リスク評価

脆弱性

脆弱性管理の優先順位付けに!EPSSとは?

情報技術の進化は目覚ましく、私たちの生活は便利で豊かになりました。しかし、その裏側では、日々新たに発見されるソフトウェアやハードウェアの脆弱性という課題も増え続けています。セキュリティ対策の担当者であっても、膨大な数の脆弱性情報に対応することは容易ではありません。しかし、すべての脆弱性が実際に悪用されるわけではありません。そこで、脆弱性の脅威を客観的に評価する指標として登場したのがEPSSです。 EPSSは、アメリカ合衆国の非営利団体FIRSTが運営する脆弱性悪用スコアリング・システムです。EPSSは、公開された脆弱性情報に基づいて、実際に悪用される可能性を数値化し、0から10までのスコアで評価します。スコアが高いほど悪用される危険性も高くなるため、組織はEPSSのスコアを参考に、優先的に対処すべき脆弱性を迅速に見極めることができます。 EPSSは、脆弱性情報の技術的な詳細に加えて、悪意のある攻撃者がその脆弱性を利用する容易さや、攻撃が成功した場合の影響の大きさなども考慮してスコアを算出します。そのため、組織は限られた資源を有効活用し、より効率的かつ効果的なセキュリティ対策を実施することが可能になります。EPSSは、セキュリティ対策の担当者にとって心強い味方と言えるでしょう。
セキュリティ強化

企業を守る!セキュリティスコアリングとは?

現代社会において、企業は絶えず変化するサイバー攻撃の脅威に直面しています。こうした中、自社のセキュリティ対策がどれほど有効であるかを客観的に理解することが重要となります。セキュリティスコアリングとは、企業のサイバーセキュリティリスクを数値化し、現状を把握し、改善すべき点を明確にする効果的な方法です。 セキュリティスコアリングは、様々な観点から企業のセキュリティ対策を評価します。例えば、従業員に対するセキュリティ教育の実施状況、システムへのアクセス制御の厳格さ、最新のセキュリティパッチの適用状況などが評価対象となります。これらの評価項目は、企業の規模や業種、扱う情報資産の重要度などに応じて調整されます。 セキュリティスコアリングの結果は、点数やランクなどで表示され、企業は自社のセキュリティレベルをひと目で把握することができます。また、具体的な改善点や推奨事項も提示されるため、効率的にセキュリティ対策を進めることが可能となります。 セキュリティスコアリングを定期的に実施することで、企業は自社のセキュリティ対策の進捗状況を継続的に監視し、変化する脅威に迅速に対応することができます。また、客観的な指標に基づいた評価を行うことで、経営層の理解と投資を促進し、より強固なセキュリティ体制を構築することができます。
脆弱性

脆弱性管理の最新手法:SSVCとは

- はじめにと昨今、インターネットの普及に伴い、企業活動や私たちの日常生活はネットワークに接続されたシステムに大きく依存するようになりました。それと同時に、情報漏えいやサービス停止などのセキュリティ事故のリスクも増大しており、セキュリティ対策の重要性はこれまで以上に高まっています。日々発見されるシステムの脆弱性は膨大な数に上り、その全てに対応することは現実的ではありません。限られた資源を有効活用するためには、自社のシステムにとって本当に危険な脆弱性を見極め、優先順位をつけて対策を行う「脆弱性管理」が重要となります。そこで今回は、従来の手法よりも効果的かつ効率的な脆弱性管理を実現する、最新の考え方である「SSVC」について解説していきます。
コンプライアンス

産業システムセキュリティの要: IEC 62443

- はじめにと現代社会において、工場や電力網、水道施設、交通機関など、私たちの生活に欠かせない社会インフラを支えているのが産業用オートメーションおよび制御システム(IACS)です。IACSは、これらの重要なインフラを24時間365日体制で監視し、制御することで、私たちの生活を支える重要な役割を担っています。しかし、近年、これらのIACSに対するサイバー攻撃の脅威が増大しており、社会全体にとって大きな問題となっています。かつては、IACSは外部ネットワークから隔離された閉鎖的な環境で運用されていましたが、近年では、運用効率の向上や遠隔監視の必要性などから、企業内ネットワークやインターネットに接続されるケースが増えています。 このような接続性の拡大は、サイバー攻撃の脅威にさらされる危険性を高めることになります。サイバー攻撃者は、金銭目的の犯罪者から、国家の支援を受けた高度な攻撃者まで、その目的や能力も多岐にわたります。攻撃者は、IACSの脆弱性を悪用し、システムの制御を奪ったり、重要なデータを盗み出したり、さらには、物理的な損害を与えることも可能です。例えば、電力網への攻撃は、広範囲にわたる停電を引き起こし、経済活動や人々の生活に深刻な影響を与える可能性があります。また、工場の生産ラインへの攻撃は、製品の品質低下や納期の遅延、さらには、工場の操業停止に追い込まれる可能性も考えられます。このように、IACSに対するサイバー攻撃は、私たちの社会や経済に甚大な被害をもたらす可能性があります。そのため、IACSのセキュリティ対策は、もはや一部の専門家だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき喫緊の課題といえるでしょう。