しかし、これらの情報が悪用されると、企業活動の停滞や個人情報の漏洩、社会的な混乱を招く可能性があります。そのため、CUIは適切に管理し、漏洩や不正アクセスから守ることが重要です。具体的には、情報を扱う担当者への教育や、アクセス制限、暗号化などのセキュリティ対策を講じる必要があります。また、情報資産の重要度に応じて、適切な管理体制を構築することも大切です。CUIは、決して私たちにとって遠い存在ではありません。CUIへの理解を深め、適切な情報管理を心がけることが、安全な情報社会の実現につながると言えるでしょう。
サイバー犯罪

巧妙化する電話詐欺にご用心!:ヴィッシングから身を守る方法

- 巧妙化する詐欺の手口ヴィッシングとは?近年、詐欺の手口はますます巧妙化しており、その中でも「ヴィッシング」と呼ばれるものが横行しています。ヴィッシングとは、「音声(Voice)」と「フィッシング(Phishing)」を組み合わせた造語で、電話を使って個人情報や金融情報を盗み出す攻撃を指します。従来のフィッシング詐欺は、メールで偽のウェブサイトに誘導するものが主流でした。しかし、ヴィッシングでは、詐欺師が直接電話をかけてきます。巧みな話術で相手を信用させ、個人情報やクレジットカード番号などを聞き出そうとするため、従来のフィッシングよりもさらに注意が必要です。例えば、銀行員や警察官、大手企業の社員などを装い、「あなたの口座が不正利用されている可能性があります」「セキュリティ強化のため、お客様の情報を確認させてください」などと電話をかけてきます。そして、焦っている心理状態につけこみ、個人情報や金融情報を聞き出そうとします。ヴィッシングの被害に遭わないためには、不審な電話には出ない、安易に個人情報や金融情報を伝えないことが重要です。また、もし不審な電話に出てしまっても、相手が名乗る機関に自分から連絡を取り直すなどして、相手に言われるがまま情報提供しないようにしましょう。日頃からこのような詐欺の手口を知っておくことが、被害を防ぐための第一歩となります。
サイバー犯罪

進化するWebスキミングの脅威と対策

- Webスキミングとは Webスキミングとは、インターネット上でクレジットカード情報などを盗み取る攻撃手法の一つです。 ECサイトなど、個人情報やクレジットカード情報を取り扱うWebサイトに、攻撃者が不正なプログラムを埋め込みます。利用者がそのWebサイトで買い物をしようとすると、埋め込まれたプログラムが動作し、入力したクレジットカード番号や有効期限、セキュリティコードなどの情報をこっそりと盗み取ります。 まるで、本物のWebサイトに、情報を盗み取るための罠を仕掛けるようなものです。そのため、利用者はWebサイトを閲覧しているだけでは、情報が盗み取られていることに気づくことは非常に困難です。 Webスキミングは、従来のクレジットカードのスキミングと同様に、盗み取った情報を使って偽造カードを作成したり、ネット上で不正に商品を購入したりするために利用されます。 Webスキミングの被害に遭わないためには、怪しいWebサイトにアクセスしない、セキュリティソフトを導入する、最新の状態に保つなど、日頃からセキュリティ対策をしておくことが重要です。
サイバー犯罪

URLの偽物にご用心!タイポスクワッティングの脅威

- タイポスクワッティングとは タイポスクワッティングは、インターネット利用者がWebサイトにアクセスする際に起こる、うっかりミスにつけこむ攻撃手法です。 例えば、日頃利用しているショッピングサイト「example.com」のアドレスを打ち込む際に、キーボードの入力ミスで「exapmle.com」や「exampl.com」と入力してしまったとします。このような、ほんのわずかな綴りの違いを狙って、攻撃者は偽のウェブサイトを用意しています。そして、うっかりミスで偽サイトにアクセスした利用者が、本物と見分けがつかないほど精巧に作られた偽物のログイン画面に、IDやパスワードを入力してしまうかもしれません。さらに、クレジットカード情報など、重要な個人情報を入力してしまう可能性も秘めているのです。 タイポスクワッティングの怖いところは、偽サイトにアクセスしただけで、コンピュータウイルスに感染したり、フィッシング詐欺の被害に遭う危険性もあるという点です。身に覚えのないメールの添付ファイルを開いたり、怪しいサイトへのアクセスを控えるなど、日頃からセキュリティ対策を心がけることが重要です。
認証

ワンタイムパスワードでアカウントを守りましょう

インターネットの普及により、私たちの生活は大きく変化し、買い物や銀行取引など、様々なサービスをオンラインで利用することが当たり前になりました。 しかし、利便性が高まる一方で、不正アクセスのリスクも増加しているのが現状です。 特に、IDやパスワードなどの認証情報が盗み取られることによる不正ログイン被害は後を絶ちません。 あなたの大切な個人情報や資産を守るためには、パスワードの管理を徹底することはもちろんですが、それだけでは十分とは言えません。 不正ログイン対策として、まずパスワードは定期的に変更し、複数のサービスで同じパスワードを使い回すことは避けましょう。 また、最近では、二段階認証を導入しているサービスも増えています。 二段階認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに送信される認証コードなど、もう一つの要素を用いることで、セキュリティを強化する仕組みです。 設定が少し面倒に感じるかもしれませんが、不正アクセス防止に非常に効果的なので、積極的に活用することをお勧めします。 インターネットは、今や私たちの生活に欠かせないものです。 しかし、その利便性を享受する一方で、危険性も潜んでいることを意識し、常にセキュリティ対策を心がけることが重要です。
セキュリティ強化

CTEMで進化するセキュリティ体制:リスクの可視化と対策

- CTEMとはCTEM(Continuous Threat Exposure Management)は、「継続的脅威露出管理」と訳され、2022年にガートナーによって提唱された新たなセキュリティの考え方です。従来のセキュリティ対策は、すでに知られている脅威への対策に重点が置かれていました。しかし、サイバー攻撃の手口は日々進化しており、未知の脅威への対策が急務となっています。CTEMは、こうした背景から生まれました。CTEMは、組織が潜在的に抱えるリスクを継続的に把握し、管理することを目指しています。これは、既知の脅威だけでなく、未知の脅威も含んでいます。具体的には、攻撃者の視点に立って、組織のシステムやネットワークの脆弱性を洗い出し、攻撃を受ける前に対策を講じます。従来の対策では、攻撃を受けてから対応することが多かったため、被害を最小限に抑えることはできても、攻撃そのものを防ぐことは困難でした。しかし、CTEMは「攻撃に備える」という点で、従来の対策とは一線を画しています。CTEMは、今日のサイバー攻撃の高度化と巧妙化に対応するために生まれた、より包括的で継続的なセキュリティ対策のアプローチと言えるでしょう。
暗号通貨

プライバシー重視の仮想通貨Monero:そのリスクと対策

- 匿名性の高い仮想通貨Moneroとは Moneroは、インターネット上でやり取りできるデジタルな通貨の一種です。有名なビットコインと同じように、ブロックチェーンと呼ばれる技術が使われていますが、Moneroは特にプライバシー保護に重点を置いて設計されています。 ビットコインなど多くの仮想通貨では、誰が誰にいくら送金したのかという取引履歴が公開されています。しかし、Moneroは違います。Moneroでは、取引に関わる当事者だけでなく、金額や送金元・送金先の情報も特殊な技術で隠されているため、外部から追跡することが非常に困難です。 この高い匿名性ゆえに、Moneroは違法な活動にも利用される可能性があります。例えば、犯罪収益の隠蔽や、資金洗浄といった目的で悪用されることが懸念されています。