ゼロデイ攻撃から身を守るには

ゼロデイ攻撃から身を守るには

セキュリティを知りたい

先生、「ゼロデイ」ってよく聞くんですけど、何ですか?なんだか怖いイメージがあって…

セキュリティ研究家

なるほど。「ゼロデイ」は、簡単に言うと、まだ誰にも知られていないソフトウェアの弱点のことだよ。例えば、家の鍵が壊れているのに、住んでいる人だけが知らない状態を想像してみてごらん。泥棒はその壊れた鍵を利用して、簡単に家に入ることができるよね。ソフトウェアも同じで、この「ゼロデイ」が見つかると、悪意のある人がその弱点を利用して攻撃してくる可能性があるんだ。

セキュリティを知りたい

そうなんですね!誰にも知られていない弱点だから、「ゼロデイ」って言うんですか?

セキュリティ研究家

その通り! 修正プログラムが公開されるまでの期間がゼロ日という意味で「ゼロデイ」と呼ばれているんだよ。だから、とても危険なんだ。

ゼロデイとは。

ソフトの安全を守るための大切な話として、「ゼロデイ」というものがあります。これは、ソフトに見つかった弱点の中で、まだみんなが知らない、あるいは直し方が公表されていないものを指します。この弱点が「ゼロデイ脆弱性」、この弱点を突いた攻撃が「ゼロデイ攻撃」と呼ばれます。まだ知られていない弱点を狙うため、完全に防ぐのは難しい問題です。報道によると、2022年に悪用されたソフトの弱点50個以上のうち、ほとんどが、世界中で使われている有名な会社の製品を狙ったものでした。国が指揮するハッカー集団や情報機関は、攻撃の武器としてゼロデイ脆弱性に関する情報を集めたり、お金を出して買ったりしています。また、中国では、企業やセキュリティの専門家に対し、ソフトの弱点を見つけたら公表せずに政府に報告することを義務付けています。これは、ゼロデイを武器として利用するための政策だと考えられています。「ワナクライ」や「ノットペティア」という攻撃で使われた「SMBプロトコル脆弱性」は、元々アメリカの国家安全保障局が持っていたものですが、ロシアのハッカー集団が盗み出して広めたものだと考えられています。

ゼロデイ攻撃とは

ゼロデイ攻撃とは

– ゼロデイ攻撃とはゼロデイ攻撃とは、コンピューターやソフトウェアの欠陥を突いたサイバー攻撃です。しかし、ただ攻撃するだけではなく、開発者やセキュリティ対策ソフト会社がその欠陥に気づく前に、悪用して攻撃を行います。

セキュリティ対策ソフト会社は、日々発見される新たな脅威情報を基に、修正プログラムを開発し、ユーザーに提供することでシステムの安全性を保っています。しかし、ゼロデイ攻撃はこのような対策が全くされていない状態、いわば「無防備」な状態を狙うため、非常に危険です。

攻撃者は、この欠陥を突くことで、システムに不正に侵入したり、重要な情報を盗み出したり、サービスを妨害したりする可能性があります。私たちが普段利用しているインターネットバンキングやオンラインショッピングなどのサービスも、ゼロデイ攻撃によって大きな被害を受ける可能性があります。

ゼロデイ攻撃を防ぐことは非常に困難ですが、常に最新の状態に保つことや、信頼できるセキュリティ対策ソフトを導入することで、被害を最小限に抑えることができます。

項目 内容
定義 コンピューターやソフトウェアの欠陥を突いたサイバー攻撃。開発者やセキュリティ対策ソフト会社が気づく前に悪用される。
危険性 セキュリティ対策が全くない「無防備」な状態を狙うため、非常に危険。
攻撃者の目的 システムへの不正侵入、情報盗難、サービス妨害など。
対象となるサービス インターネットバンキング、オンラインショッピングなど、私たちが日常的に利用するサービスも含まれる。
対策 システムやソフトウェアを常に最新の状態に保つ。信頼できるセキュリティ対策ソフトを導入する。

