脆弱性

脆弱性管理の優先順位付けに!EPSSとは?

情報技術の進化は目覚ましく、私たちの生活は便利で豊かになりました。しかし、その裏側では、日々新たに発見されるソフトウェアやハードウェアの脆弱性という課題も増え続けています。セキュリティ対策の担当者であっても、膨大な数の脆弱性情報に対応することは容易ではありません。しかし、すべての脆弱性が実際に悪用されるわけではありません。そこで、脆弱性の脅威を客観的に評価する指標として登場したのがEPSSです。 EPSSは、アメリカ合衆国の非営利団体FIRSTが運営する脆弱性悪用スコアリング・システムです。EPSSは、公開された脆弱性情報に基づいて、実際に悪用される可能性を数値化し、0から10までのスコアで評価します。スコアが高いほど悪用される危険性も高くなるため、組織はEPSSのスコアを参考に、優先的に対処すべき脆弱性を迅速に見極めることができます。 EPSSは、脆弱性情報の技術的な詳細に加えて、悪意のある攻撃者がその脆弱性を利用する容易さや、攻撃が成功した場合の影響の大きさなども考慮してスコアを算出します。そのため、組織は限られた資源を有効活用し、より効率的かつ効果的なセキュリティ対策を実施することが可能になります。EPSSは、セキュリティ対策の担当者にとって心強い味方と言えるでしょう。
サイバー犯罪

パスワード使い回しは危険!:リスト型攻撃からアカウントを守る

インターネットの利用が進むにつれて、様々な場所で個人情報を使う機会が増えています。ウェブサイトやアプリを使う際に必要となるIDとパスワードを盗み取ろうとする不正アクセスも後を絶ちません。犯罪者はあの手この手でセキュリティの弱い部分を狙ってきます。巧妙化する不正アクセスの中でも、近年特に被害が増えているのが「パスワードリスト攻撃」です。 パスワードリスト攻撃とは、過去のデータ漏洩などで流出した大量のIDとパスワードの組み合わせリストを使って、様々なサービスに不正ログインを試みる攻撃です。多くの利用者は、複数のサービスで同じIDとパスワードを使い回しているケースが多く、攻撃者はそれを悪用します。一度情報漏洩が発生すると、その情報は闇市場に出回り、犯罪者の間で共有されてしまいます。そして、その情報を利用して、他のサービスでも不正アクセスを試みるのです。 この攻撃への対策として、重要なのは「パスワードを使い回さないこと」です。特に、金融機関やオンラインショッピングなど、重要な個人情報を取り扱うサービスでは、それぞれ異なるパスワードを設定することが重要です。また、パスワードは推測されにくい、複雑なものを設定する必要があります。定期的にパスワードを変更することも効果的です。 不正アクセスは、私たちがインターネットを利用する上で、常に隣り合わせにある脅威です。セキュリティ対策を怠らず、自身を守ることが重要です。
セキュリティ強化

企業を守るPaloAlto、多層防御で脅威を遮断

- パロアルトネットワークスとはパロアルトネットワークスは、世界中の企業や組織の情報を守る、アメリカに本社を置く会社です。インターネットが広く使われるようになり、様々な情報が行き交う現代において、情報を狙った攻撃も増加しています。パロアルトネットワークスは、このような攻撃から企業などを守る、いわば門番のような役割を担っています。特に優れている点は、従来型のファイアウォールでは防ぎきれなかった、巧妙なサイバー攻撃を阻止する技術です。従来のファイアウォールは、あらかじめ設定されたルールに基づいて、怪しい通信だけを遮断していました。しかし、最近の攻撃は非常に巧妙化しており、一見安全な通信に見せかけて侵入を試みるため、従来の方法では見分けることが難しくなっています。パロアルトネットワークスのファイアウォールは、通信の内容を深く分析することで、悪意のある通信だけを正確に見抜き、遮断することができます。これは、膨大な情報を元に攻撃のパターンを学習し、常に最新の情報に更新することで実現しています。このように、パロアルトネットワークスは高度な技術でサイバー攻撃から企業や組織を守り、安全な情報環境を提供しています。
セキュリティ強化

エンドポイント保護の基礎: EPPとは?

