リスク管理

セキュリティ強化

企業を守るEASMのススメ

- はじめにと昨今、悪意を持った第三者によるインターネットを介した攻撃は、巧妙化の一途を辿っており、企業はセキュリティ対策に頭を悩ませています。特に、組織外部からの攻撃に対して、自社のシステムのどこに脆弱性があるのかを把握することは容易ではありません。 企業は、顧客情報や機密情報といった重要な情報を守るため、ファイアウォールや侵入検知システムなど、様々なセキュリティ対策を講じています。しかし、攻撃手法は日々進化しており、既存の対策だけでは十分とは言えない状況になりつつあります。 そこで、近年注目されているのがEASM(External Attack Surface Management)です。 EASMとは、企業や組織の外部から見えるシステムやアプリケーションを網羅的に把握し、攻撃者が狙う可能性のある脆弱性を発見・分析するものです。 EASMを活用することで、企業は自社のセキュリティ対策の現状を客観的に把握し、より効果的な対策を講じることが可能となります。
サイバー犯罪

内部不正を防ぐための基礎知識

- 内部不正とは企業の成長を妨げ、社会的な信用を失墜させるリスクをはらむ内部不正。その実態は一体どのようなものなのでしょうか。内部不正とは、会社や組織に所属する人間が、業務を通じて知り得た機密情報や重要な情報を不正に持ち出したり、外部に漏らしたり、消したり、壊したりする行為を指します。つまり、普段から会社の情報にアクセスできる立場にある従業員や退職した従業員、取引先関係者など、組織内部の人間によって引き起こされる不正行為のことを指します。内部不正は、大きく分けて「情報漏えい」「資金横領」「不正アクセス」の3つに分類されます。情報漏えいは、顧客情報や技術情報など、会社の重要な情報を不正に持ち出したり、外部に漏らしたりする行為です。顧客情報が漏えいした場合、企業は顧客からの信頼を失い、大きな損害を被る可能性があります。また、技術情報が競合他社に渡れば、会社の競争力が低下する恐れがあります。資金横領は、会社の金銭を不正に取得する行為です。横領が発覚した場合、企業は財務的な損失を被るだけでなく、社会的信用も失墜する可能性があります。不正アクセスは、本来アクセス権限を持たない情報にアクセスする行為です。不正アクセスによって情報が書き換えられたり、消去されたりすると、会社の業務に支障をきたす可能性があります。内部不正は、企業にとって大きな脅威です。しかし、内部不正は決して他人事ではありません。企業は、内部不正のリスクを正しく認識し、適切な対策を講じる必要があります。
プライバシー

プライバシーリスクに備える!PIAのススメ

- PIAとは「PIA」とは、「プライバシー影響評価」を意味する「Privacy Impact Assessment」の略称です。新しい制度や事業、システムなどを導入する際に、個人情報やプライバシーに対してどのような影響があるかを事前に評価する手続きを指します。近年、個人情報の価値が高まり、その保護の重要性がますます増しています。個人情報の漏えいや不正利用といった問題が起きると、企業や組織の信頼は大きく損なわれ、社会的な責任も問われかねません。このような事態を避けるため、企業や組織は、個人情報を扱うあらゆる場面において、プライバシーに配慮した対応が求められています。PIAは、新しい取り組みが個人情報に及ぼす影響を、導入前に多角的に分析・評価することで、潜在的なリスクを特定します。そして、特定されたリスクに対して、個人情報保護法などの法令やガイドラインに準拠した適切な対策を事前に講じることを可能にします。PIAを実施することで、企業や組織は、プライバシーリスクを最小限に抑え、個人情報保護に対する責任を果たすことができます。また、社会からの信頼獲得にもつながり、持続可能な事業展開を促進する効果も期待できます。
データ保護