なぜ脅威なのか

なぜ脅威なのか

– なぜ脅威なのか

ゼロデイ攻撃は、文字通り攻撃が始まるまでそれが脆弱性だと誰も知らない攻撃であるため、大変危険です。既存の防御策では、未知の攻撃を防ぐことは非常に困難です。セキュリティソフトは、既知の攻撃手法や脆弱性に関する情報をもとに、悪意のあるプログラムや活動を検知・遮断します。しかし、ゼロデイ攻撃は、全く新しい脆弱性を突いてくるため、セキュリティソフトでも事前に攻撃を予測し、防ぐことができません。

例えるならば、セキュリティソフトは、泥棒の侵入経路が分かっている家に設置された防犯システムのようなものです。しかし、ゼロデイ攻撃は、誰も知らない場所に穴を掘って侵入してくるようなものです。防犯システムは、予期せぬ場所からの侵入に気づくことができず、家の中は簡単に盗まれてしまいます。

特に、世界中で多くの人が利用している大手企業の製品などは、攻撃が成功した場合の影響が甚大であるため、格好の標的となります。攻撃者は、より大きな利益や影響力を得るために、多くの人が利用している製品の脆弱性を狙ってゼロデイ攻撃を仕掛けてきます。私たちが日々利用しているパソコンやスマートフォンも、常にゼロデイ攻撃の脅威にさらされていることを忘れてはなりません。

ゼロデイ攻撃の脅威 詳細
未知の脆弱性攻撃 攻撃が始まるまで脆弱性と認識されないため、既存の防御策では防ぐことが困難
セキュリティソフトの無効化 既知の攻撃手法や脆弱性情報を基に動作するため、新規の攻撃には対応できない
影響範囲の広さ 大手企業の製品など、利用者が多いシステムが狙われやすく、攻撃成功時の影響は甚大

国家レベルの関与

国家レベルの関与

近年、国家が関与しているとされる、高度な技術を用いたサイバー攻撃が増加しており、特に、発見されたばかりの脆弱性や、対策がなされていない脆弱性を狙った攻撃であるゼロデイ攻撃が大きな脅威となっています。
国家レベルの組織は、豊富な資金力と高度な技術力を駆使し、ソフトウェアやシステムの脆弱性を発見するための専門チームを組織していると言われています。そして、発見された脆弱性は、自国のサイバー攻撃能力を高めるために利用されるだけでなく、闇市場を通じて他の攻撃者グループに売却されるケースも確認されており、世界中でサイバー攻撃の危険性をさらに高める要因となっています。
実際に、国家が関与したとされるサイバー攻撃では、これまでに知られていなかった脆弱性や、修正プログラムが公開されていない脆弱性が悪用され、政府機関、重要インフラ、民間企業など、機密情報や重要データが保管されている組織が標的となっています。
このような国家レベルのサイバー攻撃から身を守るためには、最新の情報や脅威に関する情報を常に収集し、システムの脆弱性を解消するための対策を迅速に講じることが重要です。また、セキュリティ対策ソフトの導入や、従業員に対するセキュリティ意識の向上といった、基本的な対策を徹底することも重要です。

脅威 特徴 対策
国家支援型サイバー攻撃
  • 高度な技術と資金力を持つ国家が関与
  • ゼロデイ攻撃など高度な攻撃
  • 脆弱性の発見と悪用、または販売
  • 政府機関、重要インフラ、民間企業が標的に
  • 最新情報と脅威情報の収集
  • システムの脆弱性解消
  • セキュリティ対策ソフトの導入
  • 従業員のセキュリティ意識向上

