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マルウェア

進化する脅威に対抗:ファジーハッシュでマルウェアを検出

- 従来のハッシュ関数とその限界 コンピュータの世界では、ファイルの識別やデータの整合性を確認するために、ハッシュ関数という技術が広く使われています。ハッシュ関数とは、入力データを一定の規則で計算し、元のデータとは全く異なる見た目の短い文字列に変換する技術です。この短い文字列を「ハッシュ値」と呼びます。 MD5やSHA1などは、従来から広く使われてきたハッシュ関数です。これらのハッシュ関数は、入力データに対して、世界中でたった一つしかない固有のハッシュ値を生成するという特徴を持っています。この特徴を利用して、ファイルの内容が改ざんされていないかを確認することができるのです。例えば、ウェブサイトからファイルをダウンロードする際に、事前に正しいハッシュ値が公開されていれば、ダウンロードしたファイルのハッシュ値と照合することで、ファイルが破損したり、改ざんされたりしていないかを確かめることができます。 しかし、従来のハッシュ関数には限界があります。それは、わずかにデータが変更されただけでも、全く異なるハッシュ値が生成されてしまうという点です。この性質は、悪意のある者がコンピュータウイルスなどのプログラムを、ハッシュ値を検知されないように少しずつ改変し、拡散することを可能にしてしまいます。そのため、日々変化し続ける最新の脅威に対応するためには、従来のハッシュ関数だけでは不十分と言えるでしょう。