万が一に備える!バックアップのススメ

- バックアップとは日々お世話になっているコンピューター。その中には、大切な写真や思い出の動画、仕事の資料など、たくさんのデータが保存されていますね。しかし、コンピューターは機械ですから、いつ何が起こるかわかりません。例えば、ハードディスクが故障してしまったり、誤って大切なファイルを消去してしまったり、ウイルスに感染してデータが壊れてしまうこともあるかもしれません。そんな時、もしもの時に備えて`バックアップ`を取っていれば安心です。バックアップとは、コンピューター上の大切なデータやプログラムを別の場所に複製しておくことです。これは、例えるなら、大切な書類のコピーを取っておくようなものです。原本を紛失してしまっても、コピーがあれば安心ですね。バックアップの方法には、外付けハードディスクやUSBメモリにデータを保存する方法や、オンラインストレージサービスを利用する方法など、様々なものがあります。重要なのは、`自分に合った方法で、定期的にバックアップを行うこと`です。バックアップは、万が一のトラブルから大切なデータを守ってくれる、まさに「データの保険」と言えるでしょう。日頃からこまめなバックアップを心がけ、安心してコンピューターのある生活を送りましょう。
クラウド

進化するデータ保護:DSPMでクラウドの安全性を確保

- クラウドにおける新たな課題近年、多くの企業が、変化への対応力を高めたり、事業の規模を柔軟に変えられるといった利点を求めて、クラウドサービスを積極的に活用するようになっています。しかし、クラウドの利用が進むにつれて、これまで以上に重要な課題として、機密データの保護が挙げられます。従来の、自社で所有・管理する情報システム環境とは異なり、クラウド環境では、データがどこに保存され、どのようにアクセスされているかを把握することが複雑になるため、従来とは異なるセキュリティ対策が必要となります。クラウドサービスは、多くの場合、サービスを提供する事業者がセキュリティ対策の基本的な部分を担いますが、利用者である企業側にも、自社の責任範囲においてセキュリティ対策を実施する必要があります。具体的には、アクセス制御の強化、データの暗号化、セキュリティ状況の監視といった対策が重要です。アクセス制御の強化では、利用者ごとに適切な権限を設定し、必要以上のアクセス権を与えないようにする必要があります。また、多要素認証を導入することで、不正アクセスのリスクを低減することも効果的です。データの暗号化は、万が一、データが不正にアクセスされた場合でも、内容を解読できないようにするための対策です。特に、個人情報や機密性の高いビジネスデータなどは、暗号化して保護することが重要です。セキュリティ状況の監視は、常に最新の脅威情報を入手し、システムの脆弱性を把握しておくことで、迅速にセキュリティインシデントに対応できるようにするために重要です。クラウドサービスの利用は、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、セキュリティ対策を適切に実施しなければ、新たなリスクにさらされる可能性もあります。クラウドサービスの利用にあたっては、セキュリティの重要性を認識し、自社の責任範囲において適切な対策を講じる必要があります。
セキュリティ強化

セキュリティ対策の基本: 職務の分離とは?

- 職務の分離とは-業務の担当を細分化し、それぞれ異なる人に割り当てることで、不正リスクを減らす-のが、職務の分離です。一人の担当者が、ある業務の開始から終了まで、すべての権限と責任を持つ状況は、不正が発生しやすく、また、不正が発生しても、それを発見することが難しくなります。 例えば、ある人が商品の発注と支払い業務の両方を担当できるとします。この場合、架空の注文をでっち上げ、会社のお金を不正に得ることができてしまいます。しかし、発注と支払いの担当者が異なれば、このような不正は難しくなります。職務の分離は、情報システムへのアクセス権限だけでなく、業務プロセス全体に適用することが重要です。例えば、経理業務では、現金の管理、会計帳簿への記帳、銀行との取引などをそれぞれ異なる担当者に割り当てることで、不正や誤りのリスクを大幅に減らすことができます。職務の分離は、不正の抑止効果だけでなく、業務の効率化や専門性の向上にもつながります。担当業務を限定することで、各担当者は、自分の業務に集中しやすくなり、専門知識やスキルを深めることができます。企業は、職務の分離を適切に実施することで、不正リスクの低減、業務効率の向上、専門性の向上といった多くのメリットを得ることができます。
データ保護

