サイバー空間作戦ドクトリン:米国の戦略を読み解く
- サイバー空間作戦ドクトリンとは
サイバー空間作戦ドクトリン(Joint Publication 3-12 Cyberspace Operations)は、アメリカ合衆国が、拡大し続けるサイバー空間という場において、どのように作戦を理解し実行していくかを定めた重要な指針です。これは、国防総省統合参謀本部によって作成され、米軍全体がサイバー空間で行動する際の基本的な考え方や原則を示しています。
このドクトリンの重要な点は、サイバー空間を陸、海、空、宇宙に続く新たな作戦領域として明確に定義していることです。 これは、サイバー空間が単なる情報通信の場ではなく、国家安全保障上、他の領域と同様に重要な戦略的空間であるという認識を示しています。
従来の物理的な戦場とは異なり、サイバー空間は目に見えず、国境もありません。そのため、攻撃の発生源や攻撃者の特定が難しく、防御が非常に困難です。また、攻撃の影響範囲も広範囲に及び、経済活動や社会インフラ、さらには国家安全保障にまで深刻な被害をもたらす可能性があります。
サイバー空間作戦ドクトリンは、このようなサイバー空間の特性を踏まえ、効果的な作戦の実施方法や、他国との連携、国際法の遵守など、多岐にわたる内容を規定しています。これは、アメリカが将来のサイバー空間における優位性を確保し、自国の安全と利益を守るための重要な戦略的文書と言えるでしょう。