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金融機関を守る情報セキュリティ:GLBAとは?

- GLBAの概要グラム・リーチ・ブライリー法(Gramm-Leach-Bliley Act)、通称GLBAは、アメリカの金融機関における顧客情報の保護を目的とした法律です。1999年に制定されたこの法律は、金融機関が顧客の個人情報をどのように収集し、利用し、そして開示するかについて、厳しいルールを定めています。この法律が制定された背景には、金融機関が顧客情報を適切に保護するための統一的な基準が求められていたことがあります。GLBAは、顧客の個人情報の機密性、完全性、可用性を保護するために、金融機関が適切なセキュリティ対策を講じることを義務付けています。具体的には、顧客情報の収集、利用、開示に関する方針を明確化し、顧客に通知すること、顧客情報の紛失、盗難、不正アクセスから保護するための管理的、技術的、物理的な安全対策を実施することなどが求められています。GLBAは、銀行、証券会社、保険会社、ローン会社など、幅広い金融機関に適用されます。また、氏名、住所、電話番号、社会保障番号、口座番号、取引履歴など、顧客に関する幅広い情報が保護対象となります。GLBAの施行により、アメリカの金融機関は顧客情報の保護にこれまで以上に真剣に取り組むようになり、顧客のプライバシー保護は大きく前進しました。
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進化するサイバー脅威に対抗するNIS2指令

- NIS2指令とは -# NIS2指令とは NIS2指令は、ヨーロッパ連合(EU)が2022年12月に採択した、サイバーセキュリティに関する新しい指令です。正式には「ネットワークと情報システムのセキュリティ確保に関する指令」といい、2016年に制定されたNIS指令をより強化し、発展させたものとなります。 この指令は、EU域内の様々な組織や企業に対して、サイバー攻撃からシステムやデータを保護するためのより厳しい要件を課すことを目的としています。具体的には、リスク管理、セキュリティ対策の実施、インシデントへの対応、情報共有などが求められます。 対象となるのは、エネルギー、交通、金融、医療、水道などの重要インフラストラクチャに関わる事業者や、デジタルサービスを提供するオンラインプラットフォーム、検索エンジン、ソーシャルメディアなどの大手デジタルサービス事業者です。 NIS2指令は、2024年10月からの施行を予定しており、EU加盟国は自国の法律をNIS2指令に合わせて整備する必要があります。 NIS2指令は、EU域内におけるサイバーセキュリティレベルの底上げを図り、市民や企業をサイバー攻撃から守ることを目指しています。
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電力網を守る要塞!NERC CIPとは?

- 電力供給の安定とNERC CIPの関係現代社会において、電気は私たちの生活や経済活動にとって、水や空気と同じように欠かすことのできないものです。発電所で作られた電気は、送電線を通って変電所で電圧を変えられ、私たちの家庭や職場に届けられます。この電気の流れが滞ってしまうと、私たちの生活は一瞬にして混乱に陥ってしまいます。近年、電力システムに対するサイバー攻撃の脅威が高まっています。もし、電力網がサイバー攻撃によって停止に追い込まれてしまったら、交通機関は麻痺し、工場は稼働を停止し、病院の機能も停止してしまうなど、私たちの生活に計り知れない影響が及ぶことになります。このような事態を防ぐため、北米では電力網に対するサイバーセキュリティ対策としてNERC CIPが策定されました。NERC CIPとは、北米電力信頼度協議会(NERC)が定める電力会社などに対する強制的なサイバーセキュリティ基準です。具体的には、電力システムへのアクセス制御、監視システムの強化、インシデント対応計画の策定など、多岐にわたるセキュリティ対策が求められています。NERC CIPは、電力網の安定稼働を守るための重要な砦といえます。電力会社をはじめとする関係機関は、NERC CIPを遵守することで、サイバー攻撃から電力システムを守り、私たちの生活を守っているのです。
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重要インフラをサイバー攻撃から守るCIRCIA法