情報漏洩の脅威から企業を守る

- 情報漏洩とは情報漏洩とは、企業などが保有する顧客の個人情報や企業秘密といった、本来は外部に漏れてはならない重要な情報が、第三者に流出してしまったり、外部から不正にアクセスされてしまうことを指します。情報漏洩には、顧客の氏名や住所、電話番号といった個人情報から、企業の財務状況、技術情報、顧客リストといった機密情報まで、実に様々なものが含まれます。漏洩の規模も、数件の個人情報から、数百万件、数千万件規模の大規模なものまで、ケースバイケースです。情報漏洩は、企業の信頼を失墜させるだけでなく、顧客や取引先に多大な損害を与える可能性があります。例えば、個人情報が漏洩した場合、被害者はなりすまし被害や金銭的な損害を受ける可能性があります。また、企業秘密が漏洩した場合、競争力の低下や事業の存続に関わるような深刻な事態に発展する可能性もあります。情報漏洩の原因は、従業員の不注意や管理体制の不備、サイバー攻撃など、多岐に渡ります。そのため、企業は情報漏洩対策を総合的に講じ、重要な情報を厳重に管理することが求められます。
セキュリティ強化

情報セキュリティポリシーの重要性

- 情報セキュリティポリシーとは企業や組織にとって、顧客情報や企業秘密といった重要な情報は、その価値を維持するために守られるべきものです。このような重要な情報を様々な脅威から守り、安全性を確保するための基本的な方針や行動指針をまとめた文書を、情報セキュリティポリシーと呼びます。情報セキュリティポリシーは、組織で働く人全員が情報セキュリティについて共通の認識を持ち、統一的な対策を行うために必要不可欠です。この文書では、電子メールやインターネットの適切な利用方法、パスワード管理の重要性、個人情報の取り扱い方など、具体的な行動指針が明記されています。例えば、業務で使用するパスワードを定期的に変更することや、不審なメールを開封しないこと、重要な情報を不用意に持ち出さないことなどが具体的に示されます。これらのルールを定めることで、情報漏えいやウイルス感染などのリスクを軽減し、組織全体のセキュリティレベル向上を目指します。情報セキュリティポリシーは、ただ作成して終わりではなく、定期的な見直しや改善が必要です。これは、情報技術の進化や新たな脅威の出現、法令の改正などに合わせて、内容を最新の状態に保つ必要があるためです。組織全体で情報セキュリティに対する意識を高め、適切な対策を継続的に実施していくことが重要です。
セキュリティ強化

OODAループでセキュリティ対策を強化

- 意思決定プロセス、OODAループとは 世の中では絶えず様々な出来事が起こり、私達は変化への対応を迫られます。そのような状況下で、迅速かつ的確に判断し行動するために有効なフレームワークとして、OODAループがあります。これは、観測、方向づけ、決心、行動という4つの段階を繰り返すことで、状況の変化に柔軟に対応し、最善の行動を選択することを目的としたものです。 元々は軍事戦略の一環として考案されました。刻一刻と状況が変化する戦場において、敵よりも早く状況を把握し、行動に移すことは、勝利への鍵となります。このOODAループを応用することで、パイロットは複雑な空中戦においても、優位に立つことができたのです。 今日では、このOODAループは軍事分野だけでなく、ビジネスや日常生活など、様々な場面で応用されています。特に、情報セキュリティの分野においては、日々進化するサイバー攻撃の脅威からシステムを守るために、このOODAループが大変重要視されています。攻撃者は常に新しい方法でシステムへの侵入を試みてきます。そのため、攻撃者の行動をいち早く察知し、状況を分析して対策を講じ、迅速に対応することが求められます。OODAループは、このような状況下において、セキュリティ担当者が効果的に対応するための指針となるのです。
セキュリティ強化

