Torとプライバシー:知っておくべきリスクと注意点
- TorとはTor(正式名称はThe Onion Router)は、インターネット上で匿名性を高めるための技術です。まるでタマネギの皮のように、何層にもわたって暗号化を重ねることで、ユーザーの通信経路を隠蔽し、追跡を困難にすることを目的としています。普段私たちが使っているインターネットブラウザでは、アクセスしたウェブサイトやサービスに対して、ユーザーのパソコンやスマートフォンなどを特定する情報(IPアドレスなど)が送信されています。これは、手紙を送る際に差出人の住所を記載するのと似ており、ウェブサイト側からは、誰がアクセスしてきたのかが分かります。しかし、Torブラウザを使うと、複数のリレーサーバーと呼ばれる中継地点を経由して通信が行われます。この際、情報はリレーサーバーを経由する度に暗号化され、あたかもタマネギの皮を剥ぐように、最後のリレーサーバーで初めて元の情報が復元されます。そのため、ウェブサイト側が受け取る情報からは、ユーザーの本当のIPアドレスやアクセス経路を特定することが極めて難しくなり、プライバシー保護に役立ちます。ただし、Torはあくまでも匿名性を高めるための技術であり、完全に身元を隠せるわけではありません。また、違法行為に利用されるケースもあるため、注意が必要です。