DLLハイジャッキング

サイバー犯罪

潜む影!DLLハイジャックの脅威

- アプリケーションの盲点 私たちは日々、パソコンやスマートフォンで様々なアプリケーションを利用しています。これらのアプリケーションは、裏側では多くのソフトウェア部品が組み合わさり、複雑な連携を行いながら動作しています。その中で、「DLL」と呼ばれる部品は、アプリケーションに様々な機能を追加するために広く利用されています。 DLLは、例えるならば、料理に必要な調味料のようなものです。様々な料理に共通して使われる調味料を、それぞれの料理人が毎回一から作るのではなく、あらかじめ用意されたものを使うことで、効率的に料理を作ることができます。DLLも同様に、多くのアプリケーションで共通して使われる機能をまとめたものであり、開発者はDLLを使うことで、一からプログラムを組む手間を省き、効率的にアプリケーションを開発することができるのです。 しかし、この便利なDLLが、悪意のある攻撃者に狙われる弱点となることがあります。「DLLハイジャック」と呼ばれる攻撃は、まさにこのDLLの仕組みを悪用したものです。攻撃者は、アプリケーションが本来読み込むべきDLLファイルとそっくりな偽物のDLLファイルを、特定の場所に仕掛けておきます。そして、アプリケーションが起動すると、だまされたアプリケーションは、偽物のDLLファイルを読み込んでしまいます。 偽物のDLLファイルには、攻撃者が仕込んだ悪意のあるプログラムが含まれているため、アプリケーションは攻撃者の意のままに操られてしまいます。 こうして、攻撃者はアプリケーションの重要な情報にアクセスしたり、システム全体を乗っ取ったりすることが可能になるのです。 DLLハイジャックは、一見安全に見えるアプリケーションの、誰も気に留めないような場所に潜む、まさに「盲点」を突いた攻撃と言えるでしょう。