企業を守る!デュー・デリジェンスでセキュリティ対策

- デューデリジェンスとはビジネスを進める上で、相手のことをよく知っておくことは非常に大切です。これは企業間の取引や投資においても同様で、事前に相手のリスクや問題点を見抜くための調査が欠かせません。この調査活動をデューデリジェンスと呼びます。デューデリジェンスは、日本語で「当然行うべき注意義務」と表現されるように、企業が責任を持って取引を行う上で避けては通れないプロセスです。この義務を怠り、後になって問題が発生した場合、企業は法的責任を問われたり、経済的な損失を被ったりする可能性があります。特に近年、企業活動において情報システムの重要性が高まるにつれて、情報セキュリティに関するデューデリジェンスの重要性も増しています。具体的には、取引相手の企業が顧客情報や機密情報などを扱う場合、適切なセキュリティ対策を講じているかを確認する必要があります。もしセキュリティ対策が不十分な企業と取引をしてしまい、情報漏えいなどの問題が発生すると、自社の信用が失墜するだけでなく、顧客からの信頼も失い、大きな損害につながる可能性があります。デューデリジェンスを実施する際には、財務状況や法令遵守状況に加え、情報セキュリティに関する項目も必ず確認しましょう。具体的には、セキュリティ体制の整備状況や従業員へのセキュリティ教育の実施状況、セキュリティインシデント発生時の対応体制などを確認することで、取引に伴うリスクを大幅に減らすことができます。
セキュリティ強化

セキュリティ対策における緩和策の役割

- 脆弱性と緩和策の関係情報システムやソフトウェアは、まるで複雑な建造物のようです。設計図にあたる設計や、組み立てにあたる実装に少しでもミスがあると、強度不足や隙間など、予期せぬ弱点が生じてしまいます。これが、セキュリティにおける「脆弱性」です。悪意のある攻撃者は、このような脆弱性を狙ってきます。堅牢なはずの建造物も、わずかな隙間から侵入され、内部を荒らされてしまうかもしれません。機密情報が盗み出されたり、システムが思い通りに操作されたり、甚大な被害につながりかねません。このような事態を防ぐために重要なのが、発見された脆弱性に対する適切な対策です。設計や実装のミスを完全に修正し、根本的な解決を図るのが理想ですが、現実的には時間や費用、技術的な制約など、さまざまな要因によってすぐに対応できない場合も少なくありません。そこで、根本的な解決までの時間稼ぎとして重要な役割を担うのが「緩和策」です。これは、脆弱性を悪用した攻撃を困難にする、あるいは攻撃による被害を最小限に抑えるための対策です。たとえば、建造物の隙間に頑丈な扉を設置したり、侵入者を監視するシステムを導入したりするイメージです。緩和策を講じることで、攻撃によるリスクを大幅に軽減し、安全性を高めることができます。脆弱性の発見と緩和策の実施は、セキュリティ対策において、車の両輪のようなものです。脆弱性対策を怠ると、どんなに優れたシステムも危険にさらされてしまいます。常に最新の情報を入手し、適切な対策を講じるように心がけましょう。
セキュリティ強化

Cognyte:サイバー脅威から企業を守る守護者

- サイバー脅威の現状今日では、インターネットは私たちの生活に欠かせないものとなり、企業活動もインターネットなしでは成り立ちません。しかし、その一方で、インターネットを悪用したサイバー攻撃の危険性も増大しており、企業にとって大きな経営上の問題となっています。日々巧妙化するサイバー攻撃の手口は、従来のセキュリティ対策では太刀打ちできないほど高度化しており、もはや、いつ、どこで、どのような攻撃を受けるのか予想することも困難な時代になっています。企業が標的となる攻撃は、外部からの不正アクセスやウイルス感染だけではありません。内部関係者による情報漏えいや、サプライチェーンを介した攻撃など、その形態は多岐に渡ります。また、攻撃者は、金銭目的だけでなく、企業の機密情報や個人情報を盗み出すこと、あるいは業務を妨害することなどを目的とするケースも少なくありません。サイバー攻撃による被害は、企業の経済的な損失だけでなく、社会的信用を失墜させることにも繋がります。顧客情報流出による信頼関係の崩壊や、取引停止による事業機会の損失など、その影響は計り知れません。また、サイバー攻撃への対策が不十分であると、企業の社会的責任が問われ、法的責任を追求される可能性も出てきます。このような状況下において、企業は、サイバーセキュリティ対策を単なるコストと捉えるのではなく、企業の存続と成長を左右する重要な経営課題として位置付ける必要があります。
セキュリティ強化

