プライバシーファーストな設計のススメ
- プライバシー・バイ・デザインとは
近年、個人情報保護の重要性が高まる中、「プライバシー・バイ・デザイン(PbD)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、新しいシステムやサービスを開発する際に、後からプライバシー対策を付け加えるのではなく、設計の初期段階からプライバシー保護を考慮して組み込むという考え方です。
この概念は、1990年代にカナダのアン・カブキアン氏によって提唱されました。当時はまだ個人情報保護の意識が今ほど高くありませんでしたが、情報技術の進化を見据え、プライバシーをシステム設計の根幹に据えることの重要性を説いたのです。そして、近年、あらゆるものがインターネットに接続される時代になり、膨大な個人データが日々やり取りされるようになったことで、PbDは再び注目を集めています。
従来型の、開発の後になってからプライバシー対策を施す方法では、どうしても後付け感が否めず、十分な保護ができない可能性があります。また、使い勝手の悪さや機能の制限につながることもあります。しかし、PbDのアプローチであれば、プライバシー保護と利便性の両立を目指せるだけでなく、利用者からの信頼獲得にも繋がります。個人情報の取り扱いに対する意識が高まっている現代において、PbDはシステム開発者やサービス提供者にとって、もはや無視できない必須の考え方と言えるでしょう。