近年、企業が扱う情報は増加の一途を辿り、それに伴い情報漏えいなどの危機に遭う危険性が高まっています。顧客や企業の大切な情報は、社員が日々使用するパソコンやデータの保管場所であるサーバーなどの「端末」に保管されている場合が多く、これらの端末が攻撃の標的となるケースが増加しています。そのため、端末を適切に守ることは、企業にとって非常に重要となっています。 端末を狙った攻撃は、外部からの不正アクセスや、悪意のあるソフトウェアによる感染、紛失や盗難による情報持ち出しなど、様々な方法で行われます。例えば、メールの添付ファイルを装った悪意のあるプログラムを開いてしまうことで、端末がウイルスに感染し、情報が盗み取られる可能性があります。また、USBメモリなどの記憶媒体を介してウイルスが侵入するケースや、端末を紛失したり盗難されたりすることで情報が漏えいするケースも後を絶ちません。 このような危機から企業を守るためには、端末に対するセキュリティ対策を強固にする必要があります。具体的には、ウイルス対策ソフトの導入や最新の状態への更新、ファイアウォールの設定、アクセス権限の設定、パスワードの強化など、様々な対策を組み合わせることが重要です。また、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、不審なメールを開封しない、怪しいウェブサイトにアクセスしないなど、基本的なセキュリティ対策を徹底することも重要です。
データ保護

危険がいっぱい!廃棄で本当にデータは消える?

パソコンやスマートフォンを買い替える際、古い機器はどのように処分していますか?「もう使わないから」とそのまま捨ててしまうのは、大変危険な行為です。なぜなら、一見データが消えたように見えても、特殊な技術を使えば復元できてしまうからです。 私たちが普段何気なく行っている「ゴミ箱に入れる」という行為は、データ自体は削除されずに、ファイルが存在していた場所の情報が消去されるのみです。そのため、復元ソフトなどを用いることで、ゴミ箱から削除したはずのデータさえも復元されてしまう可能性があります。 このような不用意な廃棄は、個人情報や企業秘密の漏洩に繋がりかねません。例えば、クレジットカード情報や住所、氏名、写真などの個人情報が詰まったスマートフォンを、データ消去をせずに廃棄してしまうと、悪意のある第三者にこれらの情報が渡ってしまうリスクがあります。 不用意な廃棄による情報漏洩を防ぐためには、データ消去の専門業者に依頼するか、データ消去ソフトを用いて自分でデータを完全に消去する必要があります。データ消去ソフトは、データを上書きして復元できない状態にする機能を持つため、安心して機器を廃棄することができます。 データ消去は、個人情報や企業秘密を守る上で非常に重要です。安易な廃棄はせず、適切な方法でデータを消去してから、機器を処分しましょう。
サイバー犯罪

蔓延する不正アクセスを防ぐ!パスワードスプレー攻撃への対策とは

- 巧妙化する不正アクセス インターネットが生活の基盤となる現代において、不正アクセスは増加の一途をたどっています。もはや他人事ではなく、誰もが被害者になり得る時代とも言えるでしょう。 特に近年、その手口は巧妙化しており、従来のセキュリティ対策では太刀打ちできないケースも増えています。 数ある不正アクセスの中でも、特に注意が必要なのが「パスワードスプレー攻撃」です。 これは、標的となるシステムやサービスに対して、一般的に多く利用されているパスワードを、様々なユーザーアカウントに総当たり的に試行する攻撃手法です。 犯人は、事前に漏洩したパスワードリストなどを利用し、「password123」や「111111」といった、推測しやすいパスワードを次々と試していきます。 一見単純な方法に思えますが、膨大な数のアカウントに対して自動的に試行されるため、セキュリティ対策が不十分なシステムや、使い回されたパスワードを使用しているユーザーは、容易に不正アクセスを許してしまう可能性があります。 実際、この攻撃によって、多くの企業や組織が、情報漏洩や金銭的な被害を受けています。
セキュリティ強化