進化するサイバーセキュリティ対策:NIST CSFの概要

現代社会において、企業や組織にとって、顧客情報や企業秘密などの様々な情報を適切に守ることは、事業を行う上で最も大切なことの一つとなっています。インターネットが広く普及し、便利な世の中になった一方で、悪意を持った攻撃者によるサイバー攻撃の手口はますます巧妙化しており、その脅威は日に日に増しています。もしも、企業がサイバー攻撃の被害に遭ってしまったら、金銭的な損失だけでなく、これまで築き上げてきた顧客からの信頼やブランドイメージを失墜してしまうなど、取り返しのつかないような深刻な事態に陥る可能性があります。企業が安心して事業を継続し、成長していくためには、変化し続けるサイバー攻撃の脅威に効果的に対抗できる、強固なサイバーセキュリティ対策を講じることが何よりも重要なのです。例えば、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、パスワードの管理を徹底することや、怪しいメールやウェブサイトを開かないようにするなど、基本的な対策を徹底することが大切です。さらに、最新のセキュリティ技術を導入し、常にシステムを最新の状態に保つなど、多層的なセキュリティ対策を構築することで、より強固な防御体制を築くことができます。
脆弱性

セキュリティ対策の基礎知識:CVSSで脆弱性のリスクを理解する

- はじめにと題して 昨今、情報漏洩やサイバー攻撃といった事件が後を絶ちません。企業が顧客の信頼を失墜させないため、また、社会全体が安全な情報環境を維持していくためにも、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。 情報セキュリティを脅かす要因は数多く存在しますが、中でも特に注意が必要なのが、システムやソフトウェアの脆弱性です。悪意のある攻撃者は、これらの脆弱性を突いて、機密情報への不正アクセスやシステムの破壊活動を行います。 膨大な数のシステムやアプリケーションが利用されている現代において、全ての脆弱性に対応することは現実的ではありません。そこで重要となるのが、それぞれの脆弱性の危険度を正しく把握し、優先順位をつけて対策を行うことです。 脆弱性の深刻度を評価するための指標として、広く利用されているのがCVSS(Common Vulnerability Scoring System)です。CVSSは、攻撃のしやすさや影響の大きさといった要素を数値化することで、客観的な指標に基づいた脆弱性の評価を可能にします。 次の章からは、このCVSSについて、具体的な内容を詳しく解説していきます。CVSSを正しく理解し、自社のシステムにとって本当に危険な脆弱性を見極める力を養いましょう。
セキュリティ強化

セキュリティマネジメントで安全を築く

- セキュリティマネジメントとは 企業が顧客情報や企業秘密といった、重要な情報資産を守るための活動は、もはや必須と言えるでしょう。情報漏えいや不正アクセスといったセキュリティ上の問題は、企業の信頼を失墜させ、大きな損害を与える可能性があります。このような事態を避けるために、組織全体で情報セキュリティに取り組む体制、それがセキュリティマネジメントです。 セキュリティマネジメントは、リスクの洗い出しから対策、そして定期的な見直しまで、一連のプロセスを体系的に行うことで、継続的なセキュリティレベルの向上を目指します。まず、組織の情報資産の棚卸しを行い、それぞれの重要度に応じた機密性を定義します。 次に、どのような脅威によって情報資産が危険にさらされる可能性があるのかを分析し、それぞれの脅威に対してどのような対策を講じるべきかを検討します。このプロセスを経て、情報セキュリティに関する方針やルールを定めた情報セキュリティポリシーを策定します。 情報セキュリティポリシーは、組織全体で情報セキュリティに対する意識を高め、具体的な行動指針を示すために重要な役割を担います。社員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を認識し、日々の業務の中で実践していくことが、セキュリティレベルの向上に不可欠です。そして、定期的にセキュリティ対策の見直しや改善を行い、変化する脅威に対応していく必要があります。
セキュリティ強化