ゼロデイ攻撃の事例

ゼロデイ攻撃の事例

– ゼロデイ攻撃の事例

ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやシステムの開発元が把握するよりも先に、脆弱性を悪用した攻撃を指します。世界中で甚大な被害をもたらしたランサムウェア「WannaCry」や「NotPetya」による攻撃は、まさにこのゼロデイ攻撃の典型的な例です。これらのランサムウェアは、Microsoft Windowsに存在するセキュリティ上の欠陥を突くことで、コンピュータからコンピュータへと感染を拡大していきました。

攻撃者は、脆弱性に関する情報が公開される前に攻撃を仕掛けるため、開発元はもちろんのこと、利用者も対策が後手に回ってしまうという点で、非常に危険な攻撃といえます。セキュリティ対策ソフトも、更新プログラムが提供されるまでは、効果的に攻撃を防ぐことができません。

近年、ゼロデイ攻撃の件数は増加傾向にあります。2022年には、50件を超えるゼロデイ脆弱性が悪用されたという報告があり、その多くは誰もが知るような大手企業の製品を標的にしていました。これは決して他人事ではありません。私たちが日常的に利用しているパソコンやスマートフォンも、ゼロデイ攻撃の脅威にさらされていると言えるでしょう。

ゼロデイ攻撃とは 特徴 事例 対策の難しさ 危険性
ソフトウェアやシステムの開発元が把握するよりも先に、脆弱性を悪用した攻撃 攻撃者は、脆弱性に関する情報が公開される前に攻撃を仕掛ける ランサムウェア「WannaCry」「NotPetya」による攻撃 開発元はもちろんのこと、利用者も対策が後手に回ってしまう。セキュリティ対策ソフトも、更新プログラムが提供されるまでは、効果的に攻撃を防ぐことができない。 近年、ゼロデイ攻撃の件数は増加傾向にあり、私たちが日常的に利用しているパソコンやスマートフォンも、ゼロデイ攻撃の脅威にさらされている。

対策と予防策

対策と予防策

– 対策と予防策予測不能な「ゼロデイ攻撃」から身を守るためには、従来のセキュリティ対策に加えて、多層的な防御アプローチと最新の情報収集が欠かせません。まず、あらゆるソフトウェアを常に最新の状態に保つことが重要です。OSやアプリケーションは、開発元が発見した脆弱性を修正した更新プログラムを定期的に提供しています。これらを適用することで、既知の脆弱性を悪用した攻撃からシステムを守ることができます。次に、信頼できるセキュリティ対策ソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。ウイルス対策ソフトやファイアウォールは、既知のマルウェアや不正アクセスをブロックするだけでなく、未知の脅威からもシステムを保護します。最新の脅威情報が反映された状態を保つことが重要です。そして、不審なメールやウェブサイトへのアクセスは避け、安易にファイルを開かないように心がけましょう。ゼロデイ攻撃では、これらの手段を使ってコンピュータウイルスへの感染や、個人情報の詐取を試みるケースが多く見られます。送信元が不明なメールや、怪しいURLは開かずに削除し、信頼できるウェブサイトからのみファイルを入手するようにしましょう。さらに、セキュリティに関する最新情報の収集も重要です。セキュリティベンダーや情報セキュリティ機関のウェブサイトやニュースレターをチェックし、ゼロデイ攻撃の動向や新たな防御策に関する情報を常に収集しましょう。これらの対策を組み合わせることで、ゼロデイ攻撃のリスクを大幅に減らし、安全なデジタル環境を維持することができます。

対策 説明
ソフトウェアの更新 OSやアプリケーションを常に最新の状態に保ち、既知の脆弱性を修正する
セキュリティソフトの導入 ウイルス対策ソフトやファイアウォールを最新の状態に保ち、マルウェアや不正アクセスをブロックする
不審なメールやウェブサイトへのアクセス回避 送信元不明のメールや怪しいURLは開かずに削除し、信頼できるウェブサイトからのみファイルを入手する
セキュリティ情報の収集 セキュリティベンダーや情報セキュリティ機関の情報を確認し、ゼロデイ攻撃の動向や防御策に関する情報を収集する
タイトルとURLをコピーしました