EUの守護神:ENISAが導くサイバーセキュリティ

近年、情報通信技術の進歩により、インターネットは私たちの生活に欠かせないものとなりました。しかし、その利便性が高まる一方で、悪意のある攻撃者による犯罪行為も増加しており、世界中で大きな問題となっています。個人情報の盗難や企業秘密の漏洩、重要なインフラシステムへの攻撃など、その被害は多岐に渡り、私たちの社会や経済に深刻な影響を及ぼしています。 このようなサイバー脅威の高まりを受け、欧州連合(EU)は加盟国全体でサイバーセキュリティの強化に取り組んでいます。EUは、サイバーセキュリティに関する共通の戦略を策定し、加盟国間での情報共有や協力体制の構築を進めています。具体的には、欧州サイバーセキュリティ機関(ENISA)を設置し、加盟国に対する技術的な支援や助言、サイバー攻撃に関する情報共有などを行っています。また、サイバーセキュリティに関する法整備も進めており、個人情報の保護やネットワーク・情報システムのセキュリティ対策の強化を義務付けています。 EUは、サイバーセキュリティ分野において世界をリードする存在を目指しており、国際的な協力関係の構築にも積極的に取り組んでいます。日本もEUとの連携を強化し、サイバー脅威に対抗していくことが重要です。
データ保護

デジタルデータの完全消去:破壊の重要性

- データ消去の最終手段現代社会において、情報は大変重要な資産であり、その中には企業秘密や個人情報など、外部に漏れてしまうと大きな損害に繋がるものも少なくありません。不要になったデータは適切に消去しなければなりませんが、デジタルデータは単純に削除しただけでは復元されてしまう可能性があり、完全に消去するには専門的な技術が必要です。そこで、情報の漏洩を確実に防ぐ最終手段として、「破壊」という方法があります。「破壊」によるデータ消去とは、ハードディスクやUSBメモリなどの記録媒体そのものを物理的に破壊し、データの復元を不可能にする方法です。具体的には、強力な磁力をかけてデータを読み取れなくする「磁気破壊」、記録媒体を高温で溶解する「熱破壊」、そして記録媒体を粉砕する「物理破壊」などがあります。これらの方法を用いることで、データの復元を企図する第三者から情報を確実に守ることができます。データ消去の方法は、扱うデータの機密性や重要度に応じて適切に選択する必要があります。例えば、一般的な書類データであれば、専用のソフトウェアを用いたデータ消去でも十分な場合が多いでしょう。しかし、企業秘密や個人情報など、特に機密性の高いデータの場合は、復元されるリスクを最小限に抑えるために、「破壊」によるデータ消去を行うことが推奨されます。情報漏洩は企業にとって大きな損失に繋がりかねません。そのためにも、不要になったデータの取り扱いには十分注意し、適切な方法で消去を行うことが重要です。
セキュリティ強化

進化するセキュリティ診断:PTaaSのススメ

- ペネトレーションテストの進化形、PTaaSとは?近年、企業にとって情報資産の保護は事業継続のために非常に重要となっています。そのため、システムのセキュリティ上の弱点を見つけ出し、事前に対策を講じるための取り組みがますます重要視されています。こうした状況下、従来のセキュリティ対策をさらに進化させた手法として注目を集めているのがペネトレーションテストです。これは、擬似的に悪意のある攻撃を仕掛けることで、システムの脆弱性を洗い出すというものです。ペネトレーションテストの中でも、特に注目されているのがPTaaS(Penetration Test as a Service)と呼ばれるサービスです。従来のペネトレーションテストは、セキュリティ専門の業者に依頼し、入念な計画と時間をかけて実施するのが一般的でした。そのため、費用や時間、専門知識の不足といった課題がありました。一方、PTaaSは、クラウドサービスとして提供されるため、従来の手法に比べて、迅速かつ柔軟に、必要な時に必要な期間だけ利用できるというメリットがあります。また、利用料金も従量課金制であることが多く、予算に合わせて利用しやすいという点も魅力です。PTaaSは、従来のペネトレーションテストと比較して、手軽に利用できるという点で画期的なサービスと言えます。企業はPTaaSを活用することで、より効率的かつ効果的にセキュリティ対策を進め、安全なシステム構築を実現できる可能性を秘めています。
セキュリティ強化