セキュリティポリシーの重要性

- セキュリティポリシーとは セキュリティポリシーとは、企業や組織にとって財産ともいえる重要な情報を、外部からの攻撃や内部からの漏洩といった様々な危険から守るための、ルールや行動の指針を明確にまとめたものです。これは、単にセキュリティ対策ソフトを導入したり、複雑なパスワードを設定したりといった技術的な対策だけを指すのではありません。むしろ、組織で働く一人ひとりがセキュリティの重要性を認識し、日々の業務の中でどのように行動すべきかを理解し、実践するための指針となるものです。 セキュリティポリシーが整備されていない組織は、まるで地図を持たずに航海に出るようなもので、危険に遭遇した際に適切な判断を下したり、対応をとったりすることが難しくなります。例えば、顧客情報の取り扱いについて明確なルールがなければ、担当者によって対応が異なり、情報漏洩のリスクが高まってしまう可能性があります。また、パスワードの管理方法が明確化されていなければ、簡単なパスワードを使い回したり、他人に共有したりする人が出てきてしまい、不正アクセスを許してしまうかもしれません。 セキュリティポリシーを策定し、組織全体に周知徹底することで、組織のセキュリティレベルを高め、情報資産を様々な脅威から守ることができます。これは、企業の信頼を守り、事業を継続していく上で非常に重要な取り組みと言えるでしょう。
セキュリティ強化

セキュリティ・バイ・デザイン:安全なシステム開発のために

- セキュリティ・バイ・デザインとは 情報システムやソフトウェア、製品などを開発する際、従来の手法では、セキュリティ対策は開発の最終段階や、場合によっては運用開始後に後から付け足しで行われることが少なくありませんでした。しかし、このような後付けのセキュリティ対策には、いくつかの問題点があります。 例えば、開発の後期になって重大なセキュリティ上の欠陥が見つかった場合、設計を大幅に見直す必要が生じ、多大な時間とコストがかかってしまう可能性があります。また、機能とセキュリティ対策がうまく統合されず、使いにくいシステムになってしまうこともあります。 そこで重要になるのが「セキュリティ・バイ・デザイン」という考え方です。セキュリティ・バイ・デザインとは、開発の初期段階からセキュリティを考慮し、システム設計にセキュリティ対策を組み込んでいくという考え方です。 具体的には、開発の要件定義の段階からセキュリティを考慮し、設計、実装、テスト、運用、保守の各段階においても、セキュリティ対策をしっかりと織り込んでいく必要があります。 セキュリティ・バイ・デザインは、後付けでセキュリティ対策をするよりも、安全なシステムを効率的に開発できるだけでなく、開発後のセキュリティリスクを低減できるというメリットもあります。
セキュリティ強化

セキュリティ対策の基礎知識:コントロールの種類と重要性

- セキュリティ対策におけるコントロールとは 情報セキュリティの分野では、大切な情報やシステムを危険から守るために、様々な対策を講じます。こうした対策の一つ一つを「コントロール」と呼びます。 例えば、自宅のセキュリティ対策をイメージしてみてください。皆さんは、泥棒などから家や家族を守るために、玄関に鍵をかけたり、窓に柵を取り付けたりするでしょう。これらの鍵や柵は、セキュリティ対策として「コントロール」の役割を果たしています。 情報セキュリティの世界においても、これと全く同じ考え方で対策を行います。 企業の機密情報や顧客の個人情報など、守るべき対象は多岐に渡ります。そして、これらの対象を狙うサイバー攻撃などの脅威も、日々進化し続けています。 そこで、情報セキュリティ対策では、対象や目的に合わせて適切なコントロールを選択し、組み合わせていくことが重要となります。家のセキュリティ同様、情報セキュリティにおいても、状況に応じた多層的なコントロールを施すことで、より強固な防御体制を築くことができるのです。
セキュリティ強化

