悪質なデザインにご用心!~ダークパターンとその対策~
セキュリティを知りたい
先生、「だますような見た目」っていう言葉を見たんだけど、セキュリティと何か関係があるんですか?
セキュリティ研究家
それはもしかしたら「ダークパターン」のことかな? うん、セキュリティと大いに関係があるよ。ダークパターンは、利用者をだまして、本来はしたくないことをさせてしまうようなWebサイトやアプリの作りのことを言うんだ。
セキュリティを知りたい
例えばどんなものがあるんですか?
セキュリティ研究家
例えば、すごく解約しにくいようにボタンを小さく隠していたり、無料体験のつもりが知らない間に有料会員になっていたり、必要のないオプションにいつの間にかチェックが入っていたり… こういったものに気付かずに操作してしまうと、思わぬ損害を受けてしまう可能性もあるんだよ。
ダークパターンとは。
安全性を高めるために、「だまし討ち」の手口を知っておきましょう。「だまし討ち」とは、利用者をだまして、思い通りに操作させるために作られた画面設計のことです。この言葉は、ハリー・ブリグナルさんという画面設計の専門家が生み出しました。例えば、インターネットのサイトやアプリで、知らない間に商品を買わせたり、リンクを押させたりするような、わかりにくい画面は「だまし討ち」に当てはまります。具体的には、「契約をやめる」ボタンをとても小さく目立たなくしたり、会員登録の際にわかりにくい説明で有料サービスに加入させたり、契約をやめるときにいくつもの手続きを踏ませて考え直させようとしたりすることが挙げられます。こうした「だまし討ち」は、よくある営利サービスでよく見られますが、詐欺やネット上の攻撃に悪用される場合もあります。悪質な「だまし討ち」は、国の規制対象となっており、2022年12月には、インターネット上の対戦ゲーム「フォートナイト」を運営する会社が、アイテム購入を促す悪質な「だまし討ち」を導入していたとして、アメリカの公正取引委員会から5億2千万ドルの罰金を科されています。
巧妙な罠
インターネットは大変便利な反面、使い方によっては危険を伴うということを忘れてはいけません。ウェブサイトやアプリを利用する際、私達は知らず知らずのうちに誰かに操られている可能性すらあります。その代表的なものが「ダークパターン」と呼ばれる仕組みです。
ダークパターンとは、利用者を騙す目的でわざと作られたデザインのことを指します。例えば、有料サービスの無料体験に申し込んだ後、無料期間が終了すると自動的に有料会員に移行してしまうといった経験はありませんか?
また、インターネットショッピングの際に、気がつかないうちに不要なオプションがカートに入っていたり、解約手続きが複雑で分かりにくく設定されていたりすることもあります。
ダークパターンは、一見すると利用者に便利な機能のように思える場合もありますが、実際には企業側の利益を最優先に考えて作られたものがほとんどです。
このような巧妙な罠に引っかからないためには、普段からウェブサイトやアプリの利用規約をよく読み、注意深く操作することが重要です。怪しいと感じたら、すぐに利用を中止することも検討しましょう。
ダークパターンの例 | 解説 | 対策 |
---|---|---|
無料体験後の自動有料会員化 | 無料体験期間終了後、自動的に有料会員に移行する仕組み。 利用者は無料体験のつもりで利用しているため、意図せず有料会員になってしまう。 |
ウェブサイトやアプリの利用規約をよく読む。 注意深く操作する。 怪しいと感じたら利用を中止する。 |
不要なオプションの追加 | インターネットショッピングの際、気がつかないうちに不要なオプションがカートに追加されている。 | |
複雑な解約手続き | 解約手続きが複雑で分かりにくく設定されており、解約を諦めさせることを狙っている。 |
具体例
– 具体例巧妙に仕組まれた罠私たちの日常生活には、気付きにくい形で巧妙に仕組まれた罠が存在します。これは、インターネットの世界でも例外ではありません。例えば、インターネット通販で買い物をしている際に、「おすすめ商品」や「関連商品」として、実際には必要のない商品が表示されることがあります。魅力的な写真や割引表示につられて、ついついクリックしてしまうこともあるかもしれません。しかし、これは本当にお得なのでしょうか?冷静に考えてみることが重要です。また、無料体験に申し込んだはいいものの、解約方法が複雑で分かりにくいという経験をしたことはありませんか?画面遷移を複雑にしたり、分かりにくい場所に解約ボタンを配置したりすることで、利用者を混乱させ、解約を諦めさせようとするのです。さらに、SNSの利用規約の中には、個人情報の利用範囲が非常に広く設定されており、知らず知らずのうちに自身の情報が企業に利用されている可能性もあります。退会手続きも複雑で分かりにくく設定されているケースが多く、簡単に退会できないようになっている場合も見られます。このように、私たちの身の回りには、一見すると便利で魅力的に見えるサービスの裏に、巧妙な罠が潜んでいることがあります。そのため、安易に情報やサービスを受け入れるのではなく、常に「本当に必要なのか?」「安全なのか?」と疑いの目を持ち、自身の行動を振り返ることが大切です。
例 | 罠の内容 | 対策 |
---|---|---|
インターネット通販 | 「おすすめ商品」や「関連商品」表示による不要な購買意欲の促進 | 本当に必要か冷静に考える |
無料体験サービス | 解約方法の複雑化、分かりにくさ | 事前に解約方法を確認しておく |