安全なパスワード管理:パスワードマネージャを使いこなす

- パスワードの重要性インターネットが生活に欠かせないものとなった現代において、パスワードは私たちの個人情報を守る上で非常に重要な役割を担っています。電子メールアカウント、ネットバンキング、オンラインショッピングサイトなど、様々なサービスを利用する際にパスワードが求められます。パスワードは、言わばデジタル世界の鍵のようなものです。この鍵がなければ、あなたのアカウントにアクセスしたり、個人情報を見たり、あなたのふりをして買い物をすることはできません。しかし、その一方で、この鍵をしっかり管理しなければ、悪意のある第三者に盗まれ、あなたの大切な情報が危険にさらされる可能性があります。多くのサービスで異なるパスワードを設定することが推奨されていますが、複雑なパスワードをいくつも覚え、管理するのは簡単なことではありません。そのため、同じパスワードを使い回したり、安易なパスワードを設定してしまう人が後を絶ちません。しかし、これは大変危険な行為です。もし、ひとつのサービスでパスワードが漏洩した場合、他のサービスでも不正アクセスされる危険性が高まります。安全なパスワードを作成し、適切に管理することは、インターネットを安全に利用するために必要不可欠です。複雑なパスワードを設定し、定期的に変更する、パスワード管理ソフトを利用するなど、セキュリティ対策をしっかりと行いましょう。
セキュリティ強化

見えない脅威から情報を守る!EMSECのススメ

- EMSECとはEMSECは、「放射保全」または「排出保全」を意味する Emission Security の略称です。 情報機器は、動作時に目に見えない電磁波を発生させているのですが、実はこの電磁波からも、重要な情報が漏れてしまう可能性があります。EMSECは、このような電磁波による意図しない情報漏えいを防ぐための対策を指します。パソコン、スマートフォン、サーバーなど、現代社会では様々な情報機器がネットワークに接続され、大量のデータが電磁波として飛び交っています。これらの電磁波は、悪意のある第三者によって特殊な装置を使って傍受され、分析されてしまうかもしれません。クレジットカード情報や企業秘密など、重要な情報が電磁波から読み取られ、漏えいしてしまう危険性も潜んでいるのです。EMSECは、このような見えない脅威から情報を守るための重要なセキュリティ対策です。情報漏えいのリスクを軽減するために、情報機器の設計段階から電磁波の発生を抑える対策を施したり、特殊なシールド材で機器を覆ったりするなど、様々な対策が存在します。目に見えない脅威だからこそ、日頃からEMSECへの意識を高め、適切な対策を講じることが重要です。
セキュリティ強化

能動的サイバー防御:進化するセキュリティ対策

- 能動的サイバー防御とは従来のサイバーセキュリティ対策は、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを導入することで、あたかも城壁を高くして外敵の侵入を防ぐことに重点が置かれていました。しかし、サイバー攻撃の手法は日々巧妙化しており、このような受動的な防御策だけでは限界を迎えていると言わざるを得ません。そこで近年注目されているのが「能動的サイバー防御」です。これは、従来の受動的な防御体制から脱却し、攻撃者を積極的に牽制し、無力化しようとする、より積極的なセキュリティ対策のことです。能動的サイバー防御は、ただ攻撃を待っているのではなく、攻撃者を積極的に監視し、怪しい動きをいち早く察知します。そして、攻撃の兆候を早期に発見し、場合によってはこちらから先制攻撃を仕掛けることによって、被害を最小限に抑え込もうという考え方です。能動的サイバー防御には、攻撃者の侵入経路を特定し、攻撃を阻止する「脅威インテリジェンス」、偽のシステムを構築して攻撃者を誘導し、行動を分析する「ハニーポット」、攻撃元を特定し、攻撃を遮断する「アクセス制御リスト」など、様々な技術や手法が存在します。能動的サイバー防御は、決して万能な対策ではありません。しかし、高度化・巧妙化するサイバー攻撃から重要な情報資産を守るためには、もはや従来の受動的な防御策と能動的な防御策を組み合わせた多層的なセキュリティ対策が不可欠と言えるでしょう。
脆弱性

Webサイトへの侵入経路、パストラバーサルにご用心

ウェブサイトやアプリケーションは、画像や文章、動画など様々なデータをファイルとして保存し、利用しています。これらのファイルの中には、公開を意図していない重要な情報を含むものも少なくありません。例えば、ウェブサイトの設計図にあたるソースコードや、データベースと呼ばれる重要な情報が集まっている場所への接続情報、システム全体の動作を決める設定ファイルなどが挙げられます。 もしも、悪意のある第三者がこれらのファイルにアクセスできてしまうと、情報漏洩や改ざんといった被害が生じる可能性があります。 ウェブサイトの情報が盗み見られるだけでなく、ウェブサイトの内容が書き換えられてしまったり、悪意のある第三者の指示に従うようにウェブサイトが改変されてしまう可能性もあります。さらに、これらの情報が悪用され、サイトの管理者になりすましてシステムを乗っ取られてしまうといった深刻な被害に繋がる可能性も考えられます。 このように、ファイルパス操作の脆弱性は、ウェブサイトやアプリケーションの安全性を脅かす大きなリスクとなります。誰でもアクセスできる場所に重要な情報を置かない、ファイルのアクセス権限を適切に設定するなど、ウェブサイトやアプリケーションの開発者は、ファイルパス操作の危険性を十分に理解し、適切な対策を講じる必要があります。
脆弱性

認証バイパス:セキュリティの落とし穴

- 認証バイパスとは認証バイパスとは、ウェブサイトやシステムにアクセスする際に、本来必要なログインやパスワード認証を不正に回避してしまう攻撃手法のことを指します。例えるなら、本来入るのに鍵が必要な部屋に、鍵を使わずに窓から侵入したり、壁に穴を開けて侵入してしまうようなものです。認証バイパスは、システムのセキュリティ対策の隙を突いて行われます。例えば、開発段階のコードに脆弱性が残っていたり、設定ミスがあった場合、攻撃者はその穴を突いてシステムに侵入を試みます。また、ウェブサイトの入力フォームに特殊なコードを注入することで、認証をすり抜けるケースもあります。認証バイパスが成功すると、攻撃者は正規のユーザーとしてシステムにアクセスできてしまうため、大変危険です。機密情報が盗み見られたり、システムが改ざんされたり、データが削除されるなど、企業にとって大きな損害に繋がる可能性があります。認証バイパスを防ぐためには、システムのセキュリティ対策を適切に実施することが重要です。特に、脆弱性診断や侵入テストなどを定期的に実施し、システムのセキュリティレベルを常に最新の状態に保つことが重要です。
ハードウェア

見えない脅威:電磁的故障注入攻撃から身を守る

- 電磁的故障注入攻撃とは電磁的故障注入攻撃(EMFI攻撃)は、近年、セキュリティ関係者の間で懸念が高まっている、巧妙なサイバー攻撃手法の一つです。普段聞き慣れない言葉ではありますが、その仕組み自体は、私たちが日常生活で何気なく利用している電磁気の力を利用したものです。攻撃者は、スマートフォンやパソコン、あるいはICカードリーダーなど、電子機器を標的に定め、外部から強力な電磁パルスを照射します。電磁パルスは、電磁波が非常に短い時間に強力なエネルギーを持つ現象です。この電磁パルスを浴びた電子機器は、内部に瞬間的に異常な電流が発生してしまいます。その結果、機器に様々な影響を与え、例えば、本来とは異なる誤った動作を引き起こしたり、保存されている重要な情報を読み取られたりする可能性があります。EMFI攻撃の恐ろしい点は、その痕跡をほとんど残さずに攻撃できる点にあります。物理的に機器を分解したり、ソフトウェアに不正なプログラムを仕込んだりする必要がないため、従来のセキュリティ対策では検知が難しいとされています。EMFI攻撃から身を守るためには、電磁波を遮断する特殊な素材で機器を保護したり、電磁パルスを検知して機器の動作を停止させるセンサーを導入するなどの対策が考えられます。しかし、これらの対策は高価であることが多く、全ての機器に導入することは現実的ではありません。そのため、EMFI攻撃に対する根本的な対策は、社会全体でセキュリティ意識を高め、攻撃の手口や対策に関する情報を共有していくことが重要です。
ネットワーク

Wi-Fiの安全性を高めるPSK:その重要性と設定

「事前共有鍵」という意味のPSKは、Wi-Fiネットワークにおいて、セキュリティを確保するための重要な役割を担っています。私たちが日常的に利用するWi-Fiルーターやアクセスポイントには、第三者からの不正アクセスを防ぎ、安全な通信を実現するために、セキュリティ設定が施されています。PSKはこのセキュリティ設定において、情報を暗号化して送受信する際に必要となる鍵を作り出す役割を担っています。 PSKを家の鍵に例えてみましょう。PSKは、複雑で解読困難な家の鍵を作るための特別な「型」のようなものです。この「型」を用いることで、非常に複雑な鍵を作ることができ、家の中への侵入を防ぐことができます。 このように、PSKを用いることで、Wi-Fiで送受信されるデータは暗号化され、第三者による盗聴や改ざんから保護されます。PSKは、私たちの大切な情報を守る上で、非常に重要な役割を果たしているのです。
認証

認証サーバ:セキュリティの要

- 認証サーバとは インターネット上のサービスを使う時、私たちは必ず「ログイン」を行いますね。このログインを安全に行うために重要な役割を担うのが「認証サーバ」です。認証サーバは、ウェブサイトやアプリにアクセスしようとする人が、本当にその人本人かどうかを確認する、いわばデジタル世界の門番のような存在です。 例えば、会員制のスポーツクラブを想像してみてください。会員だけが利用できるこのクラブに入るには、入り口で会員証を提示して、係員に本人確認をしてもらいますよね。認証サーバは、まさにこの入り口の係員と同じ役割を担っています。会員証に相当するのが「ID・パスワード」で、スポーツクラブの会員データベースに相当するのが「認証サーバ」です。 私たちがID・パスワードを入力してログインボタンを押すと、その情報は認証サーバに送られます。認証サーバは、受け取った情報が正しいかどうかを、あらかじめ登録されている情報と照らし合わせて確認します。そして、情報が正しければ、初めてサービスへのアクセスが許可されるのです。 このように、認証サーバは、インターネットバンキングやオンラインショッピング、会社のネットワークなど、さまざまなサービスにおいて、不正アクセスから貴重な情報やシステムを守るために、必要不可欠な役割を担っているのです。
セキュリティ強化

製品セキュリティ対策の要!PSIRTとは?

- 製品セキュリティの重要性現代社会において、企業が提供する製品やサービスにおける安全性の確保は、企業に対する信頼性を左右する極めて重要な要素となっています。これは、顧客との間に築かれた信頼関係が、製品やサービスの品質だけでなく、その安全性が保証されているという認識の上に成り立っているためです。もしも、ソフトウェアに脆弱性やセキュリティ上の欠陥が見つかり、顧客情報が漏洩したり、サービスが停止するような事態が発生すれば、企業は顧客からの信頼を失い、その評判に大きな傷がつくことになります。さらに、経済的な損失も甚大になる可能性があります。企業は、このような事態を避けるために、製品開発の初期段階からセキュリティを考慮した設計や開発を行う必要があります。具体的には、セキュリティの専門家を開発チームに参画させたり、セキュリティに関する教育を開発者に実施したりする必要があります。また、開発プロセスにおいても、セキュリティテストを定期的に実施し、脆弱性や欠陥を早期に発見して修正することが重要です。製品やサービスをリリースした後も、セキュリティ対策を継続的に実施していく必要があります。なぜなら、技術の進歩や攻撃手法の巧妙化に伴い、新たな脆弱性が発見される可能性があるからです。企業は、セキュリティに関する最新の情報や技術を常に収集し、製品やサービスに適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。そして、顧客に対しては、製品やサービスを安全に利用するための情報提供を積極的に行うことが大切です。製品セキュリティへの取り組みは、企業にとって単なるコストではなく、顧客からの信頼を獲得し、持続的な成長を実現するための投資と言えるでしょう。
認証

セキュリティの基礎: 認証を理解する

- 認証とは認証とは、あなたが誰であるかをシステムに証明するプロセスです。例えば、銀行のATMで現金を引き出す際に、キャッシュカードと暗証番号を入力しますよね。これは、銀行のシステムに対して、あなたが正当な口座の持ち主であることを証明するための手続きです。デジタルの世界でも、全く同じように本人確認が必要です。ウェブサイトやアプリにログインする際に入力するユーザー名とパスワードも、認証の一種です。あなたが利用しようとしているサービスにアクセスする権限を持っていることを証明するために、ユーザー名とパスワードという組み合わせを用いて、システムはあなたというユーザーが本人かどうかを判断します。認証は、あなたの情報やアカウントを不正アクセスから守る上で非常に重要な役割を果たします。もし認証システムが存在しなければ、誰でも簡単に他人のアカウントにアクセスできてしまい、情報漏洩や金銭的な被害に繋がってしまう可能性があります。認証を正しく理解し、適切なセキュリティ対策を実施することで、安全なデジタルライフを送ることができます。
データ保護

迫りくる量子コンピュータ時代への備え:PQCとは?

- 量子コンピュータの脅威近年、従来のコンピュータとは比べ物にならない処理能力を持つ量子コンピュータの研究開発が急速に進んでいます。量子コンピュータは、医療や材料科学、人工知能など様々な分野に革命をもたらす可能性を秘めていますが、同時にセキュリティ面における大きな脅威も孕んでいます。現在、インターネットバンキングやオンラインショッピングなど、私達が日常的に利用するサービスの多くは、暗号技術によって守られています。この暗号技術は、従来のコンピュータでは解読することが非常に困難な複雑な計算に基づいて成り立っています。しかしながら、量子コンピュータは、その圧倒的な計算能力によって、従来のコンピュータでは解読不可能とされていたこれらの暗号を短時間で解読してしまう可能性があります。もしも、量子コンピュータが悪意のある人物に利用されれば、個人情報や企業秘密、政府の機密情報などが容易に盗み見られ、社会全体に計り知れない損害をもたらす可能性があります。量子コンピュータの脅威は、決して遠い未来の話ではありません。私達は、量子コンピュータ時代を見据え、より強力な暗号技術の開発や、既存のシステムの量子コンピュータへの耐性を高める対策を早急に講じる必要があります。
認証

二段階認証でアカウントを守る

二段階認証とは 二段階認証とは 二段階認証は、アカウントへの不正アクセスを防ぐための、より強力なセキュリティ対策です。普段私たちがインターネット上のサービスを利用する際、アカウントにログインするためにIDとパスワードを入力します。しかし、パスワードは漏洩してしまうリスクが常に付きまといます。例えば、悪意のある第三者に盗み見られたり、フィッシング詐欺によって騙し取られたりする可能性があります。 このような事態からアカウントを守るために有効なのが二段階認証です。二段階認証では、IDとパスワードに加えて、もう一つの要素を用いることで、本人かどうかを厳密に確認します。たとえパスワードが漏洩してしまった場合でも、この追加の認証要素がなければアカウントにログインすることができません。 この追加の認証要素には、主に以下の3つの種類があります。 1. 知識要素 これは、パスワードとは別に、自分だけが知っている情報のことです。例えば、子供の頃に住んでいた町の名前や、好きな本のタイトルなどを設定することができます。 2. 所持要素 これは、自分だけが持っている物理的なもののことです。スマートフォンに送信されるワンタイムパスワードや、専用の端末に表示される認証コードなどが該当します。 3. 生体要素 これは、指紋や顔、虹彩など、身体的な特徴を利用した認証方法です。近年では、スマートフォンのロック解除などにも広く利用されています。 二段階認証は、少しの手間を加えるだけで、アカウントのセキュリティを大幅に向上させることができます。ぜひこの機会に、重要なアカウントで二段階認証を有効化しましょう。
脆弱性