ITガバナンスのフレームワークCOBITの概要

- COBITとは COBITは「情報及び関連技術のための管理目標」の略称で、情報システムの管理や統制に関する世界標準の枠組みです。情報システム監査とコントロール協会(ISACA)が発行しており、組織が情報技術を効果的に活用して目標達成することを支援します。 今日の企業活動において、情報システムは欠かせない存在になっています。顧客情報や財務情報など、企業にとって重要な情報資産を扱うには、情報システムのリスクを適切に管理し、信頼性を確保することが求められます。COBITは、組織全体で情報システムを適切に管理するための共通の枠組みを提供することで、この課題解決を支援します。 COBITは、計画、構築、実行、監視、評価という一連のプロセスで構成されており、情報システムのライフサイクル全体をカバーしています。各プロセスには、達成すべき具体的な管理目標と、その目標を達成するための実践的なガイダンスが示されています。 COBITは、世界中の様々な業界や規模の組織で広く採用されており、情報システムの管理に関するベストプラクティスを集約したフレームワークとして、高い評価を得ています。
セキュリティ強化

国の安全を守る重要基盤:CNIとは?

- 私たちの生活を支える重要なもの 私たちの生活は、電気、ガス、水道、交通、通信といった様々な社会インフラによって支えられています。 社会全体が円滑に機能するためには、これらのインフラが安全かつ安定して供給され続けることが非常に重要です。 電気、ガス、水道といったライフラインは、私たちの日常生活に欠かせないものですし、交通機関が止まれば、人や物の流れが滞り、経済活動にも大きな影響を与えます。 インターネットや携帯電話などの通信網は、今や私たちの生活や仕事に欠かせないコミュニケーションツールであり、情報収集やビジネスにも不可欠なものとなっています。 これらの重要なインフラは、近年、サイバー攻撃の標的となるケースが増加しています。もしも、電力会社やガス会社、水道局、鉄道会社、通信会社などがサイバー攻撃を受け、システムが停止したり、制御不能に陥ったりした場合、私たちの生活に甚大な影響が及ぶ可能性があります。 例えば、大規模な停電が発生すれば、交通機関は麻痺し、工場は操業を停止せざるを得なくなります。病院では医療機器が使えなくなり、人々の生命にも危険が及ぶ可能性があります。 このような事態を防ぐためには、社会インフラに対するサイバー攻撃のリスクを認識し、適切な対策を講じていくことが重要です。
コンプライアンス

米国防総省のサイバーセキュリティ基準CMMCとは

- CMMCの概要近年、悪意のある攻撃による脅威は世界中で増加の一途をたどっており、特に重要な情報を取り扱う組織にとって、その対策は喫緊の課題となっています。アメリカ国防総省(DoD)は、このような状況に対処するため、サプライチェーン全体で機密情報の保護を強化する目的で、CMMC(Cybersecurity Maturity Model Certificationサイバーセキュリティ成熟度モデル認証)を導入しました。 CMMCは、従来からあるNIST SP800-171を基盤としていますが、より実践的な側面と段階的なアプローチを重視している点が特徴です。防衛産業基盤企業(DIB)は、そのサプライチェーンにおいて機密性の高い情報を取り扱うため、CMMCへの準拠が必須となっています。これは、DoDとの契約を維持するためだけでなく、サプライチェーンにおけるセキュリティレベルを向上させ、企業の信頼を高めるためにも重要です。 CMMCは、組織の規模や取り扱う情報の機密性に応じて、レベル1からレベル5までの5段階に分かれています。レベルが上がるにつれて、より高度なセキュリティ対策が求められます。各レベルには、アクセス制御、リスク管理、インシデント対応など、17のセキュリティ領域と、それらを具体的に実現するための171のセキュリティ対策が定められています。 CMMCへの準拠は、企業にとって負担が大きいと感じる場合もあるかもしれません。しかし、CMMCへの取り組みは、単なる認証取得ではなく、組織全体のセキュリティ体制を強化し、企業価値を高めるための投資と捉えるべきです。政府や業界団体が提供する支援制度も活用しながら、段階的にCMMCへの対応を進めていくことが重要です。
セキュリティ強化

企業の守護神!CISOの役割とは?

