サプライチェーン

コンプライアンス

米国防総省のサイバーセキュリティ基準CMMCとは

- CMMCの概要近年、悪意のある攻撃による脅威は世界中で増加の一途をたどっており、特に重要な情報を取り扱う組織にとって、その対策は喫緊の課題となっています。アメリカ国防総省(DoD)は、このような状況に対処するため、サプライチェーン全体で機密情報の保護を強化する目的で、CMMC(Cybersecurity Maturity Model Certificationサイバーセキュリティ成熟度モデル認証)を導入しました。 CMMCは、従来からあるNIST SP800-171を基盤としていますが、より実践的な側面と段階的なアプローチを重視している点が特徴です。防衛産業基盤企業(DIB)は、そのサプライチェーンにおいて機密性の高い情報を取り扱うため、CMMCへの準拠が必須となっています。これは、DoDとの契約を維持するためだけでなく、サプライチェーンにおけるセキュリティレベルを向上させ、企業の信頼を高めるためにも重要です。 CMMCは、組織の規模や取り扱う情報の機密性に応じて、レベル1からレベル5までの5段階に分かれています。レベルが上がるにつれて、より高度なセキュリティ対策が求められます。各レベルには、アクセス制御、リスク管理、インシデント対応など、17のセキュリティ領域と、それらを具体的に実現するための171のセキュリティ対策が定められています。 CMMCへの準拠は、企業にとって負担が大きいと感じる場合もあるかもしれません。しかし、CMMCへの取り組みは、単なる認証取得ではなく、組織全体のセキュリティ体制を強化し、企業価値を高めるための投資と捉えるべきです。政府や業界団体が提供する支援制度も活用しながら、段階的にCMMCへの対応を進めていくことが重要です。
セキュリティ強化

企業を守る!サプライチェーンセキュリティ強化のススメ

- サプライチェーンとは何か「サプライチェーン」とは、製品やサービスが顧客の手に届くまでの一連の流れ全体を指す言葉です。原材料の調達から始まり、製品のデザインや開発、製造、物流、そして最終的な販売に至るまで、実に多くの工程と企業が複雑に関わっています。例えば、私達が普段何気なく使っているスマートフォンを例に考えてみましょう。スマートフォンの製造には、世界中の様々な地域から部品や原材料が調達されています。ディスプレイ用のガラス、バッテリー用のリチウム、回路基板用の金属など、その種類は多岐に渡ります。これらの部品や原材料は、それぞれ専門の企業によって採掘・精製され、加工されてスマートフォン工場へと輸送されます。工場では、これらの部品を組み立て、検査を行い、製品として完成させます。完成したスマートフォンは、今度は物流会社によって倉庫へと運ばれ、最終的に販売店に届けられ、私達の手に渡るのです。このように、一つの製品が消費者に届くまでには、多くの企業や工程が密接に連携しています。そして近年では、このサプライチェーン全体を一つのシステムとして捉え、効率化や最適化を図る「サプライチェーンマネジメント」が注目されています。これは、コスト削減や納期の短縮だけでなく、品質向上やリスク管理など、企業の競争力を高める上で非常に重要な要素となっています。
セキュリティ強化

安全なソフトウェア利用のために!SCAのススメ

- ソフトウェア・コンポジション分析とは 今日のソフトウェア開発において、開発期間の短縮や作業効率の向上は重要な課題です。その解決策の一つとして、世界中の開発者によって作成され、無償で公開されているソフトウェア部品を活用するケースが増えています。このような誰もが利用できるソフトウェア部品はオープンソースソフトウェアと呼ばれ、近年多くのソフトウェア開発現場で積極的に採用されています。 しかし、オープンソースソフトウェアの利用は利便性を高める一方で、セキュリティ上のリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。悪意のある者が作成したソフトウェア部品や、脆弱性を修正しないまま放置されたソフトウェア部品を組み込んでしまうと、思わぬセキュリティ事故に繋がってしまう可能性があります。 そこで重要となるのがソフトウェア・コンポジション分析(SCA)です。SCAとは、開発中のソフトウェアの中に、どのようなオープンソースソフトウェアが使われているのかを洗い出し、それぞれのソフトウェア部品について詳細な情報を収集し分析する作業を指します。具体的には、ソフトウェア部品の名前やバージョン、開発者、ライセンス情報、既知の脆弱性の有無などを調査します。 SCAを実施することで、開発者は自社製品に潜むセキュリティリスクを早期に発見し、対策を講じることができます。ソフトウェアの安全性を確保するためにも、SCAは非常に重要なプロセスと言えるでしょう。
IoT

世界最大の監視カメラメーカーHikvisionのリスク

- Hikvisionとは Hikvision(ハイクビジョン)は、中国の杭州に本社を置く、世界最大の監視カメラメーカーです。正式名称は杭州海康威視数字技術といい、親会社は中国政府が株式の大部分を保有する中国電子科技集団という中国国有企業です。 Hikvisionは、監視カメラやレコーダー、顔認識システムなど、セキュリティ関連製品を幅広く製造・販売しており、そのシェアは世界トップクラスを誇ります。特に低価格な製品展開を強みとしており、世界中の企業や政府機関に製品を提供しています。 しかし、近年ではHikvisionの製品が新疆ウイグル自治区における人権侵害に利用されているという批判が高まっており、欧米諸国を中心に、政府機関への製品納入を禁止する動きが広がっています。また、セキュリティの脆弱性も指摘されており、利用にあたっては注意が必要です。