現代社会において、電力、ガス、水道、通信といった生活や経済活動に欠かせない重要インフラは、私たちの生活を支える基盤となっています。もしも、これらの重要インフラがサイバー攻撃によって機能を停止させられてしまったら、私たちの生活はたちまち混乱し、経済活動にも大きな損害が発生する可能性があります。 このような事態を防ぐために、アメリカ合衆国では重要インフラをサイバー攻撃の脅威から守るための法律、CIRCIA法が制定されました。CIRCIA法は、電力やガス、水道、通信といった重要インフラを管理する事業者に対して、サイバーセキュリティ対策を強化することを義務付ける法律です。具体的には、リスクの特定と評価、セキュリティ対策の実施、インシデント発生時の報告などが求められます。また、重要インフラの管理事業者と政府機関との間で、サイバーセキュリティに関する情報共有や連携を強化することも、CIRCIA法の重要な目的の一つです。CIRCIA法の制定により、アメリカでは重要インフラに対するサイバーセキュリティ対策が強化され、国民の生命や財産を守るための取り組みが進められています。日本でも、重要インフラに対するサイバー攻撃の脅威は増大しており、アメリカ合衆国のCIRCIA法を参考に、サイバーセキュリティ対策の強化を図っていく必要があると言えるでしょう。
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進化するセキュリティ対策:サイバーレジリエンス法とその影響

- はじめに現代社会は、あらゆるものがインターネットにつながる時代へと急速に移り変わっています。家電製品や自動車までもがネットワークにつながることで、私たちの生活はより便利になっています。しかし、それと同時に、目に見えない脅威であるサイバー攻撃のリスクも増大していることを忘れてはなりません。インターネットに接続された機器が増えるということは、それだけ攻撃者が侵入できる道も増えることを意味します。悪意のある人物によって、個人情報や企業の機密情報が盗まれたり、重要なシステムが停止させられたりする危険性も高まります。このようなサイバー攻撃による被害は、金銭的な損失だけでなく、社会全体に混乱をもたらす可能性も秘めているのです。私たち一人ひとりが、サイバーセキュリティの重要性を認識し、適切な対策を講じることがこれまで以上に求められています。 パスワードの管理を徹底する、不審なメールやウェブサイトを開かない、セキュリティソフトを導入するなど、基本的な対策を怠らないことが大切です。また、最新の情報を入手し、常にセキュリティ意識を高めておくことも重要です。
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企業の信頼を守る~サーベンス・オクスリー法とは?~

1990年代後半、インターネットの普及とともに世界経済は急成長を遂げ、多くの企業が成功を収めました。しかし、この輝かしい時代には裏の顔がありました。 一部の企業が、利益を追求するあまり、不正な会計操作や粉飾決算といった不正行為に手を染めていたのです。 その結果、企業の業績は実際よりもはるかに良く見せかけられ、多くの投資家が騙されて巨額の損失を被りました。この一連の事件は、企業の信頼を大きく失墜させ、社会全体に大きな衝撃を与えました。 このような事態を重く見て、アメリカでは企業の不正行為を防止するための法律が制定されました。それが「サーベンス・オクスリー法」、通称SOX法です。 SOX法は、企業の財務報告の正確性を高め、不正行為を未전に防ぐことを目的としています。具体的には、企業の内部統制の強化、経営者の責任の明確化、監査制度の厳格化など、多岐にわたる改革が盛り込まれています。 SOX法の制定は、企業に健全なコーポレートガバナンスの確立を促し、企業不正の抑止に一定の効果を上げています。世界各国でも、SOX法を参考に、同様の法律や制度が導入されており、企業の透明性と信頼性の向上に貢献しています。
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アメリカの医療データ保護法 HIPAAとは?

- HIPAAの概要 -# HIPAAの概要 HIPAAは、Health Insurance Portability and Accountability Actの省略形で、日本語では「医療保険の相互運用性と責任に関する法律」という意味です。1996年にアメリカで制定されました。この法律は、病院や診療所、保険会社などが扱う、診察記録や検査データといった、患者に関わるプライベートな情報を保護することを目的としています。 HIPAAでは、守秘義務のある医療情報を「保護された医療情報」(Protected Health Information PHI)と呼び、厳格に管理することが義務付けられています。PHIには、氏名や住所などの個人を特定できる情報だけでなく、病名や治療内容、医療費に関する情報なども含まれます。 HIPAAは、医療従事者や医療機関、保険会社だけでなく、患者の情報を扱うすべての企業や団体に適用されます。例えば、医療機関から委託を受けてデータ処理を行う企業や、医療費請求を行う企業などもHIPAAの対象となります。 HIPAAでは、PHIを扱う組織に対して、アクセス制御や暗号化などの技術的な対策と、従業員教育やセキュリティポリシーの策定といった組織的な対策の両面から、適切なセキュリティ対策を実施することが求められています。 HIPAAの規定に違反した場合、高額な罰金が科せられる可能性があります。そのため、医療関係者はもちろん、患者情報を扱うすべての企業や団体は、HIPAAについて正しく理解し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。