- 情報セキュリティの司令塔、CISO 昨今、企業や組織にとって、顧客情報や企業秘密、システムといった情報は、最も重要な資産の一つとなっています。これらの情報資産は、まさに企業の生命線とも言えるでしょう。しかし、一方で、サイバー攻撃や情報漏洩といった脅威も増大しており、これらの情報資産をしっかりと守る仕組み作りが急務となっています。 こうした状況下で、情報セキュリティの責任者として、組織全体の情報セキュリティ戦略の立案・実行を指揮する役割を担うのがCISO(Chief Information Security Officer最高情報セキュリティ責任者)です。CISOは、経営層の一員として、情報セキュリティリスクの評価、対策の実施、社員への意識向上活動など、組織全体のセキュリティレベルの向上に責任を負います。 具体的には、CISOは、情報セキュリティに関するポリシーや手順の策定、セキュリティシステムの導入・運用、セキュリティインシデント発生時の対応などを統括します。また、最新の脅威情報やセキュリティ技術を収集し、組織の情報セキュリティ対策に反映させることも重要な役割です。 情報化社会が急速に進む中、企業や組織にとってCISOの存在は、その重要性を増す一方です。CISOは、組織の情報資産を守り、事業の継続性を確保するために、必要不可欠な存在と言えるでしょう。
セキュリティ強化

企業セキュリティの盲点?MSPを狙った攻撃の脅威

- 外部委託の増加と新たなリスク今日のビジネス界では、業務の効率化や費用の圧縮のために、情報システムの運用や管理を外部の専門業者に委託する事例が増えています。こうしたサービスを提供するのがMSPと呼ばれる事業者です。MSPは、委託元の企業に代わってシステムの監視、保守、セキュリティ対策などを一手に引き受けることで、企業の負担を大幅に軽減する役割を担っています。しかし、その一方で、MSPの利用が新たなセキュリティ上の危険性を招く可能性も懸念されています。 MSPは、顧客企業のシステムに深く関与できる立場にあるため、万が一MSPがサイバー攻撃の標的になった場合、その影響は顧客企業にまで及んでしまう恐れがあるのです。例えば、MSPが不正アクセスを受けると、顧客企業の機密情報が盗み出されたり、システムが改ざんされたりする危険性があります。また、MSPのシステムに障害が発生した場合、顧客企業の業務が停止に追い込まれる可能性も考えられます。このようなリスクを低減するためには、MSPを選ぶ際には、セキュリティ対策の実績や体制を十分に確認することが重要です。 具体的には、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの国際的なセキュリティ規格の認証を取得しているか、セキュリティに関する専門知識を持った担当者がいるかなどを確認する必要があります。また、契約を結ぶ際には、セキュリティに関する責任分担や事故発生時の対応などを明確に定めておくことが大切です。
セキュリティ強化

サイバー攻撃に負けない!レジリエンスのススメ

- サイバー攻撃の脅威 -# サイバー攻撃の脅威 現代社会において、情報システムは企業活動や日常生活のあらゆる場面に浸透し、今や無くてはならないものとなっています。インターネットバンキングやオンラインショッピング、行政手続きのオンライン化など、私たちの生活は情報システムによって支えられています。 しかし、それと同時に、情報システムを狙ったサイバー攻撃の脅威は深刻化の一途を辿っています。企業や組織、個人が保有する重要な情報が、悪意のある攻撃者によって盗まれたり、改ざんされたりする危険性が高まっているのです。 かつては、コンピュータウイルスや不正アクセスといった比較的単純な攻撃が主流でしたが、近年では、攻撃の手口はますます巧妙化し、従来のセキュリティ対策では防ぎきれないケースも増えています。標的型攻撃のように、特定の組織や個人を狙って、綿密な計画と高度な技術を駆使した攻撃も発生しています。 もはや、サイバー攻撃を完全に防ぐことは非常に困難な時代になっていると言えるでしょう。だからこそ、私たちは、サイバー攻撃の脅威を正しく認識し、セキュリティ対策の重要性を改めて認識する必要があるのです。