危険な抜け道「パス・トラバーサル」にご用心

- ファイルやフォルダへのアクセス制限 ウェブサイトやアプリケーションは、私たちに便利な機能や情報を提供するために、舞台裏で様々なファイルやフォルダを利用しています。これらのファイルやフォルダの中には、ユーザーが自由にアクセスできるものだけでなく、重要な情報を含むためアクセスが制限されているものも存在します。 例えば、ウェブサイトにログインする際に利用するIDやパスワード、個人情報、クレジットカード情報などは、悪意のある第三者に盗み見られたり、改ざんされたりしては大変なことです。また、システムの設定ファイルやプログラムのソースコードなども、不正にアクセスされればウェブサイト全体が停止したり、悪用されたりする危険性があります。 このような事態を防ぐために、重要なファイルやフォルダには厳重なアクセス制限がかけられています。アクセス制限とは、特定のユーザーやグループに対してのみ、ファイルやフォルダへのアクセスを許可する仕組みです。 例えば、システム管理者だけにシステム設定ファイルへのアクセスを許可したり、個人情報を含むファイルには、その情報を利用する必要のある担当者だけにアクセスを許可したりします。このように、ファイルやフォルダへのアクセスを適切に制限することで、重要な情報を守るだけでなく、ウェブサイトやアプリケーション全体の安全性と信頼性を高めることができます。
データ保護

重要なファイルはEFSで保護しよう!

今日の社会において、情報は企業の競争力を左右する重要な資産であり、個人のプライバシーを守る上でも非常に大切です。しかし、便利なデジタル機器が広く普及する一方で、情報漏洩のリスクは日に日に高まっています。悪意のある第三者によって重要な情報が盗まれたり、意図せず情報が流出してしまったりする事件が後を絶ちません。このような状況下では、情報資産を適切に保護することがこれまで以上に重要になっています。 情報漏洩による被害は、企業にとっては金銭的な損失だけでなく、顧客からの信頼を失墜させることにも繋がります。また、個人にとっても、プライバシーの侵害や金銭的な被害を受ける可能性があります。情報漏洩は、一度発生してしまうと、その影響を完全に回復することが難しい深刻な問題です。 そのため、企業と個人の両方が情報セキュリティに対する意識を高め、適切な対策を講じることが重要です。具体的には、強力なパスワードを設定することや、ソフトウェアを常に最新の状態に保つこと、不審なメールやウェブサイトにアクセスしないことなど、基本的なセキュリティ対策を徹底する必要があります。また、情報漏洩が発生した場合に備え、被害を最小限に抑えるための体制を構築しておくことも重要です。
セキュリティ強化

セキュリティの壁「PPL」:その役割とリスク

- Windowsの守護者、PPLとは? パソコンを使う上で、ウイルスや不正なプログラムからパソコンを守ることはとても重要です。Windowsには、そのような脅威からパソコンを守るための様々な機能が備わっていますが、その中でも「PPL(Protected Process Light)」は、Windows 8.1以降で導入された、システムの中核部分を保護するための重要な仕組みです。 PPLは、例えるなら、重要な施設を守るための厳重な門番のようなものです。パソコンの中枢部分である「カーネル」へアクセスしようとするプログラムに対し、厳しいチェックを行います。アクセスを許可するのは、マイクロソフトなど、信頼できる発行元がデジタル署名したプログラムだけ。もし、悪意のあるプログラムが、カーネルを乗っ取ろうとしても、PPLがそれを阻止し、システム全体への影響を防ぎます。 このように、PPLは、悪意のあるプログラムからシステムを守るための、強力な防御壁として機能しています。PPLによって、より安全に、安心してパソコンを使うことができるようになっています。