SNS | 利用規約における個人情報の利用範囲の広さ、退会手続きの複雑化 | 利用規約をよく読み、個人情報の取り扱いを確認、退会方法も事前に確認 |
悪用される危険性
– 悪用される危険性
悪意のある者が利益を得るために巧妙に仕組まれたダークパターンは、企業が利益を追求する目的だけに利用されているわけではありません。詐欺やサイバー攻撃の道具として悪用されるケースも後を絶ちません。
例えば、本物と見分けがつかないほど精巧に作られた偽のログイン画面を表示し、ユーザーのIDやパスワードを盗み取ろうとする手口が横行しています。また、コンピューターウイルスへの感染を警告する偽のメッセージを表示し、不安を煽ることで、ユーザーにセキュリティ対策ソフトと偽った有害なソフトウェアをインストールさせるといった悪質な事例も報告されています。
こうした巧妙なダークパターンに騙されないためには、日頃から情報収集を行い、セキュリティ意識を高めておくことが重要です。怪しいと感じたら、安易に個人情報を入力したり、画面の指示に従ってボタンをクリックしたりせず、まずは落ち着いて状況を判断することが重要です。万が一、被害に遭ってしまった場合は、速やかに警察や関係機関に相談しましょう。
ダークパターンの例 | 悪用の目的 | 対策 |
---|---|---|
偽のログイン画面 | ID・パスワードの盗取 | 安易に個人情報を入力しない 落ち着いて状況を判断する 被害に遭ったら警察や関係機関に相談する |
ウイルス感染を警告する偽メッセージ | 偽のセキュリティ対策ソフトのインストール 有害なソフトウェアのインストール |
安易に画面の指示に従ってボタンをクリックしない 落ち着いて状況を判断する 被害に遭ったら警察や関係機関に相談する |
規制と対策
– 規制と対策
近年、インターネットの普及に伴い、ウェブサイトやアプリにおいて、利用者を意図的に誘導し、不利益を与える「ダークパターン」と呼ばれる手法が増加しています。 こうした悪質なダークパターンに対して、世界各国で規制の動きが強まっていることはご存知でしょうか。
日本では、消費者庁が「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」に基づき、ダークパターンを用いた行為を取り締まっています。
具体的には、利用規約を分かりやすく表示することや、退会手続きを容易にすることなどが求められています。
また、欧米でも同様の規制が導入されており、悪質なダークパターンを用いた企業に対しては、巨額の罰金が科されるケースも出てきています。
こうした規制強化は、私たち消費者にとって朗報です。しかし、規制や法制度だけに頼るのではなく、私たち自身もダークパターンを見抜く力を養うことが重要です。
そのためにも、日頃から消費者庁などの公的機関が発信する情報に目を向け、ダークパターンに関する知識を深めておくように心がけましょう。
テーマ | 内容 |
---|---|
ダークパターン増加の背景 | インターネットの普及に伴い、ウェブサイトやアプリにおいて、利用者を意図的に誘導し、不利益を与える「ダークパターン」と呼ばれる手法が増加 |
規制の動き | 世界各国でダークパターンに対する規制の動きが強まっている 例:日本では消費者庁が「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」に基づき、ダークパターンを用いた行為を取り締まり |
具体的な規制内容 | 利用規約を分かりやすく表示することや、退会手続きを容易にすることなどが求められている |
規制の効果 | 悪質なダークパターンを用いた企業に対して、巨額の罰金が科されるケースも出てきている |
消費者の対応 | 規制や法制度だけに頼るのではなく、私たち自身もダークパターンを見抜く力を養うことが重要 日頃から消費者庁などの公的機関が発信する情報に目を向け、ダークパターンに関する知識を深める |
自己防衛の重要性
インターネットは私たちの生活を便利で豊かなものにしてくれる一方で、目に見えない危険も潜んでいます。その危険の一つに、「ダークパターン」と呼ばれる巧妙な罠があります。これは、利用者の心理を突き、意図しない行動を誘導するようなwebサイトやアプリのデザインを指します。例えば、無料体験に申し込んだら、知らない間に有料会員になっていたり、お得なクーポンにつられて不要な商品を購入してしまったりするケースが挙げられます。
このような巧妙な罠から身を守るためには、私たち自身の意識改革が何よりも重要になります。「無料」や「お得」といった言葉に安易に飛びつくのではなく、利用規約やサービス内容をしっかりと確認する習慣をつけましょう。また、少しでも怪しいと感じたら、利用を中止することも大切です。一人で悩まず、家族や友人に相談したり、消費者センターなどの信頼できる機関に連絡して助言を求めましょう。
インターネットは使い方次第で、私たちにとって有益な道具にも危険な凶器にもなり得ます。日頃から情報セキュリティに対する意識を高め、ダークパターンへの理解を深めることで、安全で快適なインターネットライフを送りましょう。
ダークパターンの例 | 対策 |
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無料体験に申し込んだら、知らない間に有料会員になってしまった |
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お得なクーポンにつられて不要な商品を購